筋トレは自己投資である。
筋トレを行う目的が何であれ(健康維持、肉体改造、ボディビルまたはフィジーク大会出場等)、筋トレのために時間・お金を費やし、目標達成に向けて努力を行う行為は自己投資そのものである。
この自己投資の時間がワークライフバランス(仕事と生活の調和)を健全に維持する上で非常に重要であることは分かっていても、現実問題として家庭を持っていたり、仕事が忙しい等の理由により筋トレの時間が確保できずにワークライフバランスが崩れ、充実した生活を送ることが困難となるケースが非常に多い(非常に残念)。
したがって、限られた時間の中でも効率的に筋トレ(自己投資)を継続できるように工夫することが大事なのである。
忙しい人のための最適化ポイント(この記事を読んで分かること)
- 筋肉量を増やす大原則(+具体的テクニック)
- トレーニングルーティン(3分割)
- 必須種目(全ての筋肉を効率的に鍛える)
- レップ数&セット数(理論的アプローチ)
- その他の最適化ポイント=食事管理法
「忙しい」という理由で筋トレを諦める必要はありません。
賢く筋トレのプログラムを組めば、忙しい人でも週あたり3時間(=週3回×1時間)筋トレのために時間に費やすだけで筋肥大を着実に達成していくことができるので、今回紹介する筋トレプログラムを参考にし、充実した仕事と生活の調和の実現に役立ててみて下さい。
コンテンツ
筋トレのプログラムを賢く作成しよう
忙しいなら忙しいなりに効率的かつ合理的に筋トレのプログラムを作成することで、時間的制約がある中でも効果的に筋トレの成果を十二分に高めることができる。
筋肥大とトレーニングボリュームの関係
まずは、筋トレで筋肉量を着実に増やしていく上で決して無視することのできない筋肥大の大原則についておさらいしておこう。
当サイトワークアウトサイエンスを長く利用頂いている読者の皆さまであれば、もうお気づきかもしれないが、筋肥大(および筋力向上)効率を左右する主要ファクターは、ずばり“トレーニングボリューム”である[1]。
例えば、ベンチプレス100 kgを8レップス、3セット行った場合のトレーニングボリュームは100×8×3=2,400と計算できる。
つまり、筋肉の増加量とトレーニングボリュームが比例関係にあるということは、筋肉を増やしたいのなら、段階的にトレーニングボリュームを増やしていけば良いということになる。
そして、先程紹介した通り、トレーニングボリュームは、レップ数×使用ウエイト重量×セット数で定義される量なので、トレーニングボリュームを段階的に増やすには、前回の筋トレよりも、
- ウエイト重量
- レップ数
- セット数
- トレーニング頻度
のいずれか(または複数)の要素を計画的かつ段階的に増やすように筋トレのプログラムを組むことが、我々が筋肉量を着実に増やし、なおかつ、筋力を向上させていく唯一の方法なのである[5]。
この筋肥大の原則をオーバーロードの原則という。
オーバーロードの原則の具体例
オーバーロードの原則を筋トレのプログラムに取り入れるには、以下の6つの手順を踏むことになる(前回記事より抜粋)。
オーバーロードの具体的方法(時間的制約がない場合)
そして、上記で説明したオーバーロードの原則を実際に取り入れた(時間的制約がない場合の)筋トレの1サイクルの具体例は以下のようになる(時間的制約がある場合は後ほど紹介)。
この筋トレプログラムでは、セット数を段階的に増やすことでオーバーロードを達成している。
オーバーロード (1~7週) | セット数 | 負荷設定(1 RMの%) |
---|---|---|
1週目 | 15 | 65% |
2週目 | 17 | 65% |
3週目 | 19 | 70% |
4週目 | 21 | 70% |
5週目 | 23 | 75% |
6週目 | 25 | 75% |
7週目(ディロード) | 8 | 65% |
このように、上記のサイクルを一定期間ごとに繰り返すことで、扱うウエイト重量(負荷設定)を段階的に増大させることができ、筋肉量を着実に増やしていくことができるのである。
注意したいポイント
今紹介したように、筋肉量を増やしていくにはトレーニングボリュームを増大させていく必要があるのは確かだが、トレーニングボリュームを増大させる際は、はしごを一段一段登るように計画的かつ段階的に増やしていくことが非常に重要となる。
逆に言えば、筋肉量を増やしたい一心でとにかく高重量のウエイトばかりを使用する癖をつけてしまうと、トレーニングボリュームを非計画的(非段階的に)に増大させてしまうことになる。
そして、筋肉がその高重量ウエイトの刺激にひとたび適応してしまうと、今度はトレーニングボリュームをそこからさらに増大させていくことが非常に困難となり、筋肉量を効率的に増大させることがますます難しくなる。
つまり、いつも同じ重量のウエイトでトレーニングを行ったり、同じレップ数でウエイト挙上をやめてしまったり、はたまた、オーバーロードの原則を無視してとにかく高重量のウエイトで筋トレを行おうとする取り組みでは、せっかく筋トレのために貴重な時間を割いたとしても効率的な筋肥大の実現は出来ないのである。
忙しい中でトレーニングボリュームを増やすには
上記で説明したように、トレーニングボリュームを増やすには、
- ウエイト重量
- レップ数
- セット数
- トレーニング頻度
のいずれかの要素を段階的に増やしていく必要がある。
しかし、時間的制約がある中ではセット数およびトレーニング頻度は積極的に増やすことができない。
なぜなら、セット数またはトレーニング頻度を増やせばそれだけ筋トレに費やさなければならない時間が増大するからである(多忙な我々には難しい)。
このような時間的制約下においてもトレーニングボリュームを効果的に増やすには以下の4つの方法が考えられる。
ウエイト重量を増やす
忙しい人の場合、セット数を増やすよりも、ウエイト重量を段階的に増やす取り組みを行うことでトレーニングの時間を増やすことなくオーバーロードの達成が可能となる。
しかし、「ウエイト重量を段階的に増やせ」と口では簡単に言えても、実際に扱うことのできるウエイト重量はいつか限界に達する。
たとえ、日々順調にウエイト重量を増大させれたとしても20代、30代、40代と年齢を重ねる中で運動能力はいつかピークを迎え、そのピーク以降は積極的に高重量を扱う取り組みは徐々に難しくなる。
また、怪我等の理由により、思うようにウエイト重量を増やせない場合も大いに考えられる。
そのような心配はいらない。
ウエイト重量を段階的に増やすことが困難になっても、オーバーロードを達成する方法(テクニック)はいくつも残されているのだ。
その具体的なひとつが、レップ数を増やす方法だ。
レップ数を増やす
時間制約下でオーバーロードを効率的に達成するもう一つの方法が、レップ数を増大させる方法である。
具体例として、ベンチプレス(100 kg、3セット)を(1)10レップス行った場合と、(2)11レップス行った場合と比較してみよう。
(1)のトレーニングボリュームは100×3×10=3,000となる一方で、(2)のトレーニングボリュームは100×3×11=3,300となる。
このように(当然のことながら)、レップ数を増大させればトレーニングボリュームは増大するため、着実にオーバーロードを達成することができる。
そして、レップ数を増やすメリットはトレーニングボリュームを増大させる以外にも2つある。
ひとつ目は、レップ数を増やすことを目標にしてトレーニングを行うことで、士気(モチベーション)を高く保てる点。
ふたつ目は、レップ数を増やす行為は、ウエイト重量を増やす行為よりも、怪我のリスクを低く抑えながらオーバーロードを達成できるという点である。
このように、時間的制約下ではレップ数を積極的に増やすことを目標とし、オーバーロードを達成すると良い。
トレーニング密度を高める
オーバーロードはトレーニング密度を高めることでも達成することができる。
言い換えればトレーニング密度とは、単位時間あたりにどれだけ高強度なトレーニングを行ったを示す指標として用いることができるのである。
例えば、スクワット(100 kg、8レップス、3セット)を(1)15分かけて行った場合と(2)10分で行った場合とを比較してみよう。
(1)のトレーニング密度は100×8×3÷15=160となる一方、(2)のトレーニング密度は100×8×3÷10=240となる。
つまり(1)と(2)を比較すれば分かるように、同じボリューム・内容のトレーニングであっても、短い時間でメニューをこなせばそれだけトレーニング密度を高められるということである。
逆の言い方をすれば、トレーニング密度を高めることで同じ筋トレ時間内にこなせるセット数を増大することができるということである。
その結果、トレーニングボリュームが増大し、オーバーロードを達成することができるのである。
そして、トレーニング密度を高めるには、セット間のインターバルを短く設定すれば良い。
しかし、前回記事【筋肉量を最大限に増やす筋トレのインターバルを科学的に理解しておこう】では、一般に筋肥大に最適とされるセット間のインターバルは長めに設定するのが望ましい(コンパウンド種目の場合:3~5分、アイソレーション種目の場合:1~2分)ということを紹介したばかりである[6]。
しかし、時間的制約がある中では適切なインターバルの取り方について上記と異なる考え方を導入することができる。
例えば、前回の筋トレよりも(僅かで良いので)インターバルを短く設定して前回の筋トレと同じセット数、同じレップ数を行えば、当然、単位時間当たりのトレーニングボリューム(=トレーニング密度)は増大する。
マインドマッスルコネクションを駆使する
筋トレの継続年数が長くなり筋肉量の増加速度が鈍化すると、筋トレ初心者の頃に経験したような速度でウエイト重量やレップ数を増大させていくのが難しくなる。
筋トレ上級者になると、ウエイト重量やレップ数を増やす取り組みに加えて、マインドマッスルコネクションを駆使してトレーニングのテクニックを向上させることで筋肉への刺激を増大させ、オーバーロードを達成する必要が出てくるのだ。
すなわち、ターゲットとなる筋肉部位を強く意識しながらトレーニングを行うことで、さほど意識していない時に比べて、ターゲット部位がより強く活性化し、結果として筋肥大効率が向上するのである(2018年の研究報告[7]より)。
ウエイト重量をとにかく増大させようとするあまり、筋トレを行う目的がいつの間にか、筋肉を大きく成長させることから、より高重量のウエイトを扱うことに移行してしまっている場合が良くある。
また、高重量のウエイトを挙上させるためにチートと呼ばれる体の反動を使ってウエイトを挙上させる行為は、筋肉への刺激を半減させるだけでなく、怪我のリスクを増大させる結果に終わる(ただし、チートをうまく活用するテクニックもあるがここでは割愛)。
一般に、反動を使ってトレーニングを行うと、ターゲット部位以外の筋肉を動員してウエイト挙上を行うことになるのでターゲット部位への刺激が他部位へと逃げてしまう。
したがって、ある程度の筋肉量を手に入れることができたら、次はマインドマッスルコネクションを駆使して、ターゲット部位を強く意識し、最大限に収縮させるようにトレーニングを行うように心がけることでターゲット部位への刺激を効果的に増大させられるのである(ウエイトを単に持ち上げるという感覚は捨てる)。
マインドマッスルコネクションは、ウエイト重量やレップ数のように数値的にトレーニングボリュームを計算することは難しいが、ターゲット部位に強い刺激(メカニカルテンション)が適切に加わっているかを客観的に判断し、トレーニングのテクニック(トレーニングフォーム等)を向上させていくことがオーバーロードの達成に繋がることを押さえておこう。
(※メカニカルテンションは、筋肥大を誘発する上で最も重要とされるメカニズムである。)
- オーバーロードの原則に従い、段階的にウエイト重量を増やす
➡ただし、適切なフォームを必ず維持すること - レップ数を増大させる
- 前回の筋トレよりインターバルをも短く設定しトレーニング密度を高める
- マインドマッスルコネクションにより筋肉への刺激を増大させる
➡トレーニングテクニックの向上に貢献
今回紹介した4つのオーバーロードのテクニック以外のテクニックについて知りたい方は以下の関連記事も参考にしてみて下さい。
忙しい人にオススメの筋トレ種目
ここまでのところで、限られた時間の中で筋肉量を効率的に増やしていくには、オーバーロードの原則の原則に従い、計画的にウエイト重量・レップ数・トレーニング密度を増やしていくこと、そしてマインドマッスルコネクションにより筋肉に与える刺激(メカニカルテンション)を増大させることが重要なポイントであることを紹介した。
忙しい人のための種目設定について
次の最適化ポイントは、忙しい人のためのトレーニング種目の設定についてである。
このように時間的制約がある場合は、アイソレーション種目よりもコンパウンド種目を優先的に行うことで、少ないトレーニング種目数で効率的に全身の筋肉群を鍛えることができるのである。
また、コンパウンド種目は、アイソレーション種目に比べて、より高重量のウエイトを扱うことができる点と、オーバーロードが容易(ウエイトの重量アップが狙いやすい)である点においても優れており、筋トレのメニューに積極的にコンパウンド種目を取り入れることで筋肥大を効率的に達成することができる。
- 大筋群と小筋群を同時に鍛えられるコンパウンド種目中心のメニューを組む
➡少ない種目数で効率的に全身を鍛えることができる
➡アイソレーション種目よりもオーバーロードが容易
トレーニングサイクルの具体例
一般に、全身の各筋肉部位をバランス良く効率的に鍛える場合、分割法(スプリントトレーニング)を採用することが多い。
例えば、全身の筋肉を5つに分割する場合(週に5回筋トレを行う場合)、大胸筋、広背筋、三角筋、上腕、脚の5部位に分割し、1回の筋トレで各1部位を鍛える。
この5分割法は、各部位を徹底的に追い込むことができるという利点により、主に(ナチュラルでない)ボディビルダーたちに取り入れられることが多い。
しかし、5分割法では、各部位を週に1度しか鍛えることができないという欠点がある。
これまでに発表された研究報告[8,9]を総括すると、筋肥大の最適化に適したトレーニング頻度は各筋肉部位につき週1回よりも週2回が望ましいとされている(詳しい理由はこちら)。
というのも、筋トレにより高まる筋タンパク質合成の感度は、筋トレ終了から約24時間経過した時点でピークに達し、約48時間経過後の時点でほぼ正常レベルに戻るのだ。
つまり、一般に筋トレを行うことにより筋肉が増えやすい状態(アナボリックが優勢になる状態)となるのは筋トレ終了から約48時間であるといえるのである。
このような理由から、週に5~6回トレーニングを行う場合(つまり、時間的制約がない場合)において、筋肥大を効率的に達成するには、各筋肉部位を週に2回(程度)鍛える分割法が望ましいと考えられているのである。
各筋肉部位を週に2回鍛えるスプリットの具体例は次の通りとなる。
各部位を週2回鍛えるスプリット例
月曜 大胸筋・三頭筋
火曜 広背筋・二頭筋
水曜 脚・腹筋
木曜 off
金曜 大胸筋・三角筋
土曜 広背筋・二頭筋(又は三頭筋)
日曜 脚・腹筋
上記の分割法は、ワークアウトサイエンスが2019年2月現在採用している分割法の一例である。
3分割法(①大胸筋・三頭筋、②背筋群・二頭筋、③脚・腹筋)を採用し、1週間に2サイクル行うことで各部位を週に2回鍛えることができるので、筋肥大プロセスを最適化できると考えられる。
忙しい人のための筋トレ プログラム
たった今紹介した分割法は時間がある場合には実行可能だが、時間的制約がある中では到底実行できる分割法ではない。
では、各部位を週2回鍛えるスプリット例のエッセンスをどうにかして忙しい人のための分割法(3分割法)に適応するにはどうすれば良いのか?
それでは早速、これまでに紹介してきた各最適化ポイントを全て反映した忙しい人のための筋トレプログラム(3分割法)を紹介しよう。
忙しい人のための分割法(具体例)
忙しい人のための3分割法
月曜:脚(大腿四頭筋)・二頭筋
火曜:off
水曜:大胸筋・三角筋・三頭筋
木曜:off
金曜:広背筋・脚(ハムストリングス)
土曜:off
日曜:off
※太字の筋肉部位はメインターゲット部位
上記のルーティンが忙しい人でも着実に筋肥大を達成することができる忙しい人のための3分割法である。
上記3分割法では、1回のセッションにつき2~3つの筋肉部位(大筋群+小筋群の組み合わせ)を鍛えるメニューとなっている。
具体的には、月曜日は脚(大腿四頭筋がメインターゲット)および上腕二頭筋、水曜日は大胸筋・三角筋・上腕三頭筋、そして金曜日は広背筋と脚(ハムストリングスがメインターゲット)という組み合わせでメニューを構成している。
次に、上記3分割法で実際に行う筋トレ種目およびメニューを以下に示す。
筋トレの種目&メニュー(具体例)
月曜
脚の筋トレ(大腿四頭筋狙い)
- バーベルスクワット
合計4セット:
3セット(6~8レップ+)+1セット(15~20レップ) - レッグプレス・マシン
合計3~4セット:
10~15レップ - レッグエクステンション・マシン
合計3~4セット:
10~20レップ
上腕二頭筋の筋トレ
- バーベルカール
合計4セット:
3セット(8~12レップ+)+1セット(15~20レップ) - インクラインダンベルカール
合計3~4セット:
8~12レップ
- コンセントレーションカール
合計3~4セット:
8~15レップ
水曜
大胸筋の筋トレ
- ベンチプレス
(or クローズグリップベンチプレス)
合計4セット:
3セット(8~12レップ+)+1セット(15~20レップ) - インクラインダンベルプレス
合計3~4セット:
8~15レップ - ペックデック・マシン
(or チェストフライ)
合計3~4セット:
15~20レップ
三角筋の筋トレ
- サイドレイズ
合計4セット:
3セット(8~12レップ+)+1セット(15~20レップ)
上腕三頭筋の筋トレ
- ライイングスカルクラッシャー
合計4セット:
3セット(6~10レップ+)+1セット(12~15レップ) - ディップス
合計3~4セット:
15~20レップ
金曜
広背筋の筋トレ
- デッドリフト
合計4セット:
3セット(6~10レップ+)+1セット(10~15レップ) - プルアップ
(or ラットプルダウン)
合計3~4セット:
8~15レップ - ダンベルローイング
(or ケーブルローイング)
合計3~4セット:
10~18レップ
脚の筋トレ(ハム狙い)
- ブルガリアンスクワット
合計4セット:
3セット(10~15レップ+)+1セット(12~18レップ)
(or ダンベルランジ) - ルーマニアンデッド
合計3~4セット:
8~15レップ - レッグカール・マシン
合計3~4セット:
10~20レップ
上記メニューをご覧いただければお分かり頂けるように、各セッションにおいて、大筋群および小筋群を効果的に鍛えることのできるコンパウンド種目を中心としたプログラムとなっている(最適化ポイントその2)。
※なお、コンパウンド種目は赤色で表示しています。
筋肥大に十分なトレーニングボリューム
上図についての詳しい説明はこちら
上記のメニューでは、セッション1回あたりの合計セット数が20~24セットになるように設定している。
つまり、1セットにつき3分程度かかると仮定すると、1回のセッション時間を60~(長くても)90分程度で終えられる計算になるので忙しい人でも十分に実行可能なメニューとなっている。
そして、1週間あたりの合計セット数は、各大筋群(大胸筋・広背筋等)につき10~12セット、脚(大腿四頭筋・ハムストリングス)の合計セット数は24セット前後に設定しており、これらのセット数は筋肥大を達成するのに十分なトレーニングボリュームである[8]。
また、人体で最大の筋体積を誇る脚(大腿四頭筋およびハムストリングス)のトレーニング頻度を週に2回(高頻度)に設定することで筋タンパク質合成の感度をより高め、筋肉合成を効率的に促進できるように工夫してある。
さらに筋肥大を加速させたい場合は、定期的にトレーニング種目を変化させることにより(例えば、ベンチプレス→クローズグリップベンチプレス、プルアップ→ラットプルダウン、ダンベルローイング→ケーブルローイング等)、筋肉に対して多角的な刺激を与える取り組みも筋肥大を最適化する重要な要素となる。
なお、腹筋のトレーニングは時間の余裕があるセッションの最後に、週1~2回程度の頻度で5~10分程行うと良い。
また、脚の筋トレ(当サイトで人気の記事)のポイントやオススメ種目および筋トレメニューについては以下の参考記事を参考にして下さい。
<人気記事>
忙しい人のための筋トレ プログラムのまとめ
今回は、忙しい人のための具体的トレーニングプログラムについて詳しく解説しました。
忙しい人でも着実に筋肉量を増やしていくには以下の取り組みを日々着実に達成し、オーバーロードを実現していくことが非常に重要となる。
- オーバーロードの原則に従い、段階的にウエイト重量を増やす
➡ただし、適切なフォームを必ず維持すること - レップ数を増大させる
- 前回の筋トレよりインターバルをも短く設定しトレーニング密度を高める
- マインドマッスルコネクションにより筋肉への刺激を増大させる
➡トレーニングテクニックの向上に貢献
今回紹介した、忙しい人のための分割法(3分割)および種目&メニューは、筋肥大を最適化する上で重要となるエッセンスをたくさん詰め込んだプログラムですので、是非参考にしてみて下さい。
最後に、筋トレで筋タンパク質合成の感度を高めた後は、適切な栄養管理を行うことが筋肥大を最適化する上で必要となる。
そして、その栄養管理法の中でも特に重要なポイントとなるのがタンパク質の摂取方法である。
前回の記事において、最低限の努力で合理的に筋肥大を達成したい場合のタンパク質の摂取方法について詳しくまとめましたのでそちらの記事も是非参考にしてみて下さい。
<こちらもオススメ>
充実した仕事と生活(筋トレという趣味)の調和がうまく達成できるよう、心から応援しています。
ワークアウトサイエンス
<参考文献>
[1] Schoenfeld BJ,et al (2010) The Mechanisms of Muscle Hypertrophy and Their Application to Resistance Training
[2] Schoenfeld BJ, et al (2014) Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained men.
[3] Schoenfeld BJ, et al (2015) Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men.
[4] Weiss A, et al (2000) High intensity strength training improves strength and functional performance after stroke
[5] Thomas R. Baechle,et al (2008) Essentials of Strength Training and Conditioning
[6] Senna GW,et al (2016) Effect of Different Interset Rest Intervals on Performance of Single and Multijoint Exercises With Near-Maximal Loads
[7] Brad Jon Schoenfeld (2018) Differential effects of attentional focus strategies during long-term
resistance training
[8] Jozo Grgic,et al (2018) Effect of Resistance Training Frequency on Gains in Muscular Strength
[9] Brigatto, Felipe,et al (2018) Effect of Resistance Training Frequency on Neuromuscular Performance and Muscle Morphology after Eight Weeks in Trained Men[8] http://www.jtsstrength.com/articles/author/mikeisraetel/