筋肉の大きさ ランキング(筋体積)を正しく理解して筋肥大を引き出そう

[記事公開日]2018/06/15
[最終更新日]2018/08/30

筋体積

あなたは、筋肉の大きさについて誤解していないだろうか。

大胸筋、広背筋、大腿四頭筋、そしてハムストリングスは大筋群(大きな筋肉群)に属し、上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋、そしてカーフは小筋群(小さな筋肉群)に属すると思い込んではいないだろうか。

今回は、この一般通念を覆すであろう最新の研究報告[1]に基づいた筋肉の大きさ(筋体積)のランキングを紹介し、これらの事実から筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出すためのトレーニングにおけるポイントおよび弱点部位の攻略法を詳しく解説します[1~9]。




 

 

大筋群→小筋群の順で鍛える?

 

トレーニングを行う順序として一般的に良く知られているのが、大胸筋、広背筋、大腿四頭筋などの大きい筋肉(大筋群)をまず鍛え、それから上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋などの小さい筋肉(小筋群)を鍛えるという順序。

このような順序が取られているのは、小筋群は大筋群に比べて疲労しやすいため、小筋群を鍛える前にまず大筋群を鍛えることで大筋群を十分に刺激することができると考えられているからである。

 

 

大胸筋は大筋群で上腕三頭筋は小筋群?

筋肉の大きさ

 

大胸筋と上腕三頭筋、どちらが大きいか?と問われればほとんどの人が「大胸筋」と答えるだろう。

しかし、大胸筋が上腕三頭筋よりも大きいという解釈は、大胸筋は上腕三頭筋よりも大きい(く見える)という視覚的な判断でなされたもので、実際の筋肉の大きさ(筋体積)を反映したものではない。

 

つまり長年の間、単なる視覚的判断に基づいて、大胸筋は大筋群に属し、上腕三頭筋は小筋群に属するという分類がなされることが多かったのである。

 

筋肉の大きさ

 

事実、上腕三頭筋を小筋群として分類している文献はいくらでも見つけることができる[2,3,4]。

 

しかし実のところ、上腕三頭筋は上半身の筋肉の中で最も大きい筋肉の1つであり、大胸筋や広背筋よりもその体積は大きいことが分かっているのだ[1]。

 

 

上半身の 筋肉の大きさ ランキング

 

それではさっそく、上半身を構成する筋肉の大きさランキングを紹介しよう。

筋肉部位筋体積(cm^3)
三角筋380.5±157.5
上腕三頭筋372.1±177.
大胸筋290.0±169.0
広背筋262.3±147.2
上腕二頭筋143.7±68.7
上腕筋143.7±63.7
腕橈骨筋65.1±36

 

上のランキング表からも分かるように、上半身を構成する筋肉群の中で最も大きいのが、なんと三角筋である。

次いで、上腕三頭筋、大胸筋、広背筋、上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋という順番になっている[1]。

 

 

下半身の 筋肉の大きさ ランキング

筋肉の大きさ

 

続いて、下半身を構成する筋肉の大きさランキングを紹介しよう。

筋肉部位筋体積(cm^3)
大腿四頭筋1,417.4±440.8
大殿筋764.1±138.0
内転筋625.9±172.7
ハムストリング583.0±164.1

 

上のランキングからも分かるように、下半身を構成する筋肉群の中での最も大きいのが大腿四頭筋であり、次いで大殿筋、内転筋、ハムストリングスという順番になっている[9]。

 

 

これらの研究結果が意味するコトとは?

筋肉の大きさ

 

このように、各筋肉の筋体積を実際に測定してみると、我々がこれまでに想定していた見た目による筋肉の大きさと実際の筋肉の大きさには大きなギャップがあることが分かる。

これらの結果により、同研究[1]では、例えば上腕三頭筋種目であるトライセプスエクステンションや、三角筋種目であるサイドレイズといった種目を「小筋群を鍛える種目」として認識するのは不適切であると指摘している。

小筋群という認識を持つことで、小筋群には少なめのトレーニングボリュームで良いという誤認識が生まれる可能性があるからである。

 

 

例えば、上腕三頭筋について

ドロップセット

 

上腕三頭筋の筋体積は大胸筋よりも大きいにもかかわらず、上腕三頭筋のトレーニングボリュームが大胸筋のトレーニングボリュームよりもはるかに少ないという事態は起きていないだろうか?

大胸筋は、ベンチプレス、インクラインダンベルプレス、ケーブルクロスオーバーで多角度からアプローチしているのに、上腕三頭筋はプッシュダウンだけで済ませているという人も案外多いのではないだろうか。

 

大胸筋は大筋群で上腕三頭筋は小筋群であるという認識を持っていると、知らず知らずのうちに大胸筋のトレーニングを優先し、上腕三頭筋のトレーニングボリューム(セット数)をつい少なめに設定しがちとなり、上腕三頭筋の筋肥大のポテンシャルを逃してしまうことになりかねないのだ。

 

つまり、大筋群から鍛えて次に小筋群を鍛えるという一般的なトレーニングの順序では、小筋群に属する筋肉群の筋肥大のポテンシャルを十分に引き出せない可能性が大いにあるのである。

 

 

弱点部位のアプローチ方法

トレーニングボリューム

 

もし今現在、ある特定部位の発達が遅れている、または弱点であると感じているのなら一度、その部位のトレーニングボリューム(セット数/週)を数えて確認してみると良い。

大抵の場合は、大筋群の次に鍛える小筋群だからという理由でセット数を減らしていることが多いはずだ。

このように弱点部位をアプローチするセット数が他部位に比べて少ない場合は、セット数を増やすことで筋肥大のポテンシャルをさらに高められる可能性が非常に高い。


 

 

筋肥大を最適化するガイドライン

筋肉の大きさ

 

参考までに、筋肥大を最適化するセット数およびレップ数のガイドラインを紹介しておこう!

米国スポーツ医学会の見解[5]によると、筋肥大を最適化するのに推奨される1種目あたりのセット数および、レップ数の目安は次のようにまとめられている。

1種目あたりの推奨セット数&レップ数

 

トレーニング初心者

各筋肉部位につき1~3セット、8~12レップの範囲(1 RMの70~85%のウエイト重量)

 

トレーニング上級者

各部位につき3~6セット、1~12レップの幅広いレップ範囲(1 RMの70~100%のウエイト重量)

 

トレーニング上級者がなぜ、1~12レップの幅広いレップ範囲でトレーニングを行うことが特に推奨されるのかについては以下の記事をご覧ください。

 

 

 

2018年に発表された研究報告[6]では、筋肉の大きさ(筋体積)に応じて週あたりのトレーニングボリュームを調節するのが、筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出す上で重要になるだろうと報告されている。

これは、大筋群は小筋群よりも多くのトレーニングボリュームが必要になることを示唆している。

 

つまり、これまで上腕三頭筋を小筋群として認識していた場合は、これまでの認識を改めてトレーニングボリュームを増やしてみることで弱点部位のサイズアップが可能になると考えられる。

 

さらに2016年に行われた、同一種目を10セット行った場合と5セット行った場合の筋肉増加量を比較した研究報告によれば、同一種目を10セット行った場合と5セット行った場合とで筋肉増加量には大きな差はみられないことが分かった[7]。

 

これら全ての報告を加味すると、筋肥大を効果的に誘発するには、同一種目のセット数は5セットを上限とし、コンパウンド種目とアイソレーシ種目から成る多角的なトレーニングメニューを構成し[8]、トレーニングボリュームを増大させていくことが最も効率的な方法であると結論付けることができる。

 

 

筋肉の大きさ ランキングのまとめ

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今回は、多くの人が誤解しているであろう筋肉の大きさについて詳しく解説してみました。

三角筋や上腕三頭筋のサイズに悩んでいる人は、大胸筋トレーニング時と同じくらい種目数を増やして多角度からアプローチを試みれば、必ず大きく成長させることができるはずである。

筋肥大の成果を左右する要素には、使用するウエイト重量、レップ数、セット数、セット間インターバル、ウエイトの可動範囲、ウエイトの動作速度、トレーニング頻度、トレーニング種目などといった数多くの要素があるが、これらうちで最も重要な要素がトレーニングボリュームであるということを常に念頭に置いておこう。



 

参考文献

[1] Alex Silva Ribeiro,et al (2018) Large and small muscles in resistance training: Is it time for a better definition?

[2]Assumpc¸et al (2013) Influence of exercise order on upper body maximum and submaximal strength gains in trained men

[3] Bellezza PA,et al (2009) The influence of exercise order on blood lactate, perceptual, and affective responses

[4] Chaves CP,et al (2013) Influence of exercise order on muscle damage during moderate-intensity resistance exercise and recovery

[5] (2009) American College of Sports Medicine. Progression models in resistance training for healthy adults

[6] Figueiredo VC, et al (2018) Volume for Muscle Hypertrophy and Health Outcomes: The Most Effective Variable in Resistance Training

[7] Amirthalingam T,et al (2016)Effects of a modified German volume training program on muscular hypertrophy and strength

[8] Gentil P,et al (2017) A Review of the Acute Effects and Long-Term Adaptations of Single- and Multi-Joint Exercises during Resistance Training.

[9] Lube J, et al (2016) Reference data on muscle volumes of healthy human pelvis and lower extremity muscles