筋トレで筋肉量を最大限に増やすためにはセット間のインターバル(休憩時間)をどのくらいの長さに設定するべきなのか?
この記事を読めば筋トレのインターバルに対する意識が大きく変わるはずである。
それではいってみよう!
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実は筋トレの成果を大きく左右するインターバル
筋肥大には短いインターバルが効果的とされていた頃・・
つい最近までは、筋肥大トレーニングにおけるインターバルは短く設定し(1分間)、筋肉を極限まで追い込んで成長ホルモンの分泌を促進させた方が筋肉量の増大には効果的であると広く認識されていた。
確かに2010年に発表された研究報告[1]によれば、セット間のインターバルを短くとった(1分間)方が、長くとったとき(2分間)に比べて、トレーニング直後の成長ホルモンの分泌量は有意義に高い値を示したと報告されている。
短いインターバルでトレーニングを行えば、成長ホルモンの分泌が増大し、筋肥大が加速すると広く認識され始めた矢先、2012年に発表された研究報告[2]により事態は大きく一変するのである。
筋トレによる成長ホルモンの一時的な上昇は筋肥大に影響しない
2012年に発表された研究[2]では、筋トレにより分泌された成長ホルモン・テストステロン・IGF-1と筋肥大との関係を調べる実験が行われた。
同研究では、若年男性ら(56名)に12週間にわたり高強度な脚トレーニングを行わせたところ、筋肉量は有意義に増加していたものの、この筋肉量の増加と成長ホルモン・テストステロン・IGF-1との間にはハッキリとした相関関係は認められなかったのである。
そして、この研究結果から以下の見解が得られた。
本サイトでも以前、スクワットをはじめとする高強度トレーニングにより、テストステロンをはじめとするアナボリックホルモン値を上昇させてもその値は筋トレ終了後約1時間程度でトレーニング前の平常値まで低下することを紹介した(前回記事より)。
つまりトレーニングを行うことによる一時的なホルモン値の上昇は筋肥大に大きく影響しないと考えられるのである。
そしていよいよ、本日の主役「長いインターバル」がここで登場するのである。
筋肥大には長いインターバルが有効
現在では、筋肉量を効率的に増加させるにはインターバルは長め(3~5分)に取った方が効果的であるという見解が広く支持されている。
2016年に発表された研究報告[3]によれば、若年男性ら(21名)を短いインターバルグループ(1分間)と長いインターバルグループ(3分間)の2グループに分け、両グループに同一内容のトレーニングを8週間にわたって行わせたところ、長いインターバルのグループにおいて、筋肉増加量および最大筋力の伸び率が顕著に高くなったという。
レップ数が増えるということは、言い換えればトレーニングボリュームも増大するということである。
勘の良い人ならもうお気づきかもしれないが、筋肥大の成果を大きく左右する主要ファクターは実のところ「トレーニングボリューム」なのである。
筋肥大とトレーニングボリュームの深い関係について詳しく知りたい人は以下の記事を参照してください。
長いインターバルで筋肥大をさらに誘発
トレーニングにより筋肉量を最大限に増やすには、インターバルを長めにとり、筋肉を十分に回復させてから次のセットを行うことがポイントなる。
これにより、レップ数(つまりトレーニングボリューム)を増大させることができ、結果的に筋肉量を効率的に増やすことができるようになる。
またこの見解を強くサポートする研究報告が複数報告されている[4,5]。
筋肥大に最適なインターバル
個々のレベルの違い等により、筋肥大に最適なインターバルを厳密に設定するのは難しいが、2016年に報告された有名な研究報告[6]を参考にして筋トレのインターバルに関するガイドラインを紹介しよう。
コンパウンド種目
(ベンチプレス、スクワット、デッドリフトなど)
インターバル:3~5分
アイソレーション種目
(バーベルカール、ケーブルフライなど)
インターバル:1~2分
研究報告によれば、デッドリフトなどのコンパウンド種目を行う場合は少なくとも3~5分のインターバルを、バーベルカールなどのアイソレーション種目を行う場合は少なくとも1~2分程度のインターバルを確保することで、筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出せると結論付けている。
また、同研究によりインターバルを長くとった時の方が、インターバルを短くとった時よりも総レップ数は増大することも明らかとなった。
長いインターバルのデメリットは?
短いインターバルでトレーニングを行うことに慣れている人は、長いインターバルでトレーニングを行うと筋肉を休ませ過ぎて筋肥大の効果が半減するのではないかと考えるかもしれない。
したがって、「今日は少々疲れている」などの理由で普段よりもインターバルを長くとる必要がある場合は、インターバルを長めにとって筋肉を十分に回復させながらトレーニングを行うとよい。
筋肥大に最適な 筋トレのインターバル の具体例
今回紹介した、筋肥大に最適なインターバルを大胸筋トレーニングに適用してみよう。
ベンチプレス
5レップ×4セット(インターバル:3~5分)
インクラインダンベルプレス
8~12レップ×3セット(インターバル:2~3分)
ダンベルフライ
8~12レップ×3セット(インターバル:1~2分)
ケーブルクロスオーバー
15~20レップ×4セット(インターバル:30秒)
上記例のように、ベンチプレスやインクラインダンベルプレスなどのコンパウンド種目では、インターバルを長めに(3~5分)設定し、その後のダンベルフライやケーブルクロスオーバーなどのアイソレーション種目では、インターバルを短めに(1~2分)設定するとよい。
<筋肥大を引き出す3つのメカニズム>のページでも紹介しているように、短いインターバルで筋肉を追い込む低負荷・高回数トレーニングを行うことでメタボリックストレスを誘発することも筋肥大の観点からは有効である。
筋トレのインターバル のまとめ
今回は、普段あまり意識することのない「筋トレのインターバルの重要性」について注目してみました。
ひとつ補足しておきたいのが、筋肉量を最大限に増やしていくには「インターバルを長めに取って、筋肉を回復させてトレーニングボリュームを増大させることが重要ですよ」というのが本記事における要点であり、短インターバルトレーニングは効果が無いと言っている訳ではないので誤解のようにしてください。
また、筋肉の成長を引き出し続けるには、決まりきった単調なトレーニングを行うのではなく、ウエイト重量、レップ数、インターバル、セット数、トレーニング種目といった様々な要素に変化を加えて、あらゆる方向から筋肉にアプローチを図る必要があることを押さえておこう。
この記事の続編<筋肥大に最適なレップ数>もあわせてご覧ください。
参考文献
[1] Rahimi R, et al (2010) Effects of very short rest periods on hormonal responses to resistance exercise in men. J Strength Cond Res [2] West DW, et al (2012) Associations of exercise-induced hormone profiles and gains in strength and hypertrophy in a large cohort after weight training [3] Schoenfeld BJ,et al (2016) Longer Interset Rest Periods Enhance Muscle Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men. [4] Senna GW,et al (2016) Effect of Different Interset Rest Intervals on Performance of Single and Multijoint Exercises With Near-Maximal Loads. [5] McKendry J,et al (2016) Short inter-set rest blunts resistance exercise-induced increases in myofibrillar protein synthesis and intracellular signalling in young males. [6] Senna GW,et al (2016) Effect of Different Interset Rest Intervals on Performance of Single and Multijoint Exercises With Near-Maximal Loads<続編シリーズ>