ボディビル 大会前の減量期の食事・サプリ・水抜き・カーボローディング、その他準備全てについて

[記事公開日]2018/05/14
[最終更新日]2022/05/18

ボディビル

昨今のボディビル人気およびフィジーク人気の高まりで、今後ますます多くの競技者が増えると見込まれている。

 

しかし、今現在のところ、大会に向けて具体的にどのように減量計画を立てて、どのような準備を行っていけば良いのかについての情報が圧倒的に不足している。

 

ボディビル




そこで本記事では、今後ボディビルやフィジークの大会に出場しようと考えている人向けに大会前の減量方法、カロリー設定、PFCマクロ設定、食事回数・頻度、推奨されるサプリメント、水抜き・塩抜き、カーボディプリート、カーボローディングといった大会出場に向けて押さえておくべき重要ポイントを複数の文献データ[1~30]に基づき科学的見地から詳しく解説していきます。
 

ボディビル 大会前の減量ペース

減量時の摂取カロリー

 

減量期の摂取カロリーを低く設定し過ぎると筋肉量および筋力の減少が著しく顕著になることが分かっている[2]。

大会前の減量ペースは、筋肉量の減少を最小限に抑えるという観点から週あたり体重の0.5~1%が推奨される。

例)

体重80 kgの人の場合、週に体重の1%のペースで減量を行うには週あたり(80×0.01=)800 gのペースで減量を行うことになる。

 

あるボディビルダーが減量を間に合わせるために減量期の後半に摂取カロリーを大きく落としたところ、筋肉量の減少が顕著にみられた報告[4]があることからも、減量は余裕をもって計画的に行うことが推奨される。

 

減量期の摂取カロリーの設定方法については以下のページを参考にして下さい。

 

 

ボディビル 大会前の減量期間について

睡眠

 

大会前の減量期間は通常、2~4ヵ月の範囲(長い場合は6ヶ月程度)で設けられることが多い。

筋肉量を極力維持したまま減量を行うには(先ほど紹介した)適切な減量ペース、PFCバランス、高強度トレーニングを適切に組み合わせることが重要となる。

 

また、減量が進んでいくと体重の減少に加えて代謝が低下しエネルギー消費も落ちるため、定期的に摂取カロリー数を設定し直し、体重を追跡することで減量が着実に進んでいることを確認する作業が必要になる。

 

 

PFCバランスについて

筋肉を残して体脂肪だけを落とす減量期




大会へ向けた減量期における最適なPFCバランスとその考え方について見ていこう。

 

タンパク質について

高タンパク質食材で筋肥大

 

減量期に推奨される1日あたりのタンパク質摂取量は、除脂肪体重の2.3~3.1倍を目安とする。

例)

除脂肪体重が74 kgの場合、推奨されるタンパク質量は170~230 gとなる。

 

慢性的にカロリー不足となる減量期は筋肉量が減少しやすい期間となるが、タンパク質を十分に摂取することにより筋肉量の減少を最小限に抑えることができることが分かっている[3]。

また、エネルギー不足が慢性的に続く減量期には、増量期よりもタンパク質の摂取量を増やした方が良いとする研究報告[5]も多々発表されていることから、減量期には少なくとも上記の摂取量を確保するように努めた方が賢明である(増量期におけるタンパク質推奨量は1.2~2.2 g/体重 kg[6])。

以上をまとめると、体脂肪率が低くなるにつれて、そして増量のペースを速めるにつれ、筋肉量を維持するためにより多くのタンパク質量を確保する必要があるということである。

 

 

脂質について

 

推奨される1日当たりの脂質の摂取量は摂取カロリーの20~30%の範囲を目安とする[10]。

例)

減量期の摂取カロリーが2500 kcalの場合、脂質から摂取すべきカロリー数は(2500×0.20~0.30=)500~750 kcalとなる(グラム換算で脂質56~83 g)。

 

筋肉量の維持に必要となるタンパク質、そしてトレーニングパフォーマンスの維持に必要となる炭水化物が特に注目されがちになるが、脂質もまたアナボリックホルモンに大きな影響を及ぼす重要なファクターである。

テストステロン

 

脂質が総摂取カロリーに占める割合を40%から20%に落とすと、劇的ではないがある一定の割合でテストステロン値が低下するとの報告がなされている[9]。

また、テストステロン値を大きく左右するその他の要因としては体脂肪率とカロリーの制限量が挙げられる。

大会前のボディビルダーを対象にした研究[8]において、減量開始から6週間の間にテストステロン値の減少が認めらたことからも分かるように、減量期はテストステロン値が低下する

 

これらの影響を最小限に抑えるためにも脂質の摂取量は摂取カロリーの20~30%を目安するが、他の栄養素(たんぱく質と脂質)とのカロリーバランスの兼ね合いが上手くいかない場合は、脂質の摂取量を摂取カロリーの15~20%まで抑えても良い。

 

 

炭水化物について

 

減量期の摂取カロリーからタンパク質と脂質から摂取する分のカロリーを引いた残りのカロリーを炭水化物から摂取する。

例)

摂取カロリー2500 kcal、タンパク質からのカロリー900 kcal、脂質からのカロリー400 kcalとすると、炭水化物から摂取すべきカロリー数は(2500-900-400=)1200 kcal(グラム換算で炭水化物300 g)。

 

オーバートレーニング

 

減量期だからと言って不必要に炭水化物の摂取量を制限すると、トレーニングパフォーマンスが低下する恐れがあるので、特にトレーニング前には十分な炭水化物を摂取して筋グリコーゲンを充填しておくことが重要である。

しかしこれは「タンパク質の摂取を犠牲にしてまで炭水化物の摂取を優先しろ」ということを意味するものではない

 

タンパク質の摂取量を犠牲にして炭水化物の摂取を優先して減量を行った場合、タンパク質の摂取を優先して減量期を行った場合に比べて、筋肉量の減少が顕著にみられたとの報告[7]がなされていることから、やはり減量期にはタンパク質の摂取を最優先に考えてトレーニングパフォーマンスに支障をきたさない範囲で炭水化物の摂取量を制限するのが最良策であると考えられる。

 

ボディビル

 

大会前の11週間にわたり減量中のボディビルダーを調査した研究報告[8]によれば、大会の数週間前に炭水化物の摂取を増やせば筋肉量の減少につながる代謝やホルモンの変化を緩和できたのではないかと述べている。

したがって、一度目標となる体脂肪率まで減量を行ったら炭水化物の摂取量を巣やしてカロリー収支のマイナス幅を小さくすることが有効な戦略になる可能性がある。

 

具体例)

皮下脂肪が完全になくなるまで体脂肪率を落とし終わったら、炭水化物の摂取量を25~50 g増やしてカロリー収支のマイナス幅を小さくし、トレーニングパフォーマンス低下と筋肉量の減少を最小限に抑えるように努める。

 

 

減量期の摂取カロリー&PFC管理のまとめ

 

  • 減量のペース:週当たり体重の0.5%〜1%
  • タンパク質:除脂肪体重1 kgあたり2.3〜3.1g
  • 脂肪:摂取カロリーの 20〜30%
  • 炭水化物:残りのカロリー分を炭水化物で摂取

 

トレーニングパフォーマンスの低下がみられた場合は、先ほど紹介したように脂質の割合を減らし、炭水化物の摂取量を増やしてみると良い(摂取カロリーは維持する。)

 

 

理想的な食事タイミングと頻度

減量期のフル食

 

トレーニング前後の栄養摂取に特に重点を置き、1回の食事につき体重1kgあたり0.4~0.5gのタンパク質を含む食事を1日に3~6回摂取する(個人のライフスタイルに合わせて食事回数を設定すると良い)。

例)

体重80 kgの場合、1回の食事でタンパク質を(80×0.5=)40 g摂取するようにする。

 

また、現在の大多数の研究報告の見解によれば、食事のタイミングや頻度を変えても、摂取カロリーが同じである限り、体脂肪の減少あるいは筋肉量の増減に及ぼす影響は僅かであると考えられている[11]。

 

というのもトレーニング後24時間は筋タンパク質合成感度が高まるためことが分かっている[12]。

したがって、栄養管理は24時間単位で考え、1日のトータルの摂取カロリーとタンパク質摂取量をしっかりと確保するように努め、かつトレーニング前後の摂取をしっかりと行っておけば最良の成果が手に入ると考えられる。



さらに一歩踏み込んでみよう。

 

食事における重要ポイント

寝る前のプロテイン

 

食事の度に筋タンパク質合成の応答を高めるためには、各食事に一定量のロイシンが含まれている必要がある。

というのも、これまでの研究により、1回の食事に約3 g程度のロイシンが含まれていることで、筋タンパク質合成(筋肉の合成)の応答を効果的に高められることが分かっているからである[13]。

ロイシンはmTORシグナル伝達を活性化させ、筋タンパク質応答を誘発する働きがある。

プロテインと筋トレ

 

1回の食事で良質なタンパク質を30~40 g摂取すれば約3 gのロイシンを問題なく確保することができるので、食事の度に筋タンパク質合成の応答を最大限に高めることができるようになる。

つまり、各食事には良質なタンパク質を30~40 g含んでいることが推奨される。

 

 

食事の頻度についてもポイントがある。

食事頻度

食事を何回も摂取し、血中アミノ酸濃度を常に高い状態に維持すると筋タンパク質合成の応答は著しく鈍化することが研究により分かっている[14]。

よって、筋タンパク質合成を最大限に引き出すには、食事と食事の間隔を十分(4~5時間)に空けるようにし、1日の食事回数は6回を限度に調整すると良い(だらだら何かを食べ続けないこと)。

 

 

サプリメントについて

オススメサプリメント

 

数あるサプリメントの中で、ボディビル大会の準備において一定の効果が研究により認められている主要サプリメントを6種類紹介します。

それらのサプリメントというのが、クレアチンモノハイドレート、ベータアラニン、HMB、BCAA、シトルリンマレート、カフェインである。

 

クレアチンモノハイドレートについて

クレアチン

クレアチンモノハイドレートは、最もメジャーなスポーツサプリメントのひとつであり、摂取により筋肉量の増加や筋力アップの効果が多くの研究報告により実証されている[15]。

最近では、クレアチンハイドロクロライドやバッファードクレアチンといった付加価値の付いた新しいタイプのクレアチンも登場しているが、現在のところ、これらの新しいクレアチンの付加価値をサポートする研究報告はなされておらず、最もスタンダードなクレアチンモノハイドレートが筋肉中のクレアチン濃度を最も高く引き上げることができるとされている[16]。

 

 

ベータアラニンにについて

ベータアラニン

ベータアラニンは、ボディビルダーの間で徐々に人気が高まりつつあるサプリメントの一つである。

ベータアラニンを摂取することによりカルノシンが合成され、これにより筋肉中のpHを中和させる効果がある。

その結果、疲労物質が筋肉中に蓄積するのを遅らせる効果が期待でき、トレーニングボリュームを効果的に増大させることができる[17]。

 

 

HMBについて

HMBは、ロイシンの代謝物質であり、

  • 筋肉量増大(筋肥大)
  • 筋分解の抑制(カタボリックの抑制)
  • 筋力アップ
  • 体脂肪量減少

 

といった効果があるとされている[18]。

その中でも特に顕著な効果として挙げられるのが、加齢または減量期のエネルギー不足時に引き起こされる筋分解を抑制する効果である[19]。

したがって、減量期における筋分解を抑制したい場合にHMBサプリメントを摂取することが望ましいと考えられる。

 



 

 

BCAAについて

エクステンド

BCAAは3種の必須アミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)から成るサプリメントである。主な効果としては、トレーニング中にエネルギーが枯渇した場合に代替エネルギーとして使用され筋肉の分解作用を防ぐ効果である。

またBCAAの1成分であるロイシンは、筋タンパク質合成を誘発する効果があることが示されていることから筋肉量の増大に特に重要な成分である[20]。

しかし、ロイシンの効果を最大限に引き出すにはバリンとイソロイシンと組み合わせて摂取する(つまりBCAAを摂取する)のが最も効率的であるとされている[21]。

 

またBCAAのその他の効果ついては複数の研究[22]により、摂取により筋タンパク質合成を活性化させると同時に筋分解を抑制する効果があることが示されている[22]。

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シトルリンマレートについて

シトルリンマレート

 

シトルリンマレートは近頃急激に人気が高まりつつあるサプリメントのひとつで、当サイトにおいても自作プレワークアウトサプリの作り方のページで紹介したばかりである。

シトルリンマレートは体内でアルギニンに変換され、そしてアルギニンから一酸化窒素(NO)に変換される。

この作用により筋肉への血流が増大し、強いパンプ感が得られるのと同時に、筋タンパク質合成に必要となる各栄養素が筋肉に効率的に運搬されるようになるのである。

 

その他の効果としては、瞬発的なエネルギー(ATP)の産生の効率化(ATP産生34%UP)[23]、レップ数の増大(レップ数53%増)筋肉痛の緩和(筋肉痛40%減)[24]、疲労感の遅延[23]というように様々なプラスの効果を期待することができる。

 

確かに私もシトルリンマレートを自作プレワークアウトサプリに加えてからベンチプレスの記録が3レップで停滞していたのがいきなり6レップに急激に増えたのを覚えている。

事実、シトルリンマレートを8週にわたり摂取したところ、ベンチプレス(10 RM)重量が6 kgも増加したという報告もある[25]。

 

 

 

カフェインについて

プレワークアウトサプリ

 

カフェインは言わずと知れたプレワークアウトサプリの主成分であり、興奮作用を持ち、集中力を高めてトレーニングのパフォーマンスを向上させる効果がある[26]。

非常に安価であることと、その確かな効果により市場に出回るほとんどのプレワークアウトサプリにカフェインが配合されている。

1日あたりのカフェインの摂取推奨量は、トレーニング前に体重1 kgあたり5~6 mg(体重80 kgの場合は、カフェイン400 mg)とされている(※実際、この量はやや多過ぎる気もするので体重1 kgあたり4 mgで十分)。


その他のサプリメントについて

 

これまで報告された複数の研究[27,28]により、減量中のボディビルダーは特に、ビタミンD、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄分が不足する傾向にあることが分かっているので食事から摂取できない場合は積極的にサプリメントを使用して補うとよい。

 

 

大会直前の水抜き・塩抜きについて

 

水抜きの必要性について

 

大会前の数日前から数時間前まで、水抜きや塩抜きにより皮膚と筋肉の間の皮下水分量(細胞外水分)を減らすことで筋肉のカットをさらに引き立たせる行為が行われることが良くあるが、この作業は危険を伴うだけなく、逆に見た目を損なう可能性が極めて高い。

というのも、我々の体は実に精密に構成されており、筋肉細胞などに蓄えられている細胞内水分と量と皮下水分量(細胞外水分量)のバランスは常に一定となるように保たれており、これらのバランスを崩して皮下水分量だけを減らすことは通常不可能であると考えられる。

つまり、水抜きを行えば、皮下水分量だけでなく細胞内の水分も減少するのである。

この結果、ステージに上がる直前に筋肉をパンプアップさせようとしても細胞水分量が低下しているため、思うように筋肉をパンプさせられず筋肉のカットは出るどころか、筋肉の張りがなくなってしまう事態が起こるのである。

 

 

塩抜きの必要性について

塩抜き

 

塩抜きについても効果は無いと考えられる。

研究報告[31]によれば、食事から摂取するナトリウムをほぼ完全に排除したとしても血中のナトリウム濃度は一定に保たれることが分かっている。

塩抜きにより体内のナトリウムが枯渇するとナトリウムを体内に貯め込む働きを持つアルドステロンと呼ばれるホルモンの分泌が促進される。

このアルドステロンは体内に水分とナトリウム保持する働きがあるため、最終的に体は浮腫み、メリハリの無い見た目になる可能性が高いと示唆されている。

 

また、塩抜きを行うとカーボローディングが適切に行えなくなるという問題も発生する。

というのも、塩抜きによりナトリウムが枯渇するとグルコースの吸収効率が下がり、結果としてグルコースを効率的に蓄えることができなくなるのである。

そして、最終的に起こるのが消化しきれなかったグルコースが小腸にとどまり、消化のためにさらなる水分を引き寄せ、腹部が膨れてしまうのである。

したがって、現在の科学的見解からは大会前の準備として水抜きおよび塩抜きを行う必要はないと考えられる。

 

 

大会前のカーボローディングについて

2分割

 

大会前の最後の調整として炭水化物の摂取量を増やして、筋グリコーゲン(筋肉に蓄えられる糖分)を充填することで筋肉を大きく見せるカーボローディングが行われることが多いが、その効果については個人差があるので各自で前もって検証を行うのが良い[29]。

理論的には筋が通る行為ではあるが、その科学的効果の是非については適切な検証が必要である。

しかし、数ヵ月間にわたる減量により、筋グリコーゲン量が減少している場合に、炭水化物の摂取量を増やして筋肉のサイズをアップさせることは十分可能であると考えられる。

カーボローディングを行う際は、鏡で筋肉の張りを確かめながら炭水化物の摂取量を微調節するようにする。

ボディビル

 

大会前にカーボローディングを行ったボディビルダーを調査した研究によれば、大会6週間前と比べて、大会前日の上腕二頭筋のサイズが4.9%増加したと報告されている[30]。

この上腕二頭筋のサイズアップが、筋グリコーゲンが増加したものによるかどうかはさらなる調査が必要であるが、カロリー制限下にある減量期終盤に筋肉量が増大することは考えにくいので、上腕二頭筋のサイズアップがカーボローディングにより筋グリコーゲンが充填された結果であると考えることは十分可能である。

 

この記事の冒頭でも紹介したが、カーボローディングを行う場合は、十分にゆとりを持たせて減量計画を立て、目標となる体脂肪率まで減量を終えた後、早い段階でカーボローディングを取り入れて筋肉の張りやカットの良し悪しを判断するのが望ましい。

 

ボディビル 大会10日前の最終調整

ボディビル

 

大会1週間前はボディビル・フィジーク大会におけるピークウィーク(=Peak Week)と呼ばれるが、このピークウィークに行う最終調整において最も重要なカギを握るのが炭水化物の摂取方法である。

炭水化物の摂取量を増やすカーボローディング期間を設けることによってステージに立つ間、一時的に普段よりも筋肉に張りを出して大きく見せ、カットを引き立たせることができるようになる。

まさに大会のために究極の状態を作り上げる重要なプロセスと言える。

大会までのどのように準備を行うべきかを順を追って見ていこう。

 

 

1.余裕を持った減量計画を立てる(大会10日前を目途)

 

後で説明するカーボローディングを入念に行うには余裕をもって減量を済ませておきたいところである。

大会に向けた最終調整を大会日の10日前から行うと決めた場合は、それまでに減量を終えられるように前もって減量計画を綿密に立てておく必要がある。

 

2.カーボローディングを行う(大会1週間前から4日前)

炭水化物

 

通常、大会1週間前から4日前まで炭水化物の摂取を極力減らすカーボディプリート期間を設けて筋グリコーゲンを枯渇させ、その後大会3日前から大会日直前にかけて炭水化物を多く摂取するカーボローディング期間を設けて枯渇した筋グリコーゲンを急速に充填させて筋肉に張りを持たせる作業が行われることが多い。

しかし、このプロセスには欠点がある。

カーボローディング期間に炭水化物を多く摂取し過ぎると最終的に浮腫(むく)みが生じ、逆に炭水化物の摂取量が足りないと筋肉の張りが不十分になってしまうのである。

この時、カーボローディング期間を大会の直前に設けると、これらの問題を修正するための時間が取れず最終調整が上手くいかない場合が大いに考えられる。

 

これらの問題を解決するには、カーボローディング期間を大会1週間前から4日前に設けるのである

そうすれば、カーボローディングで炭水化物を多く摂り過ぎた場合は大会前までの3日間に炭水化物の量を減らし、逆に炭水化物の摂取量が足りなかった場合には炭水化物の摂取量を増やすといった微調整が行えるようになるのである。

 

3.カーボローディングは極端に行わない

炭水化物

 

カーボローディングで摂取する炭水化物の量は多くても減量期に摂取している炭水化物の摂取量の3倍までに抑えておく。

例)

減量の最終段階において1日に100 gの炭水化物を摂取していた場合、カーボローディングで摂取する炭水化物は300 gを限度として調整を行う。

炭水化物を極端に多く摂取すると浮腫んで見え、逆に炭水化物の摂取量が足りないと筋肉の張りやカットが不十分な仕上がりとなる。

 

 

4.タンパク質・脂質の摂取量は大きく変化させない

寝る前のプロテイン

 

大会1週間前におけるタンパク質および脂質の摂取量の調整は仕上がりに大きな差を生まない。

大会1週間前からカーボローディングを始める場合は、カーボローディング開始日に合わせてタンパク質の摂取量を20%程度減らし、大会前日まで1日ごとにタンパク質の摂取量を5%ずつ増やしていく。

脂質の摂取量は維持するか、状況に応じて減らしても良い。

 

 

5.大会当日のカーボローディング

ボディビル

 

大会当日は、予備審査の6~8時間前には起床し、30 g(体重60 kg程度の場合)~80 g(体重100 kg程度の場合)の炭水化物を2~3時間おきに摂取する。

水分の摂取は食事毎に200 ml程度摂取し、予備審査2時間前までは必要に応じて食間に水分を補給する。

 

 

6.大会当日のタンパク質と脂質の摂取

ボディビル

 

10 ~20 gの少量のタンパク質5~10 gの少量の脂質を上記の炭水化物の摂取と同じタイミングで摂取する。

 

 

7.予備審査2時間前の食事について

 

タンパク質、炭水化物、脂質、ナトリウムを含む食事を予備審査の2時間前に摂取しておく。

目安としては、20~30 gのタンパク質、40~100gの炭水化物、15~30 gの脂質、800~2000 mgのナトリウム、そして水250 mlを摂取する(個人差があるので各自で調整)。

これらを全てまとめた大会10日前の食事プランを紹介します。

参考になれば幸いです。