筋トレと水分補給 の重要な関係|正しい水分摂取でベンチプレスの重量は上がる

[記事公開日]2019/02/18
[最終更新日]2020/04/01

筋トレと水分補給
筋トレで筋肉がつかない

 

「今日はベンチプレスのMAX重量を更新するぞ!」と意気込んでジムに足を踏み入れたにも関わらず「重量更新どころか、いつもよりパワーが出ない・・・・」と心底がっかりした経験はないだろうか?

食事管理や睡眠時間に気を使っているのに「今日は何だか筋トレの調子が悪い・・・」と感じるとき、それは体内の水分量の不足が原因かもしれない。

本記事では、筋トレのパフォーマンスを最大限に高める上で水分補給がいかに重要かそして、正しい水分補給の方法(ガイドライン)について、これまでに発表された研究報告[1~8]に基づいて詳しく解説します。




 

 

筋トレと水分補給 の深い関係

筋トレと水分補給

 

筋肉を効率的に増やすための食事管理(カロリー管理)を徹底し、十分な睡眠時間を確保しているにも関わらず、いつも使用しているウエイトがなんだかいつもより重く感じる、あるいは筋トレに対するモチベーションが思わしくないと感じる場合、それは体内の水分量の不足が原因である可能性がある[1]。

広く一般に知られているように、我々の体の約60~70%は水分で構成されている。

筋トレと水分補給

 

水は、体温調節や老廃物の排出、さらには必要な各栄養素を全身に運搬するという我々の生命維持には欠かせない非常に重要な役割を担っており[7]、血液や各臓器、そして筋肉内に特に多く含まれている。

さらに水は、我々の生命維持のみならず、筋トレのパフォーマンスにも大きな影響を与えることがこれまでの研究報告[1,2]により明らかとなっている。

筋トレと水分補給

 

2011年に発表された水分補給と人体の生体機能について調査した研究報告(上記論文)[1]によれば、我々が体に蓄えている水分量(=体水分)の損失が体重の2%に達すると、アスリート選手の運動パフォーマンスが顕著に低下することが分かったという。

オーバートレーニング

 

それだけでなく、水分不足によりモチベーションの低下や疲労感の増大を引き起こすことも分かったという[1]。

筋トレと水分補給

 

この体重の2%という水分量は体重70 kgの人の場合でいうと、およそ(70 kg×0.02≒)1400 mlの水分に相当する。

筋トレと水分補給

 

さらに、2001年に発表された水分補給とベンチプレスの(1 RM)最大挙上重量の関係を調査した研究報告[2]によれば、体重のおよそ1.5%の水分量(体重70 kgの人の場合、およそ1リットルの水分量)を失った場合、ベンチプレスの最大挙上重量がおよそ7 kg(118 kg→111 kg)低下したことが分かったという。

そして、水分不足の状態から水分補給を行い、再度ベンチプレスの最大挙上重量を測定したところ、最大挙上重量はほぼ元の水準(つまり118 kg)にまで回復したという。

つまり、筋トレのパフォーマンスやモチベーションを良好に保つには、水分をしっかりと補給しておくことが重要であると言えるのだ。

 

 

推奨される水分摂取量

筋トレと水分補給

 

筋トレのパフォーマンスを最適化するために必要となる1日あたりの水分摂取量は個々の活動レベルや体質にある程度左右されるが、高強度で筋トレを行う場合、1日あたりに推奨される水分摂取量はおよそ3~4リットル前後(文献内では3.7リットル)が推奨されている[8]。

我々は、1日の活動を通して約2~2.5リットルもの水分を消費しているとされるが[7]、筋トレをはじめとする高強度の運動を日常的に行う人は上記の通り、1日あたり3~4リットル前後の水分補給が推奨されている。


筋トレと水分補給

 

また一般に、我々は1日に摂取する全水分量のうちの約20%は食品から、そして残りの約80%は水やジュースなどの飲料物から摂取している[8]。

つまり、我々が飲料物(つまり水分補給)で摂取すべき水分量は全水分摂取量(3~4リットル)の80%、すなわち2.4~3.2リットルの水分量ということになる。

※ただし水分の過剰摂取は避けること

 

ポイント
1日に飲料物から摂取すべき水分量は2.4~3.2リットル

 

 

推奨される水分摂取のタイミング

プロテインと筋トレ

 

筋トレに向けて水分摂取を行う際、大抵の場合、ジムに到着してからワークアウトドリンク(あるいは水分)を摂取し、その後すぐに筋トレを開始することが多いのではないだろうか。

しかし、筋トレのパフォーマンスを最大限に高めたい場合、この水分の補給方法には若干の改善の余地がある

というのも、2004年に発表された研究報告[3]によれば、摂取した水分が体に吸収・使用されるようになるまでに最大で1時間程度の時間を要することが明らかとなっているのである。

つまり、筋トレ開始前の段階で、すでに水分が不足している場合、筋トレの直前に水分補給を行うだけでは筋トレのパフォーマンスを最適化するには少々遅すぎるのである。

また、水は一度に大量に摂取しても体に吸収されにくい(=単位時間あたりに吸収できる水分量には限界がある)という特性があるため、水分補給を行う場合は筋トレの直前だけではなく1日を通してできる限りこまめに摂取し、水分を大量に消費する筋トレに前もって万全の準備をしておくのが望ましいと考えられる。

 

ここで、アメリカスポーツ医学会が発表している水分補給に関するガイドラインを紹介しておきます。

推奨される水分補給量(体重1 kgあたり)

  • 筋トレ4時間前:5~7 ml
  • 筋トレ2時間前:2~5 ml
  • 筋トレ直前:必要に応じて補給
    →400~700 ml程度(ワークアウトドリンクとして)

 

例)体重が70 kgで、仕事や学業等を18時頃に終えて19時頃から筋トレを開始する場合、15時頃に(70kg×6=)420 mlの水分補給17時頃に(70 kg×5=)350 ml程度の水分補給を行っておくのが望ましい。

 

参考までに、私が普段行っている「水分補給のタイミングおよび水分摂取量」の目安を紹介します(以下)。

水分摂取のタイミング&摂取量の例

  1. 朝食時:300 ml
  2. 昼食時:300 ml
  3. 筋トレ4時間前:420 ml
  4. 筋トレ2時間前:360 ml
  5. 筋トレ中:700 ml
  6. 筋トレ後:300 ml
  7. 夕食時:300 ml
  8. 就寝時:300 ml

 

飲料物からの水分摂取量:
約3リットル/day

 

※上記水分量は一度にがぶ飲みするのではなく、ゆっくりと摂取するようにして下さい。

カーボドリンク

 

また、筋トレ直前および筋トレ中はだたの純粋な水を摂取するよりも、カーボドリンク(炭水化物)やBCAAを摂取することで、筋出力の向上および疲労感の遅延[4,5]、さらには筋トレ中の筋分解の抑制[6]といった効果を期待することができるため、筋トレ前・中における水分補給時にはカーボドリンクとBCAAも併せて摂取しておきたいところである。

プレワークアウトサプリ



また、筋トレ上級者の方は市販されているプレワークアウトサプリを摂取するか、プレワークアウトサプリを自作することで、筋トレ時の集中力を極限まで高め、筋トレのパフォーマンスを飛躍的に高める効果が期待できる。

 

 

筋トレのパフォーマンスを高める水分摂取方法のまとめ

筋トレと水分補給

 

本記事では、筋トレのパフォーマンスを最適化するために押さえておきたい正しい水分摂取の方法について紹介しました。

通常、我々の体は体内の水分減少にあまり敏感ではなく、体水分の損失が体重の2%程度に達した時点で喉の渇きを感じると言われており、「喉が渇いたな」と感じる前にこまめに水分を摂取する習慣を付けておくことが重要となる。

仕事場や学校等の出先では大きめのマイボトルを携帯し、いつでもこまめに水分補給を行えるようにしておこう。

水分摂取のタイミング&摂取量の例

  1. 朝食時:300 ml
  2. 昼食時:300 ml
  3. 筋トレ4時間前:420 ml
  4. 筋トレ2時間前:360 ml
  5. 筋トレ中:700 ml
  6. 筋トレ後:300 ml
  7. 夕食時:300 ml
  8. 就寝時:300 ml

 

私の場合、上記2~4の水分摂取を外出先で行うため、容量が1.5リットルのマイボトルを毎日携帯しています。

毎朝マイボトルに水を満たした後、筋トレを開始するまでにボトル内の水を飲み切ることを習慣にしておけば、摂取すべき水分量を確実に摂取できるので、小さいボトルよりも大きめのマイボトルを外出時に携帯するのが合理的だと思います(小さいボトルは何度も水を足さなければならない)。

筋トレと水分補給

 

今回紹介した筋トレのパフォーマンスを高める水分摂取の方法についてのポイントを以下にまとめておくので是非参考にして下さい。

水分摂取のポイント

  1. 1日に飲料物から2.4~3.2リットルの水分を補給する
  2. 水分補給はこまめに行う
  3. 食事毎に300 ml程度の水分を摂取する
  4. 筋トレ前・中はワークアウトドリンク(BCAA)を摂取する
  5. 外出時はマイボトルを携帯する
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筋トレでベストを尽くせるよう、正しい水分摂取を明日から習慣化しよう。



参考文献
[1] Barry M. Popkin,et al (2011) Water, Hydration and Health

[2] Schoffstall JE,et al (2001) Effects of dehydration and rehydration on the one-repetition maximum bench press of weight-trained males

[3] Coyle, E. F (2004) Fluid and fuel intake during exercise

[4] Blomstrand, E (2011) Branched-Chain Amino Acids and Central Fatigue

[5] Ali, A,et al (2017) Effect of mouth rinsing and ingestion of carbohydrate solutions on mood and perceptual responses during exercise

[6] MacLean DA,et al (1994) Branched-chain amino acids augment ammonia metabolism while attenuating protein breakdown during exercise

[7] Tanita どれくらいが適量?水分摂取の重要性

[8] Institute of Medicine of the National Academies (2004) Dietary Reference Intakes: Water, Potassium, Sodium, Chloride, and Sulfate