もっと大きくなりたいのに筋肉が思うように増えないと悩むトレーニーは少なくない。
筋肉が思うように増えないと悩むトレーニーは一度自分自身にこう問いかけてもらいたい。
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筋肉が増えるとは
筋肉が増えるとは、これまでに経験したことのない強い刺激に対する”筋肉の環境適応の成果”そのものである。
つまり、ダンベルやバーベルを使用して筋肉に強い刺激を加えることで、身体はその刺激から身を守るために筋肉を増やして”環境に適応しようとする”のである。
その結果、筋肉が増えるのである。
ということは、既に経験したことのある刺激をただ単に加えるだけでは、身体が新たな筋肉を増やすきっかけを与えたことにはならないのである。
そこでオーバーロードの原則の出番である。
オーバーロードの原則 とは
毎度同じ負荷・強度・セット数の単調なトレーニングをこなしているだけでは、身体はトレーニングからの刺激にすぐに慣れてしまい筋肉の成長はやがて止まってしまう。
これがオーバーロードの原則であり、筋肥大を誘発する最も本質的な原則である。
ではトレーニングボリュームを増やすにはどうすればよいのか?
トレーニングボリュームは“レップ数×扱う重量×セット数”で表すことができる。
複数の研究[1~3]により、トレーニングボリュームこそが筋肥大を誘発する最重要ファクターのひとつであることが示されている。
トレーニングボリュームと筋肥大の関係を簡単にまとめると次のようになる。
重要
- トレーニングボリュームが増えれば筋肉の増加量も増える
- トレーニングがボリュームが同じなら扱うウエイト重量が異なっても筋肉増加量はほぼ同じになる
トレーニングボリュームと筋肥大の深い関係についてさらに詳しく知りたい方は【筋肥大とレップ数】筋肥大に最も効果的なレップ数とはのページをご覧いただきたい。
トレーニングボリューム(強度)を増やすには、単純に、使用するウエイト重量を増やすかレップ数を増やすかすれば良い。
前回のベンチプレスで100 kgを扱ったのなら次のトレーニングでは105 kgに挑戦!という具合にオーバーロードを達成していけば良い。
しかし、いくらウエイト重量かレップ数を徐々に増やせと言われても、そう都合のいいように毎度扱うウエイト重量やレップ数を伸ばせる訳でもない。
そこで今回紹介するトレーニングボリュームを増やす6つのテクニックを普段のトレーニングに取り入れれば、レップ数やウエイト重量を増やさずにトレーニング強度を効果的に高め、トレーニング毎にオーバーロードを確実に達成できるようになる。
それではオーバーロードを確実に達成する6つのテクニックをこれから紹介しよう。
オーバーロードの原則を達成する6つのテクニック
1.エキセントリック収縮をゆっくりと行う
エキセントリック収縮とは、簡単に言えばネガティブ動作のことである。
つまり、筋肉が伸びながら力を発揮している時の筋収縮の状態を指す。例えば、プリーチャーカール(上の写真)でトップポジションからボトムポジションにバーベルを戻す際、筋肉が引き伸ばされながらブレーキをかけるように力を発揮する状態の事をエキセントリック収縮という。
このエキセントリック収縮(ネガティブ動作)をコントロールしながらゆっくりと行うことで、ターゲット部位を長時間にわたり強烈な緊張状態下に置くことができ、トレーニング強度を高めることができる。
➡<参考>筋肉の緊張持続時間(TUT)を長くとると筋肥大はさらに加速する
2.フォーストレップを取り入れる(補助者の助けを借りる)
フォーストレップとは、限界回数までウエイトを挙上した後、補助者にウエイト挙上の補助をしてもらうことで自分の限界を超えて筋肉を追い込む方法である。
ウエイト挙上が限界回数に達したら補助者にウエイトの挙上を補助してもらい、追加で3~4レップ行う。この時、ネガティブ動作は補助者の力を借りずに極力自力で行うようにする。
そうすることで、レップ数を強制的に増やすことができ、結果としてトレーニンのトータルボリュームを増大させることができる[4]。
3.ドロップセットを取り入れる
ドロップセットとは、ウエイトの挙上が限界回数に達したところでウエイト重量を(30~40%)落としてすぐさま(インターバルなしで)限界まで再度ウエイトを挙上させるサイクルを3~4回繰り返すトレーニングテクニックである。
このドロップセットを行えば、ドロップセット非使用時に比べて、レップ数を増やしてトータルボリュームを増大させることができるだけでなく、筋肉を限界まで追い込むことでメタボリックストレスを引き起こし、筋肉の成長を促すことができる。
ドロップセットの他のメリットについては、ドロップセット は筋肥大に本当に効果があるかのページをご覧頂きたい。
4.ピークコントラクションを取り入れる
ピークコントラクションとは、トップポジションで筋肉を強く収縮させ、その状態を1〜2秒維持するテクニックである。
この時、ターゲット部位を可能な限り強く収縮させることで、筋肉を長時間にわたって強い緊張状態下に置くことができ、トレーニング強度を高めることができる。
事実、2012年に発表された研究報告[5]によれば、ピークコントラクション(トップポジションで6秒静止)を取り入れた被験者らとピークコントラクションを取り入れなかった被験者らを比較したところ、ピークコントラクションを取り入れた被験者らにおいて顕著に高い筋タンパク質合成応答が見られ、さらにその状態がより長く持続したと報告されている。
つまり、ピークコントラクションを取り入れることで筋肉に対する刺激が増大し、トレーニング強度を高めることができると考えられる。
5.リバースピラミッド法を取り入れてみる
リバースピラミッド法とは、軽めのウエイトでウォームアップした後、第1セット目で最高重量のウエイトを扱い(つまりメインセット)、2セット目、3セット目とセット数を重ねるごとにウエイト重量を段階的に落としていくトレーニング方法のことである。
1セット目は6~8 RMのウエイトを使用し、2セット目以降はウエイト重量を約10~20%ずつ落としていく。
リバースピラミッド法を取り入れたベンチプレス例
- 70 kg(ウォームアップ)
- 135 kg (メイン:5 reps)
- 115 kg (6 reps)
- 100 kg(10 reps)
- 90 kg(12 reps)
筋肥大を主たる目的としてトレーニングを行う場合は、リバースピラミッド法を取り入れてみると良い。
なぜなら、リバースピラミッド法ではセット数を追うごとにレップ数が増えていくので筋肉の収縮持続時間(TUT)を長く取ることができるため、結果として、筋肉に対する刺激が増大し、筋肉の成長を促すことができるからである。
6.サプリメントを利用する
オーバーロードの手助けをしてくれるサプリメントとしてお勧めなのがクレアチンとプレワークアウトサプリである。
クレアチンはその効果が科学的に証明されたサプリメントである。
クレアチンを摂取することにより、瞬発的な力が必要となる局面に瞬時にエネルギーを再合成することができるようになり、扱うウエイト重量を飛躍的にアップさせたり、トレーニング時の持久力(スタミナ)を長く持続させることができ、結果として高ボリューム・高重量のトレーニングが可能になるのである。
プレワークアウトサプリとは、トレーニング前に摂取しておくことでトレーニング時の集中力を極限まで高め、最高のパフォーマンスを発揮できるよう設計されたサプリメントのことで、ほぼ全てのサプリメントメーカーから様々な種類のプレワークアウトサプリが販売されている。
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プレワークアウトサプリには筋肉を極限まで追い込むことを可能にする成分が複数配合され、成分内容やそれらの配合量は各サプリメントメーカーによってまちまちである。
また、市販されているプレワークアウトサプリはすでに複数の成分が配合された形で販売されているので手軽に利用できるというメリットがあるが、その反面、成分によっては効果を肌で実感するには配合量が足りないというケースも少ないくない。
ゆえに、プレワークアウトサプリをまだ試したことがない人は、市販のプレワークアウトサプリをまずは試し、プレワークアウトサプリをすでに利用したことがある人でさらなるパフォーマンスの向上を狙いたい人はプレワークアウトサプリを自作してみると良い。
自作プレワークアウトサプリは、市販されているプレワークアウトサプリよりもコストパフォーマンスが良いので是非その効果を体感してもらいたい。
オーバーロードの原則 を達成する6つのテクニックのまとめ
今回は、数あるトレーニング理論の中でも最も根本的かつ本質的な理論である”オーバーロードの原則”に焦点を当ててを紹介しました。
筋トレで着実に筋肉量を増加させていくにはトレーニングボリュームを段階的に増大させていく必要があるということを覚えておき、上記6つのテクニックを駆使しながら着実にオーバーロードを達成していこう!
お役に立てれば幸いです。
参考文献
[1] Schoenfeld BJ, et al (2014) Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained men. [2] Schoenfeld BJ, et al (2015) Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men. [3] Weiss A, et al (2000) High intensity strength training improves strength and functional performance after stroke [4] Rhea MR, et al (2003) The effects of competition and the presence of an audience on weight lifting performance [5] Burd NA,ET AL (2012) Muscle time under tension during resistance exercise stimulates differential muscle protein sub-fractional synthetic responses in men.