今回は、筋肥大を引き起こす3つのメカニズムをしっかりと把握しておくことで、トレーニングメニューおよび内容をより良質なものへと改良し、筋肥大をさらに加速させようというコーナーである。
では早速始めよう。
コンテンツ
筋肥大 を引き起こす3大要素
・メカニカルテンション(mechanical tension)・メタボリックストレス(metabolic stress)・マスキュラーダメージ(muscular damage)
それでは順番に確認していこう。
メカニカルテンション
メカニカルテンションとは、適切な重量のウエイトを使用し、フルレンジ(全可動域)でウエイトの上げ下げを行うことにより、ターゲットとなる筋肉部位に張力を生じさせることを意味する。
筋肉にかかるテンションを大きくする方法は2つある。
ひとつは、筋肉にテンションがかかった状態(時間)を出来るだけ長く保つことである。
この時間は一般に、TUT(time under tension)と呼ばれる。
このTUTを長くとることで、筋肉を強いテンション下に置くことができる。
ふたつめは、全可動域(フルレンジ)でウエイトの挙上動作を行うことである。
研究報告によれば、アイソメトリック収縮のように単に筋肉にテンションをかけた状態を維持するだけでは筋肥大のシグナルは最大にはならず、エキセントリック収縮・コンセントリック収縮の両方を広い可動域にわたって行うことで、筋肥大のシグナルを最大化することができると述べられている。
これら上記の事柄をまとめると次のポイントを導き出すことができる。
筋肥大を効果的に促すためには
メタボリックストレス
メタボリックストレスとは、簡単に言えば、ターゲット部位をパンプアップさせて、バーニング(燃えるような)感覚を得ることを意味する。
高レップトレーニングなどにより筋肉の収縮を繰り返すと、血管が塞がれて筋肉内に血液が一時的に充満した状態となる。
この際、筋肉への酸素供給が途絶えるため、乳酸やクレアチニンをはじめとする代謝物質が産生され、これが成長ホルモンの分泌を促進させ、結果的に筋肥大のトリガーとなるのである。
マスキュラーダメージ
マスキュラーダメージ(muscular damage)とは、その名の通り、筋肉の損傷を意味する。
トレーニングに励んだ翌日に筋肉痛に見舞われることが良くあるが、この筋肉痛は筋肉が損傷を受けた証といえる。
筋肉が損傷を受けると、一時的に炎症反応を示すと共に、筋肉の回復および合成に必要なシグナルが生成されるため、結果として筋肥大が起こる。
➡筋肉痛と筋肥大の深い関係については、筋肉痛 が残っていても筋トレして良いのか?【科学的見地】の記事をご覧いただきたい。
筋肉痛を引き起こす主な要因とは
この筋肉痛が生じる主な要因として挙げられるのが、以下の2つの場合である。
- 普段行わないような新しいトレーニングを取り入れた場合
- トレーニングにおいてネガティブ動作、つまりエキセントリック収縮に重点を置いた場合
この筋肉の損傷もまた、筋肥大のトリガーとなる。
したがって、筋肉繊維を効率的に損傷させるためには、バラエティーに富んだ多くの種目を一定期間毎にトレーニングメニューに積極的に取り入れることが重要となる。
筋肥大 の3つのメカニズムのまとめ
今回は、筋肥大の引き金となる3つのメカニズムを紹介しました。
これら3つのメカニズムをトレーニングメニューに上手く取り入れ、筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出す方法については以下のオススメ記事を参考にしていただきたい。
参考文献
[1] Schoenfeld BJ, et al (2010) The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training<こちらの記事もオススメ>