この記事では、筋肥大の大原則のひとつ、 オーバーロード の原則について、分かりやすく、そして詳しく解説を行います。
このオーバーロードの原則を日々の筋トレに適用することで、確実かつ計画的に筋肥大を達成することができるのである。
ではさっそく、筋肥大を語る上で最も重要な原則‘オーバーロードの原則’について理解を深めてみよう!
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オーバーロード の原則とは
オーバーロード(Progressive Overload)とは、筋肥大および筋力アップを加速させ続けるために、トレーニングボリュームあるいはトレーニング強度を段階的に増やしていく筋肥大の大原則のことをいう。
毎度同じ負荷・強度・セット数の単調なトレーニングをこなしているだけでは、身体はトレーニングの刺激にすぐに慣れてしまい筋肥大が次第に鈍化してしまう。
この考え方が、オーバーロードの原則となる。
このように、筋肉を過負荷(オーバーロード)の状態に追い込み、成長を引き出していくには、トレーニングボリュームを段階的に増大させていく必要がある。
トレーニングボリュームを増やすには、
- セット数を増やす
- 使用するウエイト重量を増やす
- レップ数を増やす
- トレーニング頻度を増やす
- トレーニングテクニックを向上させる
などのさまざまな方法が考えられるが、オーバーロードの原則に従って筋肥大を加速させるには上記のいずれか(または複数の)要素を段階的かつ計画的に増やしていかなければならない。
セット数やウエイト重量をただ闇雲に増やしていくだけでは効率的な筋肥大が望めないばかりか、トレーニングと肉体の回復のバランスが崩れてトレーニングパフォーマンスが低下したり、蓄積疲労により怪我をする場合もあるので注意が必要となる。
それでは、これからトレーニングボリュームの計画的な増やし方について見ていこう。
トレーニングボリュームについて
トレーニングで最大の成果(筋肥大)を上げるには、筋肉が大きく成長するために必要となるトレーニングボリュームを最低限確保する必要がある。
さて、ここでこんな質問。
➡容易に想像がつく通り、恐らくできないであろう。それどころか筋肉量の維持でさえ難しいかもしれない。
一般に、トレーニング経験を積み重ねるほど、トレーニングで成果を出すには高ボリュームなトレーニングが必要となる。
トレーニング初心者は週1回のトレーニングで各部位に対して3セットのトレーニングボリュームで筋肥大を促すことは可能であろう。
しかし、トレーニングを数ヶ月も継続すれば、週1回3セットのトレーニングボリュームでは辛うじて筋肉量を維持する為に必要なトレーニングボリュームとなり、さらなる筋肥大を目指すにはトレーニングのボリュームを徐々に増大させる必要があるのは明白だろう。
筋肥大に最低限必要なトレーニングボリューム:MEV
これまでの話の流れからも分かるように、筋肥大を引き起こすにはある一定量のトレーニングボリュームが必要となる。
この、筋肥大に必要となる最小限のトレーニングボリュームをMEV(Minimum Effective Volume)と呼ぶ。
オーバーロードになるギリギリのトレーニングボリューム:MRV
しかし、トレーニングボリュームを増やせば増やすほど筋肥大が加速するかと問われればそれはNoである。トレーニングボリュームはある一定量を超えたときに、トレーニングと休養(および栄養摂取を含む)のバランスが崩れ、オーバートレーニングの状態(=筋肉の回復がトレーニング頻度に追いつかない状態)に陥る。
この、トレーニングと休養のバランスをぎりぎり保つことのできるトレーニングボリュームの最大量をMRV(Maximum Recoverable Volume)と呼ぶ。
オーバーロードの成功のカギはMEVとMRVを把握すること
このように、各筋肉部位に対するMEVとMRVを大まかに把握しておくことが、オーバートレーニングを回避しながら確実に筋肥大を達成していく上で非常に重要となる。
MEVとMRVの目安値
具体的なMEVとMRVの値は、個々のレベルに左右されるため一概に決めることは難しいが、以下に示す参考値を目安とすると良い。
一般的な筋肥大トレーニング(8~12 RM)を行う場合のMEVおよびMRVの目安値
- MEV(ボリューム最小値) 8セット/週
- MRV(ボリューム最大値) 20~25セット/週
※個々のレベルにより多少変動する
➡つまり、各筋肉部位につき、週に合計8セットのトレーニングを行えば、筋肥大に最低限必要なトレーニングボリュームを確保することができる。
また、トレーニングと回復のバランスをギリギリ保つことのできる最大ボリュームは平均的な値として、週に20~25セットということになる。
上記のセット数は各筋肉部位における週あたりの総セット数であることに留意する。
つまり、トレーニングを高頻度で行えば、トレーニング1回当たりのセット数は少なくて済む。
これらの目安値と自身のレベルを考慮し、週に行うトレーニングセット数を具体的に決めていけば良い。
上記を踏まえた上で、オーバーロードを具体的に日々のトレーニングに導入する方法を見ていこう。
オーバーロード の具体的方法
オーバーロードの具体的な方法を以下に簡潔にまとめる。
- 1~2ヶ月間をトレーニングの1サイクルとする
- トレーニングサイクル1週目はトレーニングボリュームをMEV(各部位8セット程度/週)に設定する
- 週ごとにセット数を2セット程度ずつ増やしていき、トレーニングボリュームを徐々に増大させる
- トレーニングサイクルの最終週にトレーニングボリュームがMRV(25セット程度/週)に達するようにする
- トレーニングボリュームがMRVに達した翌週は、ディロード(8セット程度/週)を1週間程度導入し、蓄積した疲労を完全に回復させる
- ディロード後は、新たな(前サイクルよりも少し重い)負荷設定で上記1~5のサイクルを再び繰り返す
➡<参考>ディロードの具体的な方法についてはディロード (積極的休養)の効果とその具体的方法の記事を参考にしていただきたい。
オーバーロードの1サイクルを終えたら、ディロード期間を1週間ほど取り入れて疲労が蓄積した筋肉の疲労回復に努める。
オーバーロードにおいて、ディロードを取り入れる理由は大きく2つある。
ディロードの2つの効果
1. 蓄積疲労の回復および怪我の予防
トレーニングボリュームを一定期間減らすことで、深刻な怪我(関節痛など)を防ぐとともに、蓄積疲労を取り去り筋肥大を再加速させる効果が期待できる。
2. トレーニングの刺激に対する感受性を高める
筋肥大トレーニングを長期間継続すると、筋肉はその刺激に慣れ、筋肥大は鈍化する。そこでディロードを取り入れることにより、トレーニング再開時にトレーニングの刺激に対して筋肉の応答が敏感になり、筋肥大を加速させることができる。
オーバーロード のまとめ
筋肥大を促進させる上で重要なのは、上記の概念を念頭に置き、自分自身のMEVおよびMRVを大まかに把握した上で、日々のトレーニングにおいてオーバーロードを達成することである。
これらの事柄を意識しながらトレーニングを行うことで、これまでよりも効率的かつ確実な方法で筋肥大を加速させることができるようになるだろう。
ちなみに、オーバーロードの原則の重要性を過小評価し、日々のトレーニングを無計画に行う行為は筋肉が思うように増やせない主たる原因である。
筋肉量を着実に増やしていく上でオーバーロードの原則がいかに重要であるかについて特集した記事を更新しましたので是非ご覧ください。