【 脚の筋トレ 】理論で攻める下半身トレーニングの必須種目とメニュー

[記事公開日]2018/09/12
[最終更新日]2022/05/11

脚の筋トレ

迫力のある下半身を作り上げるにはどのような脚の筋トレを行えば良いのかお悩みの人も多いはず。

トレーニングギア

 

実のところ、ワークアウトサイエンス充てに寄せられる筋トレメニューの組み方についてのご質問相談の中で最も多いのが、脚の筋トレのメニューの組み方についてなのです。

そこで今回の記事では、下半身を最も効率的に鍛えるトレーニング種目およびメニューについて、これまでに発表された文献データ[1~11]に基づいて詳しく理論的に解説します。

 

なお、各筋肉に関するより詳しい解説や、各種目のフォーム等における細かいポイントについては別途記事で随時紹介していきます。

脚の筋トレ

 

 

脚の筋トレ でアプローチする部位

脚の筋トレ



脚の筋トレと漠然に言っても、下半身を構成する筋肉群は大きく分けて4つある。

  1. 大腿四頭筋
  2. ハムストリングス
  3. 臀筋(尻)
  4. ふくらはぎ

 

今回は、これら4つの全ての筋肉を効率的に鍛えるためのトレーニングメニューを紹介します。

 

 

大腿四頭筋

大腿四頭筋

 

大腿四頭筋は、その名の通り4つの筋肉(大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋)から構成される。

そして、大腿四頭筋の主たる役割は次の通りである。

大腿四頭筋の役割
  1. 膝関節の伸展(曲げた膝を伸ばす動作)
  2. 股関節の屈曲(尻を後ろに突き出す動作)※大腿直筋

 

つまり大腿四頭筋は、膝関節を伸ばす動作を行う際に大きな負荷が加わるバーベルスクワットレッグエクステンションレッグプレス等で効果的に鍛えることができる。

 

バーベルスクワットについて

脚の筋トレ

 

BIG3のひとつであるバーベルスクワットは、下半身のほぼ全ての筋肉を動員して行うヘビーコンパウンド種目であり、下半身全体の発達において非常に効果的な種目であることから、脚の筋トレの1種目目に行うと良い(効果的な筋トレの順序の決め方についてはこちら)。

また、バーベルスクワットは、下半身の中でも特に大腿四頭筋および臀筋(後述)への貢献度が大きいため、大腿四頭筋の発達には欠かせない重要種目である(しかし、ハムストリングスへの貢献度は低い)。

 

また、バーベルスクワットで大腿四頭筋の筋肥大を効率的に目指す場合、スクワットの深さ(可動域)についてもいくつかのポイントがある。
スクワット

 

これまでに発表された複数の研究報告[1,2]により、パーシャルスクワット(浅い)に比べて、フルスクワット(深い)を行うことで、大腿四頭筋がより強く活性化され、そして大腿四頭筋の筋肉増加率も約2倍となることが分かっている。

論文の詳細は割愛するが、バーベルスクワットで筋量アップを最適化したい場合は、フルスクワット、あるいは(大腿部が床と平行になるまでしゃがむ)パラレルスクワットを行うことが推奨されている(スクワットの深さが筋肥大に与える影響についてまとめた最新記事も併せてご覧ください。)。

 

スミススクワット

 

またバーベルスクワットは、スミスマシンを使用して行うスクワットよりも、下半身全体の筋肉の活性度が43%も高まることが分かっている[3]。

 

これらのポイントを全てまとめると以下のようになる。

バーベルスクワットのポイント
  • スミスマシンよりもバーベルスクワット
  • フルからパラレルの深さで
  • 大腿四頭筋および臀筋への効果が高い
  • ハムストリングスへの効果は低い

 

 

レッグエクステンションについて

レッグエクステンション

 

レッグエクステンションで大腿四頭筋を鍛える場合、つま先が内側を向くようにして動作を行えば大腿四頭筋の外側を効果的に鍛えることができ、反対に、つま先が外側を向くようにして動作を行えば大腿四頭筋の内側をより効果的に鍛えることができる[10]。

 

 

ハムストリングス

ハムストリングス

 

ハムストリングスは脚の裏側に位置する筋肉群で、4つの筋肉(大腿二頭筋(長頭・短頭)、半膜様筋、半腱様筋)から構成される。

そして、ハムストリングスの主たる役割は次の通りである。

ハムストリングスの役割
  1. 膝関節の屈曲(膝を曲げる動作)
  2. 股関節の伸展(後方へ下げた尻を前方に突き出す動作)

 


ハムストリングスを効果的に鍛える種目としては、レッグカールマシン(膝を曲げる動作)や、ルーマニアンデッドリフト(股関節の伸展動作)、そしてブルガリアンスクワット(股関節の伸展)が挙げられる。

 

ルーマニアンデッドリフトについて

脚の筋トレ

 

デッドリフトの一種に分類されるルーマニアンデッドリフトは、通常のデッドリフトとは異なり、膝をやや伸ばした状態で膝関節の伸展作用を極力抑えながらその動作を行うため、その結果、ルーマニアンデッドリフトでは股関節の伸展作用が支配的となる。

脚の筋トレ

 

つまり、ルーマニアンデッドリフトは大腿四頭筋が担う膝関節の伸展作用を最小限に抑えながら股関節の伸展作用で動作を行う(=ハムストリングスを大きく伸展させられる)ことになるため、ハムストリングスにより焦点を当てたトレーニングが可能になるのである。



ブルガリアンスクワットについて

ブルガリアンスクワット

 

ブルガリアンスクワットは、一般に鍛えづらいとされるハムストリングスを効果的にアプローチすることのできる優れた種目である。

脚の筋トレ

 

バーベルスクワットだけでもハムストリングスの発達に十分となる刺激を与えられるとの意見も一部にはあるが、2009年に発表された研究報告(上の論文)[4]によれば、バーベルスクワット時のハムストリングスの活性度は、レッグカールスティッフレッグドデッドリフト(≒ブルガリアンスクワット)時よりも遥かに低いことが示されており、この結果からもバーベルスクワットだけではハムストリングスを効果的に鍛えることが難しいことが分かる。

また、別途研究報告[5]においても、ブルガリアンスクワットは、バーベルスクワットよりもハムストリングスおよび臀筋をより強く活性化できる種目であることが示されている。

ポイント
ハムストリングスを効果的に鍛えるには、ブルガリアンスクワットを取り入れた方が良い。

 

 

ハムストリングスを効果的に鍛えるには

ハムストリングス

 

一般に、ルーマニアンデッドリフトではハムストリングス内側(半腱様筋・半膜様筋)により強い刺激が、そしてレッグカールではハムストリングス外側(大腿二頭筋)により強い刺激が加わるため[6]、ハムストリングス全体の発達を最適化するには、ルーマニアンデッドリフトおよびレッグカールの両種目をトレーニングメニューに取り入れるのが望ましいと考えられる。

 

 

レッグカールマシンについて

脚の筋トレ

レッグカールマシンでハムストリングスを鍛える場合、股関節をやや内旋させた状態(=つま先が内側を向く)で動作を行うとハムストリングス内側を効果的に鍛えることができ、反対に、股関節をやや外旋させた状態(=つま先が外側に向く)で動作を行うとハムストリングス外側を効果的に鍛えることができる[7]。

 

 

臀筋(でんきん)

臀筋

 

臀筋は、3つの筋肉(大臀筋 · 中臀筋 · 小臀筋)から構成されており、いわゆる我々のを構成する人体で最も体積が大きな筋肉群である。

臀筋の主要筋である大殿筋の主な役割は次の通りである。

臀筋の役割
  1. 股関節の伸展(後方へ下げた尻を前方に突き出す動作)
  2. 股関節の外転(足を横方向に上げる動作)
  3. 股関節の内転(横方向上げた足を閉じる動作)
  4. 股関節の外旋(足を外側にひねり、つま先を外側に向ける動作)

 

このように臀筋は、股関節の動作における多くの役割を担っているのだが、これらの中でも特に重要なのが、股関節の伸展(後方へ下げた尻を前方に突き出す動作)である。

そして、臀筋が担う股関節の伸展動作を効果的に行うことのできる種目が、ブルガリアンスクワット(先述)とヒップスラストなのである。

 

ヒップスラストについて

ヒップスラスト

ヒップスラストは、マインドマッスルコネクションを駆使しながら、ピークコントラクションによりトップポジションで臀筋を強く収縮させることで臀筋の活性度を飛躍的に高めることができる。

 

ワイドスタンススクワットについて

ワイドスクワット

 

バーベルスクワットで臀筋を効果的にアプローチするには、通常よりも両足の間隔を広めに取ることで臀筋によりターゲットを絞ったスクワットが可能となる(=ワイドスタンススクワット)[9]。

具体的には、両足の幅を肩幅かそれ以上の幅に設定し、つま先を外側に向ける。

そしてボトムポジションに移行する際は、つま先が指す方向に向かって膝が広がるように動作を行うことで、臀筋が担う股関節の外旋・外転作用をスクワット動作に取り入れることができ、より強い刺激を臀筋に与えることができる。

 

 

ふくらはぎ(カーフ)

カーフ

 

ふくらはぎは別名”下腿三頭筋(かたいさんとうきん)”とよばれ、腓腹筋(外側頭・内側頭)ヒラメ筋の3つの筋肉から構成されている。

カーフの筋トレ

 

つまり、ふくらはぎ全体をバランス良く鍛えるには腓腹筋(外側頭・内側頭)ヒラメ筋のそれぞれに個別アプローチを取る必要があるのである。

そして、詳細は割愛するが、腓腹筋(外側頭・内側頭)ヒラメ筋をうまく鍛え分けるには以下の2種目をメニューに取り入れると良い(以下の関連記事で詳しく解説しています)。

 

  1. 腓腹筋がターゲット:スタンディングカーフレイズ
  2. ヒラメ筋がターゲット:シーテッドカーフレイズ



 

 

ふくらはぎを効果的に鍛えるには

 

2007年に発表されたトレーニングボリュームに関する有名な研究報告[11]を基にすると、カーフの筋肥大を最適化させたい場合には1回のトレーニングで合計70レップ、週に3回程度のアプローチが合理的であると結論付けられている。

また、カーフの筋肥大に効果的とされるレップ数は意見の分かれるところであり、低重量(高レップ)トレーニングと高重量(低レップ)トレーニングの両方を取り入れた方が良いと考えられる。

 

 

脚の筋トレ のメニュー具体例

 

これまでに紹介した全てのポイントを総括して下半身を効果的に鍛えるトレーニング種目&メニューを紹介します。

脚の筋トレ メニューの参考にして下さい。

 

1.バーベルスクワット
計4セット:
3セット(6~8レップ+)+1セット(15~20レップ)
2.レッグプレス・マシン
計3~4セット:
10~15レップ

3.スーパーセット

レッグエクステンション・マシン
+
ブルガリアンスクワット
スーパーセットで計3~4セット:
8~15レップ

 

4.コンパウンドセット

レッグカール・マシン
+
ルーマニアンデッドリフト(15 rep)

コンパウンドセットで計3~4セット:
8~15レップ

 

5.ヒップスラスト
計3~4セット:
8~18レップ

 

6.シーテッド又はスタンディングカーフレイズ
計3~4セット:
8~15レップ+オールアウトでさらに10レップ

 

スーパーセットおよびコンパウンドセットをトレーニングメニューに取り入れるメリットおよび方法については以下の記事を参考にして下さい。

 

 

 

下半身トレーニングのレップ数の設定について

オールアウト

 

下半身を構成する筋肉群は、上半身を構成する筋肉群よりも遅筋の割合が高く、(部位により異なるが)簡潔に言うと、速筋と遅筋がほぼ半々の割合で構成されているため[8]、高重量(低レップ)と中重量(高レップ)の両方をバランスよく組み合わせることが、下半身の筋肥大のポテンシャルを引き出す上でポイントとなる。

例えば、脚の筋トレを週に2回行う場合は、1回目のセッションでは高重量・低レップを中心とし、2回目のセッションでは中重量・高レップを中心とするメニューを組むのも筋肥大に効果的なメニューの組み方である。

また、脚の筋トレを週に1回行う場合は、1回のセッションで5~20 RMの幅広いレップ数を導入すると良い。

 

 

脚の筋トレ のオススメ種目一覧

脚の筋トレ

 

最後に、今回紹介した脚の筋トレで取り入れたいオススメ種目を以下にまとめておくので、効率的な下半身トレーニングプログラム作成の参考にして下さい。

 

大腿四頭筋の種目

大腿四頭筋
  • バーベルスクワット
  • レッグエクステンション
  • レッグプレス

 

ハムストリングスの種目

ハムストリングス
  • デッドリフト
  • レッグカールマシン
  • ルーマニアンデッドリフト
  • ブルガリアンスクワット

 

臀筋の種目

臀筋
  • ブルガリアンスクワット
  • ヒップスラスト
  • ワイドスタンススクワット

 

ふくらはぎの種目

カーフ
  • スタンディングカーフレイズ
  • シーテッドカーフレイズ

 

脚の筋トレ



参考文献

[1] Bloomquist K,et al (2013) Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations

[2] McMahon G,et al (2014) Impact of range of motion during ecologically valid resistance training protocols on muscle size, subcutaneous fat, and strength

[3] Schwanbeck S,et al (2009) A comparison of free weight squat to Smith machine squat using electromyography

[4]William P. E (2009) Hamstring Activation During Lower Body Resistance Training Exercises

[5] Andersen V,et al (2014) Muscle activation and strength in squat and Bulgarian squat on stable and unstable surface

[6] Mette K Z,et al (2012) Kettlebell swing targets semitendinosus and supine leg curl targets biceps femoris

[7] Lynn SK, et al (2009) Changes in the medial-lateral hamstring activation ratio with foot rotation during lower limb exercise

[8] Johnson M,et al (1973) Data on the distribution of fibre types in thirty-six human muscles. An autopsy study

[9] Antonio P,et al (2009) The Effect of Stance Width on the Electromyographical Activity of Eight Superficial Thigh Muscles During Back Squat With Different Bar Loads

[10] Stoutenberg M,et al (2005) The Impact of Foot Position on Electromyographical Activity of the Superficial Quadriceps Muscles During Leg Extension

[11] Wernbom M,et al (2007) The influence of frequency, intensity, volume and mode of strength training on whole muscle cross-sectional area in humans