本記事の見どころ(ハードゲイナー脱却のポイント)
- 筋肥大が起こる仕組みを理解する
- メカニカルテンションを増やす
- フリーウエイトに挑戦する
- コンパウンド種目を優先する
- 高重量トレーニングを行う
- レップ数を適切に設定する
- トレーニング時間を短く設定する
- 過度な有酸素運動を控える
- 摂取カロリーを適切に設定する
- ウエイトゲイナーを活用する
- 体重追跡を行う
- 週あたり100 gのペースで増量する
- 良質な睡眠を心がける
筋トレを頑張っているにも関わらず、筋肉どころが体重すら増えない俺(私)ってもしかしてハードゲイナーかも?」と悩んでいるトレーニーの方々へ朗報です。
遺伝的な理由により筋肉を増やすことが本当に難しい“真のハードゲイナー”は、ハードゲイナーではないにも関わらずハードゲイナーと思い込んでいる“思い込みハードゲイナー”よりもずっとずっと少なく非常に稀なケースなのです(文献データ[1~13]による)。
コンテンツ
ハードゲイナー とは
ハードゲイナー(Hard-Gainer)とは、生まれつき痩せ型でどれだけ懸命に筋トレを行おうと、どれだけたくさん食事を摂ろうと、なかなか筋肉を増やすことできない(太れない)体質の人のことを指す。
胚葉学(はいようがく)によれば、我々は大きく3種類の体型に区別することができるという。
胚葉学による体型の分類
- 外胚葉型(がいはいようがた):細身で長身
- 中胚葉型(ちゅうはいようがた):骨太で筋肉質
- 内胚葉型(ないはいようがた):丸くふくよか
そしてハードゲイナーは、これら3つの体型の中で外胚葉型(がいはいようがた)に分類される人のことを指す。
外胚葉型(がいはいようがた)に分類される人の特徴としては、手足がすらりと長く、肩幅が狭いため、全体として細身の印象を与える。
また基礎代謝が高く、食べても脂肪が付きにくい(体重が増えにくい)という特徴を持つ。
一方、中胚葉型(ちゅうはいようがた)に分類される特徴としては、筋肉質でかつ頑丈な骨格を持ち、全体としてゴツゴツとした印象を与える。
前回記事において、生まれ持った骨格のサイズ(つまり遺伝的要素)により筋肉をどれだけ大きく発達させられるかについて、おおよその目安を知ることができることを紹介したように、生まれ持った遺伝的要素により筋肉が人より付きやすい人、筋肉が人よりつきにくい人がいるのは確かである。
これは、我々の身長が遺伝による影響を受けるのと同じことであり、筋肉の付きやすさにも個人差があるのである。
しかし、自分が外胚葉型(がいはいようがた)に分類される体型だからといって、筋肉が全く増やせない“真のハードゲイナー”であるかと問われれば決してそういう訳ではない。
真のハードゲイナー は存在するか
恐らく、今この記事をお読みになっている読者の方々が最も知りたいのは「自分は真のハードゲイナーなのか否か」ということであろう。
そしてこの疑問に対する結論を率直に言えば、「可能性はかなり低い」である。
そのように言える理由は本記事を読んで頂ければご理解いただけると思います。
それでは早速、ハードゲイナーからの脱却を賢く図り、筋肉を増やしていくための正しい筋トレ方法について習得していこう。
ハードゲイナー 脱却のポイント
ここからは、ハードゲイナーが筋肉を増やし、理想の体型に近づくために押さえておくべき13のポイントをひとつずつ詳しく解説していきます。
これらのポイントを全て実践することで、ハードゲイナーから脱却できるはずである。
筋肥大が起こるメカニズムの基本を理解しておく
まずは、筋肉にどのような刺激が加われば筋肉が大きく発達するのか理解しておこう。
筋肉を大きく発達させるには
筋肥大(筋肉を肥大させるシグナル)を引き起こすためのメカニズムは3つあることが分かっている[2]。
- メカニカルテンション
- メタボリックストレス
- マスキュラーダメージ
1つ目のメカニカルテンションとは、分かりやすく言い換えるとダンベルやバーベルなどのウエイトを使用して筋収縮を行う際に筋肉に加わる機械的な刺激(張力)のことである。
2つ目のメタボリックストレスは、低負荷高回数で筋収縮を繰り返えし筋肉をパンプアップさせることで誘発される。
なお、メタボリックストレスはドロップセットやコンパウンドセットといったテクニックを使用することで誘発することができる。
3つ目のマスキュラーダメージは、ネガティブ動作(エキセントリック収縮)をゆっくりと行うか、あるいはトレーニング種目を定期的に変更し、筋肉に対する刺激を変化させることで誘発することができる。
メカニカルテンションを誘発するには
メカニカルテンションを効果的に誘発するには、高重量のウエイトを適切に使用して、筋肉に強いテンション(=メカニカルテンション)を与えてやる必要がある。
そして筋肉は、ある一定レベルを上回るメカニカルテンションを受けると大きく成長する。
別の言い方をすれば、ある一定レベルを上回らないメカニカルテンション(=弱い刺激)をいくら筋肉に与え続けても筋肉は大きく成長しない。
そして、ある一定レベルのメカニカルテンションを生み出す具体的な方法は、
- 高重量でトレーニングを行うこと
- 中重量のウエイトでオールアウトまで挙上を繰り返すこと
のいずれかの方法を選択する必要があることが分かっている[3,4]。
例えば、高重量のウエイトを持ち挙げようとするとき、そのウエイトをいくら爆発的に速く挙上させようとしても、ウエイトは非常に重いので速く持ち上げるのは難しく、結果的にウエイトの挙上スピードは遅くなる。
このように、筋肉がウエイトからの強い負荷を受け、なおかつウエイトの挙上スピードが低下した状態は、より多くの筋線維がその動作に関与し、それらが最大限の力を発揮した状態となるため、メカニカルテンションは最大限に増大する。
したがって、このような一定レベルを上回るメカニカルテンションを筋肉に与えてやることこそが筋肥大を効果的に誘発する方法なのである。
逆に、ウォームアップのような軽いウエイトで何度(一般には30レップ以上)でも挙上反復できるような場合は、筋肥大の効果は極めて薄いと考えられている。
フリーウエイトに挑戦する
今紹介したように、筋肉を大きく発達させるには筋肉に強烈なメカニカルテンションを与えてやる必要がある。
そして、強烈なメカニカルテンションを筋肉に与える最も効率的な方法がフリーウエイトで筋トレを行うことである。
マシン種目は動作の軌道がある程度決まっているので筋トレの経験が浅い人でも問題なくトレーニングを行えるというメリットがあるが、2008年に発表された研究報告[6]によれば、マシンよりもフリーウエイトでトレーニングを行う方が、筋肉増加量および筋力向上には効果が高かったと報告されている。
もちろん、マシンも、うまく使えば筋肥大のポテンシャルをさらに引き出すことができるが、これにも一定のテクニック(ポイント)が必要となってくる(後日、別途記事で紹介します)。
すなわち、筋肉を大きく発達させるには、率先してフリーウエイトでトレーニングを行い、ターゲットとなる筋肉を強く意識しながらトレーニングを行う(=マインドマッスルコネクション)ことでトレーニングテクニックを徐々に向上させ、強いテンションをより効率的に筋肉に加えられるようになるのである。
具体的な例
三角筋(肩)を鍛える場合
ショルダープレスマシンを使用するよりも、ダンベルショルダープレス、あるいは(バーベル)オーバーヘッドプレスを率先して行う。
大胸筋(胸を鍛える場合)
チェストプレスマシンを使用するよりもベンチプレス、あるいはダンベルプレスを率先して行う。
ハードゲイナー に最適なレップ数
筋肥大に効果的なレップ数についてはこれまでにも何度か本サイトで紹介してきたが、ハードゲイナーの場合は状況が少し異なる。
これにはいくつかの理由がある。
筋トレ経験が浅い32名の被験者ら(若年男性)を対象とした研究報告によると、中重量・中回数(9~11レップ)および低重量・高回数(20~28レップ)のトレーニングよりも、高重量・低回数のトレーニング(3~5レップ)の方が筋肉量および筋力が有意義に増大したことが報告されている[7]。
一般に、ハードゲイナーはマシン種目やケーブル種目を多用して20レップを超えるような高回数でトレーニングを行う傾向にある。
具体的には、5~6レップ目までは適切なフォームかつフルレンジで動作を行えるが、8レップ目で挙上の限界に達するようなウエイト重量を選択してトレーニングを行えば良い。
これは、最大挙上重量(=1RM:1回ギリギリ持ち上げられるウエイト重量)の80~90%のウエイトを使用してトレーニングを行うことに相当するため、高重量トレーニングに該当する。
注意ポイント!
注意しておきたいのは、高重量トレーニングとは、とにかく高重量のウエイトをぶんぶん振り回してトレーニングを行うのでは決してなく、上記で述べたように5~6レップ目まではフルレンジかつ適切なフォームで筋収縮を繰り返せるウエイトを使用して行うトレーニングであるということである。
くれぐれも高重量トレーニングという意味を履き違えないようにしよう。
そして、トレーニングを継続して行えば、今までは8レップ目で挙上限界に達していたウエイトで9レップこなせるようになる日がいつか来る。
もし9レップこなせるなったらウエイト重量を少しだけ(1.25~2.5 kg)増やして、そのウエイトでふたたび9レップこなせるようになるまでトレーニングを継続する。
このように、扱えるウエイト重量を少しづつ段階的に増やしていく取り組みこそが、我々が筋肉量を着実に増やし、なおかつ筋力を向上させていく唯一の方法なのである[8]。
この筋肥大の大原則をオーバーロードの原則と呼ぶ。
ハードゲイナーが筋肉を着実に増やすには、高重量トレーニングを優先して行い、扱えるウエイト重量を少しずつ増大させていく取り組みが必要となる。
ハードゲイナー に最適なトレーニング種目
ハードゲイナーが積極的に挑戦したいトレーニング種目として挙げられるのがスクワット、ベンチプレス、デッドリフトをはじめとするコンパウンド種目である。
コンパウンド種目とは、その動作に複数の関節動作(複数の筋肉群)が含まれるトレーニング種目のことである。
それに対して、その動作に一つの関節動作(ほぼ、ひとつの筋肉)しか含まれないトレーニング種目をアイソレーション種目とよぶ。
例えば、上腕三頭筋を鍛える場合、クロースグリップベンチプレス(コンパウンド種目)でも、ケーブルプッシュダウン(アイソレーション種目)でも上腕三頭筋を鍛えることができるが、上腕三頭筋をより効率的に大きく発達させるには、コンパウンド種目であるクロースグリップベンチプレスを率先して行うべきである(より詳しい解説はこちら)。
このように、ハードゲイナーにコンパウンド種目が推奨される理由は2つある(以下)。
コンパウンド種目を積極的に行うことで、
- アイソレーション種目に比べて、より高重量のウエイトを扱える
- オーバーロードが容易(ウエイトの重量アップが狙いやすい)
これら2つのポイントは、先ほど紹介したハードゲイナーが筋肉を増やすための2大重要ポイントそのものである。
つまり、ハードゲイナーが筋肉を増やすにはコンパウンド種目を積極的に行うのが合理的なのである。
これまで、アイソレーション種目を中心にしてトレーニングを行ってたのなら、コンパウンド種目を中心とするトレーニングを率先して行ってみよう。
ハードゲイナー が注意すべきポイント
ここまでのところで、ハードゲイナーが筋肉を増やすために押さえておくべき具体的ポイントを紹介してきました。
ここからは、もう少しだけ踏み込んで上記ポイントに加えて、ハードゲイナーが筋トレを行う上で特に注意しておきたいポイントを紹介します(重要なので最後に持ってきました)。
筋トレ時間は短めに設定する(重要)
ハードゲイナーが筋肉を増やすには、トレーニング時間(あるいはトレーニングボリューム)にも気を配る必要がある。
こう述べるのにはいくつかの理由があるのだが、ちょっとその前に・・・。
実のところを話すと、どうしてハードゲイナーが筋肉をなかなか増やせないのかについての決定的な理由については、私もリサーチを頑張って行ったのだが、現在のところ、あまりはっきりとは分かっていない(残念ながら)。
しかし、ひとつの可能性として考えられるのが、ハードゲイナーはトレーニング後に誘発されるはずの筋肥大シグナルが、中胚葉型(骨太で筋肉質)の人に比べて弱いという点である[9]。
つまり、同一内容の筋トレを行ったとしても、筋トレにより誘発される筋肥大シグナルの大きさには個人差があるということである。
もうひとつ考えられる可能性がある。
通常は、筋トレを行うことにより筋細胞にメカニカルテンションが加わると筋肥大シグナルが誘発され、筋肉(筋細胞)が大きく肥大する。
しかし、ハードゲイナーの場合、筋トレ後に誘発されるシグナルは筋肥大を誘発するシグナルというよりも、むしろ筋肉の炎症反応である可能性が高いというのだ[10]。
つまり、ハードゲイナーが筋トレを行う場合、中胚葉型(骨太で筋肉質)の人に比べて、筋肉の炎症反応が大きく出るため、筋トレにより損傷した筋肉の回復自体により多くの時間を要し、結果として効果的に筋肉を肥大させることができない可能性が示唆されているのである。
例えば、脚の筋トレなどの高強度トレーニングの後に筋肉痛が長く続くようであれば(2~3日またはそれ以上)、トレーニング時間が長すぎる(トレーニングボリュームが多すぎる)可能性がある。
要するに、ハードゲイナーは通常の人に比べて、オーバートレーニングに陥りやすいという特徴を持ち得るという訳だ。
また、トレーニング時間が長くなるとそれだけトレーニングで消費するエネルギー量も増大するするため、この観点からもトレーニングは高強度でかつ短時間で終わらせた方が賢明である。
同様に、過度な有酸素運動もエネルギー消費を増大させる一要因となるので、有酸素運動が好きな人は過度に行わないように注意したい。
それでも筋肉が増えない場合
これまでに紹介したポイントをしばらく継続してもなお筋肉が増えない場合は奥の手を使おう。
その奥の手とはズバリ、トレーニング頻度、トレーニング強度、トレーニングボリュームあるいはレップ数といったあらゆる要素に変化を加えて、これらの変化に対する体の反応を見るのである。
というのも、トレーニング頻度と持久力トレーニングのパフォーマンスの関係について調査した研究報告によれば、トレーニングのパフォーマンスを向上させるために必要となるトレーニング回数(頻度)は人によって個人差があることが判明したという[1]。
具体的に言うと、たった週1回のトレーニングでトレーニングの成果が現れる人もいれば、週に3回のトレーニングでやっとトレーニングの成果が現れる人もいるということである(論文[1]より)。
つまり、今現在のトレーニング頻度で成果が出ない場合は、
- トレーニング頻度を増やす
- トレーニング頻度を減らす
のいずれかの選択をすることでトレーニング成果が現れ始める可能性があるということである。
現在のトレーニング頻度が足りていない場合は、トレーニング頻度を増やして筋肥大を誘発するシグナルを増大させてやれば良い。
逆に、現在のトレーニング頻度(あるいはボリューム)が多過ぎる場合、先ほど紹介したように、筋トレにより損傷した筋肉の回復作業に多大な時間がかかり、筋肉の発達が阻害されている可能性が高い。
この場合は、トレーニング頻度を減らすか、あるいは(先ほど紹介したように)トレーニング時間を短く設定することが望ましいと考えられる。
このように、トレーニング頻度やトレーニングボリューム、あるいはレップ数といった各要素に変化を付けて、筋肉が発達するのに最適な条件を見つけることが重要なのである。
摂取カロリーが足りていない
ハードゲイナーが体重(筋肉)なかなか体重を増やせない理由として考えられるのが以下の3つの理由である。
外胚葉型(ハードゲイナー)に分類される人は、
- 基礎代謝が高く、エネルギー消費が多い
- 胃腸(消化器官)が弱い
- 食が細い(摂取カロリーが足りていない)
一般に、ハードゲイナーは基礎代謝量が高い傾向にある。
当然、基礎代謝量は人それぞれに異なるのが普通であるが、実は大多数の人の基礎代謝量はかなり似通った数値となる。
具体的に言えば、全体の約70%の人たちの基礎代謝量の誤差は約7%に収まり、さらに全体の約96%の人たちの基礎代謝量の誤差は約15%に収まる[11]。
何が言いたいのかというと、ほとんどの人たち(全体の96%)の基礎代謝量は似たり寄ったりの値になるのである(具体的には200~300 kcalの差)。
しかし逆に言えば、ごく稀に基礎代謝量が平均値よりもはるかに高い人がいるのもまた確かである(=ハードゲイナー)。
そして、自分がハードゲイナーかもしれないと思う人で、なおかつ体重が思うように増やせない場合は上記理由により、自分が考えているよりもさらに多いカロリーを摂取する必要があるということである。
実際に体重を増やしてみよう
では実際に、体重を増やしていく準備に取り掛かろう。
体重(筋肉)を着実に増やすのに必要となる摂取カロリーの設定方法については、リーンバルクの記事で詳しく紹介しているのだが、ハードゲイナーの場合は週あたり100 gのペースで増量を行うことを目標とすると良い。
つまり、本記事でこれまでに紹介してきた筋トレ方法を実施し、なおかつ週あたりの増量のペースを100 g程度に設定することで筋肉量を着実に増やしていくための最適なアプローチを図ることができるのである。
摂取カロリーを計算しよう!
詳しい解説については、リーンバルクの記事を参照して頂きたいのだが、大まかに言うと次のPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)で食事管理を行ってもらいたい。
ハードゲイナーが増量に必要な栄養バランス
- タンパク質:体重(kg)×2.5 g
- 脂質:体重(kg)×1 g
- 炭水化物:体重(kg)×4.5 g
体重が65 kgの人の場合を例に挙げると、
- タンパク質を(65×2.5=)160 g、
- 脂質を(65×1=)65 g、
- 炭水化物を(65×4.5=)300 g、
摂取すれば良い(1日あたり)。
そして、これらの栄養バランスをカロリーに換算すると目標となる1日あたりの摂取カロリー数は以下のようになる。
摂取カロリー数(/日)
=160×4+65×9+300×4=2,400 kcal
※タンパク質および炭水化物は1 gあたり4 kcal、
脂質は1 gあたり9 kcalのエネルギー量となる。
まずは、上記の摂取カロリー数を摂取して増量を開始し、約2週間程度にわたり体重の増減を追跡する。
そして、先ほど紹介した週あたり100 gのペースで体重が増加しているかを確認してもらいたい。
もし、体重が増えていない場合、あるいは上記ペースよりもはるかに遅いペースで体重増えている場合は、最初に設定した摂取カロリー数に200 kcal程度上乗せして、翌週に体重の追跡を再度行う。
ハードゲイナーは胃腸(消化器官)が弱く、食が細い傾向にあるため、必要な摂取カロリーを食事から全て補うのが困難な場合が多い。
この場合は、いわゆるウエイトゲイナーと呼ばれるタンパク質と炭水化物が混合されたパウダーをシェイカーで摂取すれば、胃腸に負担をかけずに無理なく摂取カロリー数を増大させることができる(外出先でも手軽に栄養摂取ができるので非常に便利)。
体重増加のイメージ図
そして、体重が上記ペースで増加するようになるまで、この作業を繰り返すことで最適なペースで増量を行うのに必要となる摂取カロリー数を求めることができるようになる。
参考までに、私が普段行っている体重管理の方法について簡単に紹介します。
体重がうまく増え始めれば、赤い部分(リーンバルク期間)に示されているように体重が一定のペースで増えていく。
増量期であろうと減量期であろうと、体重測定を毎日行うことが増量(または減量)の成功確率を大いに高めるコツであることはこれまでに発表された諸研究報告[12,13]により明らかとなっている。
しかし実際問題として、体重を毎日測定するのは面倒だし、面白みもないし、続かない可能性が高い。
私は以前、体重計の数値をノートに記録して体重追跡を行っていたのだが、いざノートを見返しても体重が減っているのかどうかが全く分からないため、体重追跡を挫折した経験がある。
それ以来、私が使用しているのが、体重計にほんの数秒乗るだけで体重・体脂肪率のデータを自動的に記録し Bluetooth/Wi-Fi経由でスマホに自動同期してくれるWithingsのスマート体重計である。
上の体重増減のグラフはこのWithingsのスマート体重計により自動的に記録された実際のデータである。
日々の体重増減をグラフで可視化することによって増量(または減量)が計画通り進んでいるかどうかを客観的に判断することができるので、スマート体重計をまだ試したことがない人は是非一度チェックしてみて下さい(本当にお勧めです)。
ハードゲイナー 脱却のポイント(まとめ)
本記事では、筋肉が増えないと悩むハードゲイナーの方々が見直すべき13の重要ポイントについて各文献データ[1~13]に基づいて詳しく解説を行いました。
ハードゲイナーからの脱却を図るには、今回紹介した具体的アプローチを継続して行うことが最大のポイントとなる。
実際のところ、筋肉を増やせないと悩むほとんどの人は、トレーニングや食事管理に対して適切にアプローチを図れていないために筋肉が増えない可能性が高い。
ハードゲイナーにとって最も難しいのが、筋肉を大きく発達させるのに最適なトレーニングボリュームを把握することである(多くても少なくても筋肥大効率は低下する)。
この点については、本記事で紹介した筋トレ方法をまずは実施し、体の反応を見ながら少しずつ調整を加えて頂きたい。
またハードゲイナーに限らず、十分な睡眠時間を確保することでテストステロン値を高く維持し、アナボリック環境を最適化することができるので、筋肉を大きく発達させるためには良質な睡眠を心がけることにも注力したい。
ハードゲイナーからの脱却に必要なチェックポイントを以下にまとめておきますので、参考にして下さい。
ハードゲイナー脱却のチェック項目
- 筋肥大が起こる仕組みを理解する
- メカニカルテンションを増やす
- フリーウエイトに挑戦する
- コンパウンド種目を優先する
- 高重量トレーニングを行う
- レップ数を適切に設定する
- トレーニング時間を短く設定する
- 過度な有酸素運動を控える
- 摂取カロリーを適切に設定する
- ウエイトゲイナーを活用する
- 体重追跡を行う
- 週あたり100 gのペースで増量する
- 良質な睡眠を心がける
参考文献
[1] David Montero,et al (2017) Refuting the myth of non‐response to exercise training: ‘non‐responders’ do respond to higher dose of training
[2] Schoenfeld BJ, et al (2010) The mechanisms of muscle hypertrophy and their application to resistance training
[3] Hatzel, B., Glass, S. C., Johnson, S., & Sjoquist, H. (2013). Effects of Lift Velocity on Muscle Activation During Leg Extension
[4] Sakamoto, A., & Sinclair, P. J. (2012). Muscle activations under varying lifting speeds and intensities during bench press. European journal of applied physiology
[5] Goldberg AL,et al (1975) Mechanism of work-induced hypertrophy of skeletal muscle
[6] Spennewyn KC (2008) Strength outcomes in fixed versus free-form resistance equipment
[7] Campos GE,et al (2007) Muscular adaptations in response to three different resistance-training regimens: specificity of repetition maximum training zones
[8] Thomas R. Baechle,et al (2008) Essentials of Strength Training and Conditioning
[9] Bamman MM,et al (1985) Cluster analysis tests the importance of myogenic gene expression during myofiber hypertrophy in humans
[10] Thalacker-Mercer A,et al (2013) Cluster analysis reveals differential transcript profiles associated with resistance training-induced human skeletal muscle hypertrophy
[11] Donahoo WT,et al (2004) Variability in energy expenditure and its components
[12] Gokee LaRose, J, et al (2010) Preventing weight gain in young adults: a randomized controlled pilot study
[13] Welsh, E.M, et al (2009) Is frequent self-weighing associated with poorer body satisfaction?