2分割 筋トレメニューで上半身を最も合理的に鍛え上げるトレーニング方法と種目

[記事公開日]2018/03/22
[最終更新日]2020/04/05

2分割

こんにちは。ワークアウトサイエンスです。

今回は、2分割でトレーニングを行う場合の最も効率的なトレーニング方法および種目の設定方法を科学的見地から詳しく紹介します。

なお今回は【2分割トレーニングの上半身編】なので、後日【2分割トレーニングの下半身編】をお送りします。


2分割トレーニングとは

2分割

 

2分割トレーニングとは、全身の筋肉を2つのグループ(A、B)に分割し、1回のトレーニングでA部位、B部位のいずれかを鍛えるトレーニング分割法である。

全身の筋肉を2つのグループに分割する方法はいくつかあるが、最も一般的な2分割方法が全身の筋肉群を上半身と下半身の2つの部位に分割する上半身-下半身分割法である。

 

上半身-下半身分割法( 2分割 )のメリット

 

上半身-下半身分割法のメリットは主として2つある。

 

週に2回の筋トレで全身を鍛えることができる

 

筋トレを週に2回行う場合、あるいは一時的な都合で筋トレを週に2回しか行えない場合、上半身-下半身分割法を取り入れることにより全身の筋肉群を鍛え上げることができる。

つまり、週に2回という比較的低頻度のルーティンであっても効率的に全身の筋肉群を鍛えることができるのである。

2分割の一例(週に2回トレーニングを行う場合)

1日目 上半身
2日目 オフ
3日目 オフ
4日目 下半身
5日目 オフ
6日目 オフ
7日目 オフ

 

 

全身の各筋肉部位を週に2回ずつ鍛えることができる

 

上半身-下半身分割法を採用してトレーニングを週に4回行えば、1週間につき上半身と下半身をそれぞれ2回ずつ鍛えることができるので、より高頻度で各部位を鍛えることができる。

以前、筋肥大(筋タンパク質合成)に最適な トレーニング頻度 と具体的メニューの記事で紹介したように、同一筋肉部位は週に2回鍛えるのが筋タンパク質合成プロセスを最大化させ、アナボリック状態を長時間維持できる筋肥大に最も効果的なトレーニング頻度であることを紹介した。

 

したがって、全身の筋肉群のサイズアップをとにかく狙いたい場合は上半身-下半身分割法を採用し、週に4回トレーニングを行うとよい

そして、トレーニングのレベルがさらに上がれば、3分割、4分割、5分割という風にトレーニングルーティンを細分化していき、各筋肉を多角的に鍛える分割法に移行していけば良い。

2分割の一例(週に4回トレーニングを行う場合)

1日目 上半身
2日目 オフ
3日目 下半身
4日目 オフ
5日目 上半身
6日目 下半身
7日目 オフ



2分割 トレーニングの種目の具体例

 

それでは早速、1回のトレーニングで上半身全ての筋肉を最も合理的に鍛えるトレーニングの具体例を見ていくことにしよう。

 

1種目目:インクラインダンベルプレス

 

ターゲット部位

  • 大胸筋上部
  • 大胸筋
  • 三角筋前部
  • 上腕三頭筋

 

1種目目は大胸筋(特に大胸筋上部)をメインターゲットとするインクラインダンベルプレスを行う。

2010年に発表された研究報告[1]によれば、大胸筋をターゲットとする15種のトレーニング種目のうち、インクラインダンベルプレスが大胸筋上部を最も強く活性化できる種目であると結論付けている。

さらに、ダンベルを用いることでバーベル使用時よりも可動域を大きく取れるという利点がある。

ベンチ 45度

 

またインクラインダンベルプレスを効果的に行うための最適なベンチ角度としては30°~50°の範囲が推奨されている(研究報告[2])。

<参考>大胸筋 を科学的アプローチで徹底的に鍛え上げるトレーニング種目

 

 

2種目目:ベントオーバーローイング

ベントオーバーローイング

 

ターゲット部位

  • 広背筋
  • 大円筋
  • 僧帽筋
  • 上腕二頭筋

 

2種目目は広背筋全体をメインターゲットとするベントオーバーローイングを行う。

ベントオーバーローイングは高重量を扱うことのできるコンパウンド種目であることから容易にオーバーロードを達成することができ、広背筋の飛躍的な発達には欠かせない種目である。

広背筋

 

一般にラットプルダウンなどのプル系種目は背中に幅(主として広背筋に作用)をもたらし、ケーブルローイングなどのロウ系種目は背中に厚み(主として僧帽筋に作用)をもたらすと理解される。

しかし、2004年に発表された研究報告[3]によれば、ロウ系種目は背中に厚みをもたらすだけでなくプル系種目とほぼ同等レベルで背中に幅をもたらす効果があると結論付けられている。

➡つまり、高重量を扱うことのできるロウ系種目の代表種目ベントオーバーローイングは広背筋と中部僧帽筋の両方を合理的に鍛えて背中に幅と厚みをつけるためには必ず取り入れたい種目となる。

 

<参考>広背筋と僧帽筋を科学的アプローチで最も合理的に鍛える筋トレ方法および種目

 

 

3種目目:チンニング(またはラットプルダウン)

ラットプルダウン

 

ターゲット部位

  • 広背筋
  • 僧帽筋
  • 上腕二頭筋

 

3種目目は2種目目に引き続き、広背筋をターゲットとしてチンニングまたはラットプルダウンを行う。

 

先ほど紹介したように、チンニングラットプルダウンといったプル系種目は広背筋に幅をつけ、逆三角形の背中を作り上げるには必要不可欠な種目である。

チンニング

 

チンニングラットプルダウンの広背筋へ刺激の入り方は基本的には同じであるが、チンニングは胴体を持ち上げるときの軌道が決まっておらず身体を安定させるために大円筋や小円筋といった小さな筋群が積極的に動員されるためより凹凸のある立体的な広背筋を作ることができる種目となる。

またチンニングを行う場合、ラットプルダウンを行う場合よりも上腕二頭筋を強く活性化できるため、1回のトレーニングで効率的に上半身全体の筋肉群を活性化させるためにはチンニングを行う方が合理的であると考えられる。(研究報告[4]より)。

さらに、チンニングはラットプルダウンを行った場合よりも最大で25%もトータルボリューム(一般に、トータルボリューム大=筋肥大への効果も大)を多く取れたとの報告もあるので特に問題がない限りチンニングを積極的に取り入れたい(研究報告[5]より)。

 

 

4種目目:ダンベルショルダープレス

ショルダープレス

 

ターゲット部位

  • 三角筋
  • 上腕三頭筋

 

4種目目は三角筋(特に三角筋前部)をターゲットとするダンベルショルダープレスを行う。

2013年に発表された研究報告[6]によれば、バーベルよりもダンベルを使用してショルダープレスを行った場合に三角筋前部がより強く活性化されたと報告されている。

また、ダンベルを使用することでバーベルを使用するときよりも可動域を広く取れるというメリットもある。

<参考>三角筋 を科学的アプローチで徹底的に鍛える筋トレ方法とトレーニング種目

 

 

5種目目:バーベルカール

アームカール

 

ターゲット部位

  • 上腕二頭筋

 

5種目目は上腕二頭筋をターゲットとするバーベルカールを行う。

上腕二頭筋は主として速筋(タイプⅡ)で構成されているため、上腕二頭筋を効率的に肥大させるには積極的に高重量トレーニングを取り入れる必要がある(研究報告[7]より)。

バーベルカールは高重量のバーベル(5~8 RM)を使用することで長頭と短頭の両頭を容易にオーバーロードさせることができるため、上腕二頭筋のサイズアップには欠かせない種目である。

<参考>上腕二頭筋 を科学的アプローチで徹底的に鍛え上げるトレーニング種目と筋トレ方法

 

 

6種目目:クローズグリップベンチプレス

 

ターゲット部位

  • 上腕三頭筋
  • 大胸筋

 

6種目目は上腕三頭筋をターゲットとするクローズグリップベンチプレスを行う。

上腕二頭筋と同様、上腕三頭筋を構成する筋繊維のうち実に67%が速筋(タイプⅡ)から構成されているため、上腕三頭筋全体のサイズアップを狙うには高重量のウエイトを扱い、段階的にオーバーロード達成していく方法が最も効率的な三頭筋のサイズアップの方法である(研究報告[8]による)。

また、クローズグリップベンチプレスを行う際、扱うバーベルの重量が増加するにつれて大胸筋の活性度合が徐々に低下していき、逆に、上腕三頭筋の活性度は増大していくことが分かっている(研究報告[9]による)。

これらをまとめると、クローズグリップベンチプレスを行う際は5~8 RMの高重量を使用した方が上腕三頭筋の発達には効果的であると考えられる。なお、スミスマシンを使えば安全に高重量トレーニングが可能となる。

 

筋トレ初心者の方へ

上腕をターゲットとした5種目目、6種目目のトレーニング種目は個人のトレーニングレベルに応じて取り入れるかどうかを決定すると良い。

特に筋トレ初心者の方は、上記1~4種のトレーニング種目に重点を置き、余裕があれば5種目目、6種目目を行うと良い。

 

2分割トレーニングのまとめ

ボディビル

 

上半身トレーニング(2分割)の具体例

  1. インクラインダンベルプレス
  2. ベントオーバーローイング
  3. チンニング(またはラットプルダウン)
  4. ダンベルショルダープレス
  5. バーベルカール
  6. クローズグリップベンチプレス

 

今回は上半身-下半身分割法(2分割)の最も効率的なトレーニング種目の設定方法を科学的見地に基づいて紹介した。

2分割トレーニングは筋トレ初心者だけでなく、中上級者も取り入れる筋肥大には効果的な分割法なので、特に週2回、あるいは週4回の頻度でトレーニングを行う場合は是非採用を検討してみてはいかがでしょうか。

また、5分割、4分割、3分割、1分割などの、その他のトレーニング分割法(スプリット)については筋トレの5つの 分割方法 |筋肥大を引き出すスプリット方法のページにて詳しく説明しているので是非ご覧ください。


 

参考文献

[1] Bret Contreras (2010) Inside the Muscles: Best Chest and Triceps Exercises

[2] Trebs AA, et al (2010) An electromyography analysis of 3 muscles surrounding the shoulder joint during the performance of a chest press exercise at several angles

[3] Gregory J Lehman, et al (2004) Variations in muscle activation levels during traditional latissimus dorsi weight training exercises: An experimental study

[4] Doma K, et al (2013) Kinematic and electromyographic comparisons between chin-ups and lat-pull down exercises

[5] Doug Johnson, et al (2009) Relationship of Lat-Pull Repetitions and Pull-Ups to Maximal Lat-Pull and Pull-Up Strength in Men and Women

[6] Saeterbakken AH et al (2013) Effects of body position and loading modality on muscle activity and strength in shoulder presses

[7] Srinivasan RC, et al (2007) Fiber type composition and maximum shortening velocity of muscles crossing the human shoulder

[8] Srinivasan RC, et al (2007) Fiber type composition and maximum shortening

[9] Artur Gołaś, et al (2017) Changes in Bar Velocity and Muscular Activity During the Bench Press in Relation to the Load Lifted