太くメリハリのある上腕三頭筋づくりに苦労しているトレーニーは非常に多い。
上腕三頭筋 が太くなれば、体全体の印象は劇的に変化する。
この記事を読めば上腕三頭筋トレーニングにおける重要ポイントを全て網羅することができます。
コンテンツ
上腕三頭筋 の3つの頭
上腕三頭筋はその名の通り、3つの頭(筋肉)から構成される。
本記事では、それら3つの筋肉それぞれにアプローチを取り、極太かつメリハリのある上腕三頭筋を目指す。
上腕三頭筋 長頭
上腕三頭筋長頭は、上腕の後ろ側に位置し、上腕三頭筋を構成する3つの筋肉のうちで最も体積が大きい。
上腕三頭筋長頭は、後に紹介する上腕三頭筋外側頭・内側頭とは異なり、上腕三頭筋の3つ頭の中で唯一、肩甲骨から起始し肘関節に停止している(下写真の赤丸部分)。
これにより上腕三頭筋長頭は、肘関節の伸展作用(腕を伸ばす動作)だけでなく、肩関節の内転・伸展作用(腕を上げたり腕を横に閉じる動作)も持っている[9]。
つまり、肘関節の伸展作用と肩関節の内転・伸展作用を持つ上腕三頭筋長頭を効果的に鍛えるには、(下の写真のように)腕を頭上に位置させ、肘を閉じた状態で腕を曲げ伸ばしする運動を行えば、上腕三頭筋長頭を最大伸展させた状態から完全に収縮させることができるため、結果的として、上腕三頭筋長頭に非常に強い刺激を与えることができるのである。
そして、上記の条件を満たす上腕三頭筋長頭にオススメの種目が以下に示す種目である。
長頭に最適な種目[8]
- オーバーヘッドトライセプスエクステンション
- ライイングトライセプスエクステンション(EZバー)
- EZバースカルクラッシャー
(EZバースカルクラッシャー)
(追記)上腕三頭筋、長頭をさらに高強度に鍛えたい場合は、EZバースカルクラッシャーをお勧めします。
なぜEZバースカルクラッシャーが上腕三頭筋の発達に非常に有効な種目であるのかの説明は、最新記事(2019.11.05公開)にて解説しています
どうぞご覧ください。
上腕三頭筋 外側頭
上腕三頭筋外側頭は上腕の側面に位置し、上腕三頭筋を構成する3つの筋肉の中で2番目に大きい筋肉で、シューホース(馬の蹄)のような凹凸のある上腕三頭筋を作り上げる重要な役割をしている部位である。
上腕三頭筋外側頭は、肘関節の伸展作用を持ち、腕を伸ばす時に使用される。
外側頭に最適な種目[8]
- ライイングトライセプスエクステンション(EZバー)
- ケーブルプッシュダウン(ストレートバーまたはVバーを使用)
- ディップス(必要に応じて加重)
上腕三頭筋外側頭は、上腕三頭筋内側頭を同じ働きを持つため、基本的には内側頭を鍛えると外側頭も同時に鍛えらえるが、ケーブルプッシュダウン時にストレートバーあるいはVバーを使用することで外側頭により強い刺激を加えられることが分かっている[10]。
上腕三頭筋 内側頭
上腕三頭筋内側頭は、上腕の内側の位置し、長頭・外側頭に比べて見えにくい位置にあるが、それでもなお上腕三頭筋の厚みに大きく貢献する重要な部位である。
上腕三頭筋内側頭は、外側頭と同じく肘関節の伸展作用を持ち、外側頭の補助としても働き、腕を伸ばす時に使用される。
内側頭に最適な種目[8]
- ケーブルプッシュダウン(ロープを使用)
- ディップス(必要に応じて加重)
上腕三頭筋内側頭は、上腕三頭筋外側頭を同じ働きを持つため、基本的には外側頭を鍛えると内側頭も同時に鍛えらえるが、ケーブルプッシュダウン時にロープを使用することで内側頭により強い刺激を加えられることが分かっている[10]。
上腕三頭筋の発達には十分なトレーニングボリュームが必要
2018年に発表された研究報告[1]によれば、上腕三頭筋の筋体積(筋肉の体積)は、上半身の筋肉群の中で三角筋(肩)の次いで2番目に大きいことが分かっている。
実のところ上腕三頭筋は、大胸筋や広背筋よりも大きい筋肉なのである。
一般に筋体積が大きいということは、その筋肉を大きく発達させるにはそれだけ多くのトレーニングボリュームが必要になるということである。
筋肥大の権威、テンプル大学の教授でありながらボディビルダーでもあるマイク教授によれば、筋肥大効率を最大化する週あたりのトレーニングセット数は次にようにまとめられている[5]。
一般的な筋肥大トレーニング(8~12 RM)を行う場合の推奨セット数/週(大筋群の場合)
各部位につき20~25セット/週
多くの人は、上腕三頭筋は小さい筋肉(小筋群)であると認識している場合が多く、結果として上腕三頭筋のトレーニングが後回しになり軽視されたり、セット数やトレーニング頻度が少なくなり、結果として筋肥大の最適化に必要となるトレーニングボリュームが確保されていないケースが非常に多いのである。
一般に、筋肉量をどれだけ増やせるか(筋肥大効率)は週あたりのトレーニングボリュームによって決まる(ある一定のセット数までは、セット数が多ければ多いほど筋肥大効率は向上する(詳しくはこちら))。
上腕三頭筋 の発達には高重量トレーニングが必須
2007年の研究報告[2]によると、上腕三頭筋は他の筋肉群に比べて速筋の割合が高く、また、平行筋に比べてより強い力を発揮できる羽状筋で構成されているため、上腕三頭筋を大きく発達させるには高重量・低レップの刺激を取り入れる必要がある。
事実、2013年に東京大学から発表された研究報告[3]によれば、1RMの75%(高重量)でベンチプレスを10レップ×3セット行ったグループと、1RMの30%(低重量)でオールアウト×4セットを行ったグループとの両グループにおける上腕三頭筋および大胸筋の筋肉増加量を比較したところ、1RMの75%(高重量)グループにおいて上腕三頭筋の筋肉増加量に大きな伸びが見られたことが分かった。
また、(平行筋である)大胸筋の筋肉増加量は、1RMの30%(低負荷)グループにおいて高い値が認められたという。
この結果をサポートするにように、別途研究[4]においてもベンチプレス使用重量が大きいほど上腕三頭筋への刺激が強まる傾向にあることが示されている。
これらの事柄を全て加味すると、上腕三頭筋のサイズアップを効率的に達成するには、
- クローズグリップベンチプレスを行う
- ベンチプレスを取り入れる大胸筋トレーニングの後に上腕三頭筋トレーニングを行う
上記のいずれかのアプローチを取るのが望ましいと考えられる。
クローズグリップベンチプレスは、グリップ幅が狭くなるにつれ上腕三頭筋の活性度が増大することが諸研究[6,7]により明らかとなっているが、経験上、グリップ幅が極端に狭くなると高重量が扱えなくなるだけでなく手首への負担が増大するため、クローズグリップベンチプレスを行う際はグリップ幅を肩幅程度に設定して行うと良い。
フラットベンチを使用し、5~8 RM×4~5セットを目安にすると良い。
また、大胸筋のトレーニングにベンチプレスを行う人の場合は、大胸筋トレーニングの後に続けて上腕三頭筋トレーニングを行えば、クローズグリップベンチプレスを行う必要はないと考えられる。
というのも、通常のグリップ幅でベンチプレスを行った場合の上腕三頭筋の活性度は、クローズグリップベンチプレスを行った場合と比較して、約75%[7]とその値はやや劣るが、ベンチプレスだけでも上腕三頭筋には十分な刺激を与えられるからである。
上腕三頭筋の各頭にアイソレートした種目を選択する
上記の通り、上腕三頭筋の発達に必要となる高重量・低レップの(クローズグリップ)ベンチプレスを行った後は、各頭の発達度に応じて、弱点を補強するように各頭にアイソレートした種目を選択すると良い。
もう一度まとめておこう。
三頭筋全体のサイズアップ
- クローズグリップベンチプレス
- ベンチプレス
- 長頭をターゲットとする場合:肘を閉じ気味にする
- 外側頭・内側頭をターゲットとする場合:肘を開き気味にする
- 三頭筋全体をターゲットとする場合:ニュートラルポジション
長頭に最適な種目
- オーバーヘッドトライセプスエクステンション
- ライイングトライセプスエクステンション(EZバー)
外側頭に最適な種目
- ライイングトライセプスエクステンション(EZバー)
- ケーブルプッシュダウン(ストレートバーまたはVバーを使用)
- ディップス(必要に応じて加重)
内側頭に最適な種目
- ケーブルプッシュダウン(ロープを使用)
- ディップス(必要に応じて加重)
前述の通り、上腕三頭筋を効率的に発達させるには、週あたり20~25セットが推奨されているため、上記の種目リストから3~4種目を選択してトレーニングメニューを組むと良い。
上腕三頭筋トレーニングメニューの具体例
参考までに私が普段行っている上腕三頭筋のトレーニングメニューを紹介します。是非参考にして下さい。
1. ベンチプレス 5セット(大胸筋トレーニング)
2.コンパウンドセット
ライイングトライセプスエクステンション(EZバー)
+クローズグリップベンチプレス(EZバー)
up 30 kg×10 reps
main 40 kg×10 reps
50 kg×10 reps
60 kg×10 reps
40 kg×10 reps(オールアウト)
3.ケーブルVバープッシュダウン
4 sets
4.ディップスまたはオーバーヘッドエクステンション
4 sets(ドロップセット)
参考文献
[1] Alex Silva Ribeiro,et al (2018) Large and small muscles in resistance training: Is it time for a better definition?
[2] Srinivasan RC,et al (2007) Fiber type composition and maximum shortening velocity of muscles crossing the human shoulder
[3] Riki Ogasawara,et al (2013) Low-Load Bench Press Training to Fatigue Results in
Muscle Hypertrophy Similar to High-Load Bench Press Training
[4] McCaw Steven T,et al (1994) A Comparison of Muscle Activity Between a Free Weight and Machine Bench Press
[5] http://www.jtsstrength.com/articles/author/mikeisraetel/
[6] Barnett Chris,et al (1995) Effects of Variations of the Bench Press Exercise on the EMG Activity of Five Shoulder Muscles
[7] Lehman GJ (2005) The influence of grip width and forearm pronation/supination on upper-body myoelectric activity during the flat bench press
[8] Boeckh-Behrens, W, et al (2000) Fitness Strength Training
[9] Kusunoki.T (2018) Effect of Muscle Contraction Induced by Electrical Stimulation of the Long Head Triceps Brachii Muscle on the Scapula Position
[10] https://www.t-nation.com/training/inside-the-muscles-best-chest-and-triceps-exercises