筋肥大効率を限りなくMAXに引き上げる 筋肥大トレーニング プログラムを実践し、必要最小限の努力で最も効率的に筋肉を発達させよう!
なお今回は、ユニークで突飛なトレーニング種目やトレーニングテクニック等は可能な限り排除し、トレーニング理論の基本に基づき、ほぼ全ての人が明日からでもすぐに実行でき、かつ筋肥大に有効なトレーニングプログラムの具体例を提案します。
普段、トレーニングに2時間以上費やしているにも関わらず、思うように筋肉が大きくならないとお悩みの方は、本記事をお読みいただければ“その謎”が解決するはずです。
それでは、必要最小限の努力で筋肥大を確実に達成するために押さえておくべき重要ポイントをひとつずつ網羅していくことにしよう。
コンテンツ
トレーニング頻度・セット数について
前回記事でも詳しく紹介したように、筋肥大効率を最適化するのに推奨されるトレーニング頻度は各筋肉部位につき週2~3回である[1]。
トレーニング初心者の場合、トレーニングにより誘発される筋タンパク質の合成(筋肉の合成)は、トレーニング上級者の場合よりも長時間持続するため(言い換えると筋肉の回復により多くの時間を要るため)、各部位につき週1~2回鍛え、週あたりのセット数は6セット程度/各部位で十分に筋肥大効率を最適化できると考えられる[2]。
なお、トレーニング初心者の場合は、少ないセット数で筋肥大を最適化できるため、1回のトレーニングで全身の筋肉を満遍なく鍛える全身分割法(1分割)が向いている。
一方、トレーニング上級者の場合は、トレーニングによる刺激にすでに適応しているため、筋肥大を最適化するのに必要となるセット数はトレーニング初心者・中級者のそれよりも必然的に多くなる。
これらのポイントは以下のように簡潔にまとめることができる。
週あたりに推奨されるセット数
セット数/部位 | 初心者 | 中級者 | 上級者 |
---|---|---|---|
1回の筋トレにつき | 3 | 3~4 | 8~12 |
週につき | 6 | 10~12 | 15~20 |
まずは上の表から、各筋肉部位につき、週あたりトータルで何セット行うべきなのかを以下の表で確認しておこう。
例えば、トレーニング初心者は、全身分割法(1分割)を採用し、1回のトレーニングで全身の各筋肉部位(胸・肩・背中・脚・上腕二頭筋・上腕三頭筋・腹筋)を3セットずつ鍛えるトレーニングを週に2回行うのがお勧めである。
つまり、1回のトレーニングで全身の筋肉を鍛えるには、(3セット×7部位=)合計21セット行うことになる。
このトレーニングを週に2回行えば、筋肥大効率を最適化することができる。
一方、トレーニング上級者は、初心者よりも多くのセット数をこなさなければならないため、全身分割法(1分割)は向かず、その代わりに大筋群分割法(4分割)などの分割法を取り入れるのが良い。
それではさっそく、ワークアウトサイエンスが普段取り入れている各筋肉部位のトレーニング種目・セット数・レップ数の具体例を紹介します。
種目の選択について
大胸筋トレーニング
大胸筋は大きく、大胸筋上部(鎖骨部)、大胸筋中部(胸肋部)、大胸筋下部(腹部)の3つの部位に分けることができる。
これら3つの部位をもれ落ちなく鍛えることが大胸筋全体をバランスよく発達させる上で重要なポイントとなる。
トレーニング種目の選択に偏りがあると、大胸筋中部ばかりを集中的に鍛えてしまい、大胸筋下部が全く鍛えられていないという事態も起こりかねない。
そうならないようにするためにも、どの種目がどの部位をターゲットしているかをキチンと把握しておくことが、ボディメイキングの観点からは大切になってくるのである。
まず第一に、大胸筋全体を効率的に発達させるには、大胸筋中部(大胸筋の真ん中)を鍛える必要がある。
大胸筋中部
大胸筋中部の主な働きは、腕を胴体の側面(外側)から内側に動かす水平屈曲という動作である。
例えば、ベンチプレスやダンベルフライなどが水平屈曲の動きになるので、大胸筋中部(または大胸筋全体)の発達には、コンパウンド種目であるベンチプレス、あるいはアイソレーション種目であるダンベルフライが欠かせない種目となる。
(ベンチプレスの最大挙上重量と大胸筋の厚みには強い相関がある)
また、BIG3に属するベンチプレスは大胸筋の発達において非常に優れた種目であることが多くの研究[3,4]により示されているだけでなく、ベンチプレスで扱えるウエイト重量と大胸筋の発達度(大胸筋のサイズ)には非常に強い相関関係(上のグラフ)があることも同様に示されている[5]。
つまり、大胸筋全体を効率的に発達させるにはベンチプレスを率先して行うことが望ましいのだ。
大胸筋上部
大胸筋上部は腕を挙げる動作つまり、肩関節の屈曲作用という重要な働きを担っている。
大胸筋の上部の発達が遅れると大胸筋全体が垂れ下がった印象を与えてしまうので、大胸筋上部もしっかりと鍛えてやる必要がある。
今説明したように、大胸筋上部は腕を挙げる働き(肩関節の屈曲作用)を持つ。
例えば、ダンベルショルダープレス(←これは肩のトレーニングだが一例として)やインクラインダンベルプレスなどの動作がまさに肩関節の屈曲の動きになるので、大胸筋上部の発達にはインクラインダンベルプレスが推奨される。
というのも、複数の研究報告[6,7]によりインクラインダンベルプレスは大胸筋上部を最も効果的に鍛えられる種目のひとつであると報告されているからである。
また、インクラインベンチプレスで大胸筋上部をターゲットとする場合、通常よりもグリップ幅をやや狭めに設定することで大胸筋上部への刺激をさらに増大させることができる(研究[8]より)。
大胸筋下部
大胸筋下部は主に、上に挙げた腕を下に降ろす役割を担っている。
具体的には、上に挙げた両腕を胴体の前方から降ろせば肩関節の伸展、また、挙げた両腕を身体の側部から降ろせば肩関節の内転の動きとなる。
例えば、ケーブルクロスオーバーやディップスが肩関節の内転の動きとなる。
つまり、大胸筋下部を効果的に鍛えるにはディップスやケーブルクロスオーバーを取り入れることが望ましいという訳だ。
ディップスを行う際は、(上写真のように)ベンチプレスを行う時と同じように胸を張り(背中をまっすぐにし、両側の肩甲骨を寄せ、下にさげるようにして)、前傾姿勢でかつ、ワキを少し開いて動作を行うことで、肩関節の内転作用が強くなり大胸筋下部を効果的にアプローチすることができるようになる。
逆にワキを閉じて動作を行うと上腕三頭筋への負荷が増大する。
これらのポイントを盛り込んだ、ワークアウトサイエンスが普段行っている大胸筋+上腕三頭筋トレーニングは以下のようになる。
大胸筋の種目
- ベンチプレス
- ナローベンチプレス
- ダンベルフライ
- ディップス
(インクラインケーブルフライ)
ダンベルフライはボトムポジションで強烈なストレッチが得らえるが、トップポジションで負荷が抜けやすくなる。
よって、トップポジションで大胸筋の内側を強く収縮させられるインクラインケーブルフライをダンベルフライのバリエーションとして定期的に取り入れるようにすると良い。
上腕三頭筋トレーニング
上腕三頭筋は、その名の通り3つの頭(長頭・短頭・内側頭)から構成され、その全てが曲げた腕を伸ばす作用(肘関節の伸展)を担っている。
また、上腕三頭筋の中で最も大きい頭である長頭は、曲げた腕を伸ばす作用に加えて、腕を上げたり腕を横に閉じる作用(肩関節の内転・伸展作用)を持っている。
つまり、両腕を頭上に位置させ、肘を閉じた状態で腕を曲げ伸ばしする動きを行えば、上腕三頭筋(特に長頭)を完全にストレッチさせた状態で完全収縮させることができるため、上腕三頭筋を最も効率的に発達させるポイントとなるのである。
これを可能にする種目として挙げられるのが、ケーブルを使用して行うオーバーヘッドトライセプスエクステンション(上写真)、もしくはEZバースカルクラッシャーである。
私のお勧めは、断然、EZバースカルクラッシャー(上図)である。
というのも、上腕三頭筋には、
という特徴があるため、高重量・低回数の刺激に反応しやすい特性がある。
このような理由により、EZバースカルクラッシャーは、上腕三頭筋を大きくストレッチさせた状態で高重量ウエイトを使用して動作を行うため、結果として、重量のある不安定なEZバーを安定させるのに多くの筋線維が動員され、上腕三頭筋に強烈な刺激を与えられるのである。
上腕三頭筋の種目
- EZバースカルクラッシャー
- トライセプスプッシュダウン
ちなみに、私の大胸筋+上腕三頭筋トレーニングでは、2種目目にナローベンチプレスを持ってきている。
ナローベンチプレスは主として上腕三頭筋をターゲットとしているが、通常のグリップ幅よりも狭いグリップ幅で行うナローベンチプレスは大胸筋上部への刺激が増大するため、ナローベンチプレスを行う場合は必ずしもインクラインダンベルプレスを取り入れる必要はない。
したがってナローベンチプレスを行わない場合は、大胸筋上部をターゲットとする種目として、インクラインダンベルプレスやインクラインダンベルフライなどの種目をメニューに取り入れるべきである。
《オススメ記事》
背中+上腕二頭筋トレーニング
背中を構成する主要な筋肉のうち、背中のトレーニングの観点から押さえておかなければならないのは、広背筋(+大円筋)、僧帽筋、脊柱起立筋群の3つの部位である。
広背筋
広背筋は、胴体に厚みと幅を持たせる重要な筋肉であり、その主たる働きは、目の前にあるものを手前に引き寄せる動き(肩関節の伸展)、そして、胴体の側部にあるものを引き寄せる動き(肩関節の内転)の役割を担っている。
例えば、プルアップやラットプルダウンマシン(肩関節の内転)、あるいはストレートアームラットプルダウン(肩関節の伸展)が広背筋の発達に欠かせない重要種目となる。
ラットプルダウンマシンを使用する際は、両手の幅を肩幅の1.5倍程度に設定し、順手で行うことで広背筋を最も活性化できると報告されている。
僧帽筋
背中を構成するもうひとつの重要筋肉群である僧帽筋は、背中に凹凸を持たせる重要筋肉群であり、トレーニングの観点から大きく3つに分割(上部僧帽筋、中部僧帽筋、下部僧帽筋)することができる。
僧帽筋全体の働きとしては、肩甲骨を互いに寄せる動き、つまり肩甲骨の内転作用である。
お笑い芸人、オードリー春日のスーパーカスカスダンス(?)の動きが分かりやすい例である。
僧帽筋全体(中部)の発達に欠かせない代表種目としてはベントオーバーロウ、あるいはダンベルロウが挙げられる。
例えば、ベントオーバーロウ行う際、順手(手の甲が上を向く)で行えば、僧帽筋の関与が強まり、逆手(手のひら上を向く)で行えば広背筋への関与が強くなる。
僧帽筋をターゲットとしてベントオーバーロウを行う場合は、(順手で)バーをみぞおちに向かってまっすぐ垂直に引き上げるようする(肩甲骨の内転作用が強くなる→僧帽筋に効く)。
このとき、両方の肩甲骨がしっかりと引き寄せられていることを意識して行うようにする。
一方、広背筋をターゲットとしてベントオーバーロウを行う場合は(逆手で行い、)バーをヘソに向かって斜めに引き上げるように行うと良い(肩関節の伸展作用が強くなる→広背筋に効く)。
僧帽筋上部
(バーベルシュラッグ)
僧帽筋上部は主に、首をすくめる動作、つまり肩甲骨を引き上げる作用を持つ。
僧帽筋上部を鍛える代表的な種目としては、バーベルシュラッグが挙げられる。
僧帽筋上部は鍛えている人と鍛えていない人の差が顕著に表れる部位でもあるので、積極的に鍛えたい。
これらのポイントをふんだんに盛り込んだ、背中のトレーニングは以下のようになる。
背中の種目
パターンA(ロウ系中心)
- ペンドレイロウ
- ベントオーバーロウ
- ワンハンドダンベルロウ
パターンB(プル系中心)
- デッドリフト
- ルーマニアンデッドリフト
- レッグカールマシン
- プルアップ
- ラットプルダウン
- ストレートアームラットプルダウン
背中は多くの筋肉群から構成されているため、全ての筋肉群を1回のトレーニングで効率的に鍛え上げるのは難しい。
そのため背中のトレーニングプログラムを組む際は、僧帽筋を主たるターゲットとするロウ系種目を中心とするパターンA、そして広背筋を主たるターゲットとするプル系種目を中心とするパターンBのトレーニングプログラムを交互に行うと良い。
例えば、背中を週に2回、月曜日と木曜日に鍛えるのなら、月曜日はパターンA、木曜日はパターンBという具合である。
また、パターンBの日にデッドリフトを第一種目に持ってきているのは、BIG3に属するデッドリフトは、下半身の筋肉群(ハムストリングス、臀筋)や背中全体の筋肉群(広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋群)などのほぼ全ての筋肉群を動員して行う重要種目であるからである(トレーニングの前半で行う種目は筋肥大により効果がある[12])。
つまり、背中のトレーニングのパターンBは実質上、脚(ハムストリングス中心)と背中全体のトレーニングということになる。(※脚のトレーニングについては後述)
また、背中トレーニングのパターンAの後は、上腕二頭筋のトレーニングを行っている。
若干ややこしく感じるが、記事の後半で分かりやすくまとめているのでご心配なく。
上腕二頭筋トレーニング
上腕二頭筋は”にとうきん”と呼ばれる事からも分かるように2つの頭(長頭と短頭)から構成されている(上図)。
胴体の外側に位置するのが長頭(上図の赤色)、そして内側に位置するのが短頭(上図の緑色)である。
この長頭と短頭の基本的な役割は肘を曲げる働き(肘の屈曲作用)であるが、短頭には前腕を外側に捻る働き(前腕の回外作用)もある。
例えば、上腕二頭筋を鍛える種目と言えばバーベルカールが真っ先に頭に浮かんできそうだが、アイソレーション種目であるバーベルカールは一般に高重量を扱いにくいという特性があるだけでなく、使用重量が増加するにつれてバーを挙げることに意識が傾きがちになり、結果としてチーティング(体の反動を使ってバーを挙げること)を行いやすくなる(結果、上腕二頭筋への刺激は減少する)。
さらに、バーベルカールはボトムポジションおよびトップポジションで負荷が抜けやすい(=上腕二頭筋への負荷が減少する)という欠点もある。
このような理由から、私はが強くお勧めする上腕二頭筋の種目は、ズバリ、逆手懸垂(リバースグリップ チンアップ )である。
逆手懸垂についての詳しい解説は、上腕サイズ45cmを目指すなら逆手懸垂( チンアップ )を上腕二頭筋の筋トレメニューに取り入れようの記事を参考にして頂きたいのだが、この種目には、
- チートを容易に防止できる
- 強烈な負荷をかけられる
- オーバーロードが容易
とった複数のメリットがある。
事実、上腕二頭筋の種目について調査した研究報告[10]によれば、逆手懸垂はコンセントレーションカールやバーベルカールに次いで3番目に有効な上腕二頭筋の種目であると結論付けられている。
また、逆手懸垂は不安定な体全体を上腕二頭筋を使って安定させながら懸垂動作を行う必要があるため、非常に強度の高い種目であることが実際にやってみるとよく分かるはずである(上腕二頭筋が熱く強烈にパンプすることを容易に実感できるはずである)。
このような理由から、上腕二頭筋の第1種目は逆手懸垂を強くお勧めする。
2種目目にお勧めなのは、ズバリ、インクラインダンベルカールである。
インクラインダンベルカールは、上腕二頭筋を強烈にストレッチさせた状態でカール動作が行えるだけでなく、手のひらを内側に向けた状態からダンベルを挙上させるにつれて手のひらを外側に向ける回転動作を加えて行えば、腕を外側に捻る働き(前腕の回外作用)を持つ短頭をターゲットとして鍛えることができる。
上腕二頭筋の種目
- リバースグリップチンアップ
- インクラインダンベルカール
(+ハンマーカール) - ケーブルハンマーカール
肩+僧帽筋トレーニング
意外かもしれないが、肩(三角筋)は人体の上半身にある筋肉群の中で最も大きい筋肉である。
そして三角筋は大きく、三角筋前部・側部・後部の3つの部位に分けることができる。
三角筋前部
三角筋前部の働きは、腕を前方から上に挙げる肩関節の屈曲作用という動作であり、ショルダープレスやミリタリープレスの動きがその分かりやすい例である。
これは裏を返せば、プレス系種目で三角筋後部・側部を十分に刺激することは難しいことを示唆している。
ある研究報告[11]によれば、ショルダープレス(スミス)を行った場合において、三角筋前部の活性度が70%と高いのに対し、三角筋側部の活性度は僅か20%であったと報告されている。
よって、三角筋側部・後部を集中的に鍛えるにはプレス系種目以外のレイズ系種目を取り入れる必要があるということである。
三角筋側部
三角筋側部の働きは、腕を胴体の外側に挙げる肩関節の外転という動作であり、サイドレイズの動きがその分かりやすい例である。
三角筋後部
三角筋後部の働きは、腕を身体の後方へ水平移動させる肩関節の水平外転(または伸展)という動作であり、ダンベルリアレイズの動きがその分かりやすい例である。
肩のトレーニングに関する記事でも以前紹介したことがあるのだが、現役ボディビルダーの三角筋の発達度合いを調査した研究報告によれば、三角筋前部と比較して、三角筋側部および三角筋後部の発達が遅れる傾向にあることが報告されている。
この理由として考えられるのは、肩のトレーニングで良く行われるダンベルプレスやミリタリープレスなどのプレス系種目は主に三角筋前部に刺激が入るというのが一点、さらに、大胸筋を鍛える(特に)インクラインで行うプレス系種目は肩関節を屈曲させる動きになるので必然的に三角筋前部にも刺激が伝わりやすいというのがもう一点、この二点が考えられる。
つまり、大胸筋と三角筋のトレーニングを行うたびに三角筋前部が動員されることになるで、三角筋側部・後部に比べて三角筋前部は発達しやすい状況にあると解釈するのが自然だろう。
また、三角筋後部には肩関節の伸展作用があることを先ほど紹介したが、広背筋を鍛えるラットプルダウン等を行う際にも三角筋後部がその動作にある程度関与するため、大胸筋および広背筋のトレーニングを高頻度で行う場合は、肩のオーバートレーニングを防ぐためにも、肩のトレーニング日には三角筋中部にターゲットを絞ってプログラムを組んでみるのも良いかもしれない。
肩の種目
- オーバーヘッドプレス
- ダンベルラテラルレイズ
- EZバーアップライトロウ
- バーベルシュラッグ
オーバーヘッドプレスに関する詳しい解説は、デカい肩 を手に入れるにはミリタリープレスかダンベルショルダープレスか|その違いとはの記事をご覧ください。
僧帽筋上部を鍛えるバーベルシュラッグは、お好みで背中のトレーニングに含めても良いのだが、そうすると、背中のトレーニングにおける種目数&セット数が増える一方なので、私は肩のトレーニングに含めている。
脚+腹筋のトレーニング
脚(下半身の筋肉)は大きく分けて、大腿四頭筋、ハムストリングス、臀部(お尻)、ふくらはぎの4つの筋肉群から構成されている。
大腿四頭筋
大腿四頭筋は、身体を前から見たときの脚全体の印象を決定付ける重要な筋肉群で、四頭筋と呼ばれることからも分かる通り、4つの筋肉(大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋)から構成されている。
大腿四頭筋は、曲げた膝を伸ばす動作(膝関節の伸展)と、尻を後ろに突き出す動作(股関節の屈曲)の役割を担っている。
つまり大腿四頭筋を鍛えるには、膝関節を伸ばす動作を行う際に大きな負荷が加わるバーベルスクワットやレッグエクステンション、あるいはレッグプレスを行えば良いのである。
また、バーベルスクワットで筋量アップを狙う場合は、これまでに発表された複数の研究報告[13,14]により、パーシャルスクワット(浅い)に比べて、フルスクワット(深い)を行うことで、大腿四頭筋がより強く活性化され、そして大腿四頭筋の筋肉増加率も約2倍となることが分かっている。
ハムストリングス
ハムストリングスは脚の裏側に位置する筋肉群で、4つの筋肉群(大腿二頭筋(長頭・短頭)、半膜様筋、半腱様筋)から構成されている。
ハムストリングスは、膝を曲げる動作(膝関節の屈曲)と、後方へ下げた尻を前方に突き出す動作(股関節の伸展作用)の役割を担っている。
ハムストリングスを効果的に鍛えるには、デッドリフト、レッグカールマシン(膝を曲げる動作)、ルーマニアンデッドリフト(股関節の伸展動作)、そしてブルガリアンスクワット(股関節の伸展)を行うことが推奨されている[15]。
なお、筋肥大の観点からいうと、コンベンショナルな(通常の床引き)デッドリフトと比較して、スモーデッドリフトはわずかに大腿四頭筋群への関与が大きくなり、なおかつ脊柱起立筋群への関与がわずかに低下するため[18]、
- 大腿四頭筋群をよりターゲットにしたい
- 脊柱起立筋群への負担を減らしたい
場合は、スモーデッドリフトを選択すると良いだろう。
コンベンショナルかスモーで迷ったらこれらのポイントを押さえて種目選択を行うと良いだろう。
最も大切なのは、直感的にやりやすい、得意だと感じる種目を選択することである。
そうすれば、より効率的にオーバーロードを達成していくことができる。
殿筋(お尻)
臀筋(でんきん)は、3つの筋肉(大臀筋 · 中臀筋 · 小臀筋)から構成されており、いわゆる我々のお尻を構成する人体で最も体積が大きな筋肉群である。
臀筋には、
- 股関節の伸展(後方へ下げた尻を前方に突き出す動作)
- 股関節の外転(足を横方向に上げる動作)
- 股関節の内転(横方向上げた足を閉じる動作)
- 股関節の外旋(足を外側にひねり、つま先を外側に向ける動作)
といった多くの作用があり、これらの作用の中でも特に重要なのが、股関節の伸展(後方へ下げた尻を前方に突き出す動作)である。
例えば、先述のブルガリアンスクワット(先述)やヒップスラストが殿筋を効果的に鍛えることのできる代表種目となる。
ふくらはぎ(カーフ)
ふくらはぎは別名”下腿三頭筋(かたいさんとうきん)”とよばれ、腓腹筋(外側頭・内側頭)とヒラメ筋の3つの筋肉から構成されている。
つまり、ふくらはぎ全体をバランス良く鍛えるには腓腹筋(外側頭・内側頭)とヒラメ筋のそれぞれに個別アプローチを取る必要があるのである。
そして、詳細は割愛するが、腓腹筋(外側頭・内側頭)とヒラメ筋をうまく鍛え分けるには以下の2種目をメニューに取り入れると良いことが複数の研究により示されている(詳しくはふくらはぎの記事にて)。
- 腓腹筋:スタンディングカーフレイズ
- ヒラメ筋:シーテッドカーフレイズ
また、カーフの筋肥大を最適化するには、1回のトレーニングにつき合計70レップを目安とし、週2~3回程度のアプローチが合理的であると結論付けられている(研究[16]より)。
これらのポイントを盛り込んだ、理論に基づく脚トレーニングの全容は以下のようになる。
脚の種目
パターンB(背中+ハムメイン)
- デッドリフト
- ルーマニアンデッドリフト
- レッグカールマシン
(以下は背中トレーニング) - プルアップ
- ラットプルダウン
- ストレートアームラットプルダウン
パターンC(大腿四頭筋メイン)
- スクワット
- レッグプレス(マシン)
- レッグエクステンション(マシン)
- カーフレイズ
先ほど紹介したように、脚(ハムストリングス)と背中のパターンB(ラット系種目)は同じ日に行うことになる。
デッドリフトは身体への負担が非常に大きく、筋肉の回復に時間がかかる場合が多いので、週に1回(あるいは2週間に1回程度で)程度のペースで行うようにする。
脚のトレーニングについてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
さあ、最後に腹筋トレーニングを攻略すればおしまい!もう少しの辛抱だ。
腹筋トレーニング
腹筋はトレーニングの観点から大きく、腹直筋上部、腹直筋下部、腹斜筋の3つの部位に分けて考えることができる。
腹直筋
腹直筋(上部と下部)は、腹筋の中でもいわゆるシックスパックと呼ばれる部分で、その働きは体幹部の前屈・側屈・回旋である。
分かりやすく言い換えると、背中を丸めながら顔をおヘソに近づけていくように腹筋を収縮させると体幹部の前屈作用の動きとなり、直腹筋を効果的に活性化させることができる。
(画像は[17]より引用)
この動作を可能にする腹筋種目は、クランチ系種目、レッグレイズ系種目の2種類に大別することができるが、2011年に発表された「腹筋を最も効果的に鍛える種目」について調査した研究報告[17]によれば、腹直筋上部を最も効率的に鍛えられる種目としてV字クランチ、そして、腹直筋下部を最も効率的に鍛えられる種目としてハンギングレッグレイズが紹介されている。
腹斜筋
腹斜筋には主として、体幹部の回旋・前屈・側屈という働きを持っている。
その動きを分かりやすく表現すると、身体を左右に捻ったり(回旋)、前方にお辞儀したり(前屈)、あるいは身体を左右に傾ける(側屈)ような働きがある。
例えば、両手を頭の後ろで組んで、背中を丸めるようにして左肘が右膝に近づくように腹筋動作を行えば、腹斜筋を効果的に活性化させることができる。
先ほど紹介した研究報告[17]によれば、腹斜筋を最も効率的に鍛えられる種目として挙げられているのが、ダンベルサイドベントである。
ダンベルサイドベントを行う際は、単に身体を横に傾けるだけなく、片方の肘が反対側の膝に近づくように身体を前傾させながら捻り動作を行うと、腹斜筋を強く収縮させることができる。
腹筋の種目
- V字クランチ
- ハンギングレッグレイズ
- ダンベルサイドベント
また、腹筋は、速筋と遅筋がほぼ同じ比率で構成されているため[9]、腹筋を肥大させるには、他の筋肉群と同じように、それなりの強度が必要になる。
したがって、1回のトレーニングで各種目を2~3セット、8~12レップの範囲で行えるように適宜負荷を調節してトレーニングを行うことが望ましい。
筋肥大トレーニング のまとめ
今回は、ワークアウトサイエンスが普段行っている 筋肥大トレーニング プログラムを解説付きで紹介しました。
筋肥大効率を最適化するには、綿密なトレーニングプログラムの構築(理論)と、それを行動に起こす実践力(実践)が必要になります。
今回紹介した理論で攻める 筋肥大トレーニング プログラムのエッセンスをご自身のトレーニングプログラムにふんだんに盛り込んでみて下さい。
最後に、 筋肥大トレーニング メニューの具体例を以下にまとめておくので参考にして下さい。
検討を祈っています。
筋肥大トレーニング メニューの具体例
今回紹介した 筋肥大トレーニング のメニューを実際に行う場合のスケジュールの一例を以下にまとめておきます。
なお、トレーニング経験を積み、トレーニングテクニック(やトレーニングフォーム)が向上してくると、より効率的に無駄なくターゲット部位にアプローチができるようになる。
すると、より少ないセット数でターゲット部位を効果的に鍛えることができるようになるため、その結果、より高強度なトレーニングが短時間で実行可能になるのである。
これにより、筋肉をむやみに疲労させることなく筋肥大に必要な刺激を短時間で得られるようになるのである。
少ないセット数で効果的に筋肉に有効な刺激を与えることを目標にしてトレーニングに励んでみよう。
トレーニングスケジュール
(月曜日)
大胸筋+上腕三頭筋
- ベンチプレス 3sets
- ナローベンチプレス 2sets
- ダンベルフライ 3sets
- ディップス 2sets
- EZバースカルクラッシャー 3sets
- トライセプスプッシュダウン 3sets
(火曜日)
背中パターンA+上腕二頭筋
- ペンドレイロウ 3sets
- ベントオーバーロウ 3sets
- ワンハンドダンベルロウ 2sets
- リバースグリップチンアップ 3sets
- インクラインダンベルカール 3sets
(+ハンマーカール) - ケーブルハンマーカール 3sets
(水曜日)
オフ
(木曜日)
脚パターンC+腹筋
- スクワット 3sets
- レッグプレス(マシン)3sets
- レッグエクステンション(マシン)3sets
- カーフレイズ 3sets
- ハンギングレッグレイズ 3sets
- V字クランチ 2sets
- ダンベルサイドベント 2sets
(金曜日)
肩+僧帽筋上部
- オーバーヘッドプレス 3sets
- ダンベルラテラルレイズ 3sets
- EZバーアップライトロウ 2sets
- バーベルシュラッグ 4sets
(土曜日)
オフ
(日曜日)
ハム+背中パターンB
- デッドリフト 3sets
- ルーマニアンデッドリフト 3sets
- レッグカールマシン 3sets
- プルアップ 3sets
- ラットプルダウン 2sets
- ストレートアームラットプルダウン 3sets
《参考文献》
[18] Rafael F Escamilla,et al (2002) An electromyographic analysis of sumo and conventional style deadlifts