今回紹介するポイントを押さえておけば、初めての大会(コンテスト)準備であっても、大会当日に向けて余裕を持って準備ができるようになるはずである。
なお、コンテスト準備期間中の摂取カロリー、PFCマクロ、サプリメント、カーボローディング等の具体的方法については以下の記事を参考にして下さい。
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減量期間の正しい設定方法
コンテスト準備期間中に最も起こしやすいミス、それは減量期間(日数)の設定ミスである。
一般に、大会に向けた減量期間は2~5ヵ月の範囲で設けられることが多いが、具体的にどのくらいの減量期間が必要になるかは個人差があるので、 まずは自分に必要となる減量期間を可能な限り正確に見積もる必要がある。
誤って減量期間を短く設定し過ぎると、大会直前の土壇場になって過度な減量を行う結果となり筋肉量を大きく減らしてしまうことになったり、あるいは減量が間に合わず目標としていた体脂肪率に到達できなないという結果に終わってしまう。
減量期間を設定するガイドライン(3手順)
例)体重86 kg(体脂肪14%)の人がコンテスト時に体脂肪率を7%まで下げるという目標を立てた場合、減量期間中に減らすべき体脂肪量は86×(0.14-0.07)=6 kgとなり、コンテスト時の目標体重は86-6=80 kgとなるが、この値からさらに約5 kg差し引いた値をコンテスト時の目標体重として設定する。
つまり、最終的な目標体重は80-5=75 kgとして設定するのである(11 kgの減量)。
これまでの研究報告[1,2]により、筋量・筋力を極力維持したまま減量を行う場合の減量のペースは週当たり体重の0.5~1%が推奨されている。
ボディビルダーの中には減量を上記ペースよりも速いペースで行う者もいるが、筋量・筋力を保持するという観点からは、十分に長い減量期間を設け、緩やかなペースで行う減量方法が推奨される。
例)週当たりの減量ペースを体重の1%と設定し、86kgから75 kgに減量(11 kg)する場合を考えてみよう。
この時、86 kgの1%は(86×0.01=)860 gとなるので、週あたりの減量ペースは860 gとなる。
このペースで11 kgの減量を行うには(11÷0.86=)12.8(≒13)週間必要となる。
つまり、減量期間は13週間(約3ヵ月)ということになる。
例)体重86 kg(体脂肪14%)の場合において、目標となる体脂肪率を7%に設定した場合の最終的な減量期間は、(13+2=)15週間(3ヵ月と3週間)となる。
減量は余裕を持って行う方が良い
上記でも説明したように、減量期間は余裕をもって設定し、過度な体重の減少は避けるべきである。
これまでに発表された複数の研究報告[3,4,5]により、減量のペースを緩やかに設定すればするほど、減量期間中の筋肉量の減少を抑えられることが分かっている。
つまり、週当たりの減量ペースを体重×1%に設定するよりも体重×0.5%に設定して減量を行った方が筋肉量の減少をより効果的に抑制することができるのである。
オフシーズン(増量期)の摂取カロリーは正しく設定する
ご存知の通り、コンテスト出場に向けて筋肉量を着実に増大させていくには、摂取カロリー>消費カロリーとなる増量期間を適切に設ける必要がある。
摂取カロリーが消費カロリーを下回る食事管理では筋肉量を増やしていくことは、特別な4ケースを除いて簡単には達成できない。
かといって、摂取カロリーが消費カロリーを大幅に上回るようなカロリー設定で増量を行うのも決して賢明ではない。
トレーニーの中には、余剰カロリー(=摂取カロリー-消費カロリー)を多く摂った方が筋肥大効率(筋肉の合成速度)が増大すると考える人もいるが、研究報告[6]によれば、余剰カロリーを少なく設定した場合(リーンバルク)と、過剰カロリーを約600 kcalに設定した場合(ダーティーバルク)とで筋肥大効率に違いは認められなかったという。
無論、ダーティーバルクを行った被験者らにおいて顕著な体脂肪量の増大が認められた。
つまり、増量期だからといってドカ食いして筋肉量の増大を目指す必要はなく、リーンバルクで体脂肪を極力増やさないようにして増量を行うことで、コンテストに向けた減量期間を短く設定することができるので、効率的に筋肥大を行うことができるようになる。
なお、リーンバルクの具体的方法については以下の記事を参考にして下さい。
ボディビル大会 に向けた正しい減量期間の設定方法のまとめ
今回はコンテストに向けた正しい減量期間の設定方法について詳しく紹介しました。
減量期間中に押さえておきたい他の重要ポイントについては関連記事を参考にして下さい。
参考文献
[1] Lambert CP,et al (2004) Macronutrient considerations for the sport of bodybuilding
[2] Garthe I,et al (2011) Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes
[3] Rossow, L.M., et al (2013) Natural bodybuilding competition preparation and recovery: a 12-month case study
[4] Kistler, B.M., et al., Case Study: Natural Bodybuilding Contest Preparation
[5] Robinson, S.L., et al (2015) A nutrition and conditioning intervention for natural bodybuilding contest preparation: case study
[6] Garthe.I, et al (2013) Effect of nutritional intervention on body composition and performance in elite athletes