筋トレで筋肉がつかない 原因を理論的に究明し、筋肥大を加速させよう

[記事公開日]2019/11/17
[最終更新日]2019/11/26

筋トレで筋肉がつかない

筋トレで筋肉がつかない 原因を理論的に究明して、筋肥大を確実に達成しよう!

筋トレで筋肉がつかない



《本記事で分かること》

  1. 筋肥大を誘発するための大原則
  2. 筋トレで筋肉がつかない2大原因
  3. 筋肉を増やすための2つの必須条件




筋肥大効率を最適化するには

筋肉の大きさ

(ワークアウトサイエンスのデスク)

 

これまで当サイト、ワークアウトサイエンスでは数多くの文献データを参照し、理論的アプローチにより無駄なく合理的な方法で筋肥大を効率的に達成していくのに必要となる知識やノウハウを紹介してしました。

例えば、筋肥大に最適なトレーニング頻度は週2~3回/部位といったトレーニング頻度に関する知識や、筋肥大に最適な週あたりのセット数は20セット程度/部位(トレーニング上級者の場合)といったトレーニングボリュームに関する知識をはじめ、筋肥大に最適なセット間のインターバルの取り方筋トレの動作スピードレップ数の範囲、さらにはオールアウトの適切な行い方といった、筋肥大トレーニングをより効率的なものに変えていくための様々な重要ポイントについても紹介してきました。

もちろん、これらのポイントは筋肥大効率を大きく左右する重要な要素であることには変わりはないのだが、筋肉を太く大きく発達させる上で絶対に無視することのできない最も重要な概念(原則)が、ズバリ、プログレッシブオーバロード(の原則)である。

一般に、プログレッシブオーバロードの原則を無視してトレーニングをやみくもに行っても、筋肉を効率的に増やすことはできない。

それほどオーバーロードの原則は、筋肥大において重要な原則なのである。

 

では一体、オーバロードの原則とはどのような原則なのだろうか?



筋トレにおいてオーバーロード が超重要な理由

有酸素運動と筋トレ

 

プログレッシブオーバロード(Progressive overload)とは、筋肉を大きく発達させ続けるには、筋肉への負荷(つまり、トレーニング強度、あるいはトレーニングボリューム)を段階的に増やしていかなければならないという筋肥大の大原則のことである。
筋トレの動作スピード

 

例えば、筋トレの実施により、バーベルなどのウエイトからの機械的なストレス(=メカニカルテンション)が筋線維(筋肉)に加わると、筋肉は筋線維を増大させ、さらに筋肉内の神経伝達効率を向上させることで、これらのストレスに適応しようとする。

備考

メカニカルテンションとは、筋肥大を誘発する3大メカニズムの中でもとくに重要なメカニズムで、ダンベルやバーベルなどのウエイトを使用して筋収縮を行う際に筋肉に加わる機械的な刺激(張力)のことをいう。

この機械的な張力が筋肥大を誘発するシグナルを生み出し、筋肉が肥大するのである。

 

このようなストレスに対する筋肉の適応(反応)により、筋肉は前回の筋トレ時よりも太くそして強く発達するのである。

そして、前回の筋トレよりも太く発達した筋肉をさらに大きく発達させるには、前回のトレーニングよりも少しだけ強度を上げてトレーニングを行う必要がある。

トレーニングボリューム

 

つまり、筋トレを行うたびに、筋肉を大きく発達させ続けるには、前回扱ったウエイトよりも少しだけ重いウエイトを使用するか、あるいは同じウエイトでレップ数を多くこなすことにより、トレーニングの強度を段階的に上げていく必要があるのである。

また、扱うウエイト重量やレップ数が実際に増加しなくても、トレーニングテクニックを向上させれば、ターゲット部位への刺激をより効率的に与えられるようになり、オーバーロードは達成できる(が、長期的な視点では、着実にウエイト重量が伸びていくことが必須)。

これらのプロセスを繰り返していくことで筋肉は次第に太く大きく成長していく。

別の言い方をすると、前回と同じ重量のウエイトを使用し続けたり、同じレップ数でトレーニングを行い続けている場合はオーバーロードが達成できていないため、筋肉を発達させることは極めて困難となる。
忙しい人のための筋トレ

 

このように、筋トレを行うたびに、一段ずつ階段を上るようにオーバーロードを着実に達成していくことが、我々が筋肥大を達成する唯一の手段[1]なのである。

したがって、オーバーロードの原則についてこれまであまり深く考えずにトレーニングを行ってきた場合は、筋肉を大きく発達させ続けるにはオーバーロードを達成し続けていかなければならないということを頭に入れておこう。



また、オーバーロードの概念をすでに知っており、トレーニングの度にオーバーロードを達成しよう(=前回よりもレップ数を増やそう!etc…)と試みているにもかかわらず、何らかの理由によりオーバーロードが達成できず、筋肉量を増やすのに苦労しているケースも実際のところ頻繁に見受けられる。

そこで本記事では、筋力トレーニングを継続的に実施しているにも関わらず、筋肉が思うように増やせない真の原因を究明するためのガイドラインを紹介します(参考文献[1~5])。

 

本記事をお読みいただければ、オーバーロードが達成できない原因を究明し、明日から早速トレーニングプログラムを最適なものに変更し、筋肥大を着実に達成できるようになるはずである。

それではさっそく原因究明に取り掛かろう!

《本記事で分かること(再掲)》

  1. 筋肥大を誘発するための大原則
  2. 筋トレで筋肉がつかない2大原因
  3. 筋肉を増やすための2つの必須条件

 

 

筋トレで筋肉がつかない 2大原因

筋トレで筋肉がつかない

 

一般に、筋トレで筋肉が増やせない原因は2つに大別することができる。

まず1つ目に考えられる原因は、筋肥大を誘発するための刺激が不十分であるという点である。

 

 

 

筋肥大を誘発するための刺激が足りていない

忙しい人のための筋トレ

 

冒頭でも紹介したように、筋肥大を誘発するには、筋肉にメカニカルテンションを与えてやる必要がある。

メカニカルテンションとは、ダンベルやバーベルなどのウエイトを使用して筋収縮を繰り返し行う際に筋肉に加わる機械的な刺激(張力)のことであった。

 

そして、これまでに発表された研究報告により、筋肉を肥大させるには、ある一定レベルを上回るメカニカルテンションを筋肉に与えなければならないことが明らかとなっている。

逆の言い方をすれば、ある一定レベルを上回らないメカニカルテンション(=弱い刺激)をいくら筋肉に与え続けても筋肉は大きく成長しないのだ。

そして、筋肥大を誘発するのに十分なメカニカルテンションを生み出すには、

  1. 高重量でトレーニングを行う
  2. 中重量のウエイトでオールアウトまで挙上を繰り返す

 

のいずれかの方法を選択すれば良いことがこれまでの研究報告により明らかとなっている [2][3]。



<ここからの話は超重要!>

筋トレで筋肉がつかない

 

例えば、高重量のウエイトを挙上しようとする際、そのウエイトをいくら爆発的に速く挙上させようとしても、ウエイトが非常に重いため、爆発的に挙上させることは難しく、結果的にウエイトは非常にゆっくりとしたスピードで持ち上がることになる(爆発的速度で挙上させようとしているにも関わらず…である)。

≪超重要ポイント≫

このような筋肉がウエイトからの強い負荷を受け、なおかつウエイトの挙上スピードが低下した状態こそが、非常に多くの筋線維(または運動単位)がその動作に関与し、なおかつ、それらが最大限の力を発揮した状態となるため、メカニカルテンションは飛躍的に増大する状況なのである。

 

グラフを使って、もう少しだけ理解を深めておこう!

筋トレで筋肉がつかない

 

上のグラフは、ウエイトの挙上スピード(横軸)と筋肉に加わるメカニカルテンション(縦軸)の関係を図示したものである[5]。

横軸は筋肉を収縮させる速度、すなわちウエイトを挙上させるスピードと言い換えることができる。横軸の右側に行くにつれ、ウエイトの挙上スピードが速くなることを示している。

そして縦軸における、青い曲線(Power)は筋出力(=筋肉がウエイトを持ち上げる総仕事)、そして赤い曲線(Force)は筋肉が受ける(あるいはウエイトに与える)力、すなわちメカニカルテンションである。

さあ、グラフをじっくり見てみよう。

例えば、ウエイトの挙上スピードが0の時(図中の①)、筋肉に加わるメカニカルテンションは最大になるが筋出力は0となるため、ウエイトは動かずアイソメトリック的な運動を表している。

この場合はウエイトは全く動いておらず、筋収縮は起こらない(=つまり筋肥大は起こらない)。

一方、筋肉を収縮させるスピードが最大(MAX)のとき(図中の②)、これは究極に軽いウエイトを使用して最速で筋肉を収縮させる状況に等しいので筋出力および筋肉に加わるメカニカルテンションはともに0となり、筋肥大の効果は無い(単に筋肉を曲げ伸ばししているに過ぎない)。

筋トレで筋肉がつかない

 

さあ、グラフに黄色で囲われた部分が追加されている。

この黄色で囲われた部分においてメカニカルテンションが飛躍的に増大していることが分かる(Force=メカニカルテンションが高い値を示している)。

つまり、ウエイトの挙上が次第に限界に近づき、ウエイトの挙上スピードが低下してもなお挙上を続けようとするオールアウトに達するまでの局面こそが、まさに黄色で囲われた部分(=筋収縮速度が低下している)に該当し、筋肉に加わるメカニカルテンションが顕著に増大する局面になるのである。

このような状況を実際のトレーニングで作り出すには、適切なフォームで高重量トレーニング(1 RMの85~90%負荷)を行うか、中重量トレーニング(1 RMの85%以下の負荷)でオールアウトするまで挙上を繰り返すかのどちらかを行えば良いのである。

 

(※ちなみに、詳しい説明は割愛するが、軽いウエイトを使用してわざとゆっくりと挙上反復を繰り返しても、筋肥大効果は得られないので注意すること←軽い負荷では大きな運動単位が動員されないため

 

備考

なお、高重量でトレーニングを行う際は、筋肥大を最適化する上で必ずしもオールアウトさせる必要はないという見解が現在のところ広く受け入れられている。

というのも、高重量でトレーニングを行えば、すでに大きな運動単位が動員され、ウエイトの動作スピードが十分に低下した状態を作り出すことができるため、オールアウトの数レップ手前で動作を終えても、筋肥大の誘発に必要となるメカニカルテンションが得らえることが分かっている。

 

また、2017年に発表された研究報告[4]によれば、トレーニングを行う多くの人たちが自分自身の能力を過小評価し、高強度にトレーニングを行えていないケースが非常に多いことが報告されている(詳しくはこちらの記事を参照)。

これらの事柄を踏まえると、筋トレを継続して実施しているにもかかわらず筋肉が思うように増えない場合は、上記状況を作り出せるようにトレーニングを行う必要があると考えられる。

まとめると

筋肥大を誘発する条件を満たせていない場合は、筋線維の増大等の適応(反応)が起こり得ないため、次回のトレーニングでオーバーロードを達成することは困難である。

したがって、オーバーロードが達成できていない場合は、上記条件を満たすようにトレーニングを行うことでオーバーロードが達成できるようになるはずである。

 

 

 

休養が不十分である

就寝前

 

前回のトレーニングで筋肥大の誘発に十分な刺激を筋肉に与えられているにも関わらず、オーバーロードが達成できないケースがある。

それが、トレーニング後の休養が不十分であるという点である。

メカニカルテンションはいわば筋肉にとって物理的ストレスであるため、筋力トレーニングを行えば当然のことながら筋肉(筋線維)は損傷し、疲労した状態となる。

このように筋肉が疲労すると、一時的に筋出力(ピークトルク)は低下し(上図)、トレーニング間の休養時間が十分でないと、筋出力が完全に回復しないまま次のトレーニングを行うことになる。

プロテインと筋トレ

 

特に、脚のトレーニングや高ボリュームのトレーニングを長時間継続して実行した場合などは、筋肉の損傷および疲労度が高くなるため、結果として筋肉が回復するまでにより長い時間が必要になる。

このように筋肉が完全に回復しないまま、疲労している状態で再びトレーニングを行うと、まだ疲労している筋線維は収縮を行うことができたいため、例えオールアウトさせたとしても大きな運動単位を動員することが難しくなる

その結果、前回のトレーニングを超える強度でトレーニングが実施できなくなるためオーバーロードが達成できず、筋肥大を誘発することができなくなってしまうのである。

 

 

トレーニングテクニックが未熟だと筋肉の回復が遅れる

筋トレで筋肉がつかない

 

例えば、トレーニングのテクニックが未熟であったり、不適切なフォームでトレーニングを行った場合、筋肥大を誘発するのに十分な刺激を得るためにより多くのセット数をこなさなければならなくなる。

例えば、正しいフォームで適切にトレーニングを行えば、2~3セットで筋肥大に十分な刺激が得られるところが、不適切なフォームや間違った方法でトレーニングを行えば、ターゲット部位に入る刺激が減少するため、筋肥大に十分な刺激を得るのに1つの種目を何セットもこなさなければならないというような状況に陥ってしまうのである。



筋肥大トレーニング

 

このような状況下では、筋肥大に有効となる刺激の量に対して筋肉の疲労度が高くなるため、高ボリュームのトレーニングを行った達成感は得られても、筋肥大の効果自体は非常に薄いばかりか、疲労した筋肉が回復するのに通常よりも長い時間が必要になるというデメリットが生じてしまう(←正しいフォームでトレーニングを行うことが大切な理由のひとつ)。

この場合も同様に、筋肉が疲労している状況下で再びトレーニングを行うことになるため、まだ疲労している筋線維は収縮を行うことができず、その結果、たとえ高強度にトレーニングを行おうとしても、効率的に多くの筋線維を動員することができないため、筋肥大を誘発するのに必要な刺激が与えられず、オーバーロードが達成できなくなってしまうのである。
筋肉痛

 

それどころか、疲労が蓄積することでトレーニング中にケガをしてしまったり、オーバートレーニングに陥ってしまったりする可能性が高くなってしまう。

このような状況に陥らないようにするためには、適切なフォームでトレーニングを実施するとともに、同一部位をトレーニングする場合は少なくとも48時間は空けるようにすることが重要となる。

まとめると
同一部位をトレーニングする場合は少なくとも48時間は空け、筋肉が完全に(あるいは、ほぼ)回復した状態で次のトレーニングを行うようにする。

 

 

 

筋トレで筋肉がつかない 原因究明のまとめ

筋トレで筋肉がつかない

 

今回は、筋力トレーニングを日々懸命に行っているにもかかわらず、筋肉が思うように増えないことで悩んでいる人たちを救済すべく本記事を執筆しました。

トレーニングにより筋肉量を着実に増やしていくには、上記のポイントを押さえた上で使用重量あるいはレップ数を段階的かつ計画的に増大させていく継続的な取り組み(プログラム)が必要不可欠となる。

本記事で紹介した重要ポイントを改めて以下にまとめておくので参考にして下さい。

本記事のポイント

  1. 筋肥大を誘発するにはオーバーロードが必須
  2. 筋肥大に十分な刺激を得るには
    1.高重量でトレーニングを行う
    2.中重量のウエイトでオールアウトまで挙上を繰り返す
  3. 同一部位は48時間以上間隔を空けて鍛える
  4. 正しいフォームでトレーニングを行う



参考文献

[1] Thomas R. Baechle,et al (2008) Essentials of Strength Training and Conditioning
[2]Hatzel, B., Glass, S. C., Johnson, S., & Sjoquist, H. (2013). Effects of Lift Velocity on Muscle Activation During Leg Extension
[3]Sakamoto, A., & Sinclair, P. J. (2012). Muscle activations under varying lifting speeds and intensities during bench press
[4]Barbosa-Netto S,et al (2017) Self-Selected Resistance Exercise Load: Implications for Research and Prescription
[5] Thomas J. Roberts (2016) Contribution of elastic tissues to the mechanics and energetics of muscle function during movement