今回は、ボディビル界で知らぬ者はいない アーノルドシュワルツェネッガー氏から筋トレの極意を学ぼうという趣旨のもと、アーノルドシュワルツェネッガー氏のトレーニングに対する姿勢やマインドセットを知り、そのエッセンスを明日からのトレーニングに積極的に取り入れようというのが本記事の狙いである。
アーノルドシュワルツェネッガー氏がインタビュー[1]内で熱く語った、各部位におけるトレーニングテクニック、食事管理、サプリメント、そしてワークアウトに対する取り組み方をじっくりと解説する。
シュワルツェネッガー氏が放つ重みのある一言一言を感じていただければと思う。
コンテンツ
アーノルドが考える各部位のトレーニングについて
大胸筋について
アーノルド氏はインタビューにおいて大胸筋を発達させる最重要種目として以下の種目を挙げている。
- ベンチプレス
- インクラインダンベルプレス(異なるベンチの角度)
- ダンベルフライ
ダンベルフライは、大胸筋全体の発達に貢献する種目であり、ダンベルが床に届くくらい強烈に大胸筋をストレッチさせることが重要である。また、トップポジションではダンベル同士がぶつかるまで挙上させ、両方のダンベルが接触した状態で、互いのダンベルを強く押し付けるようにして大胸筋を最大限収縮させる。
これこそが、どんな優れたマシンにも再現できない究極のトレーニングテクニックである。これにより、強烈なテンションを大胸筋に与えることができる。
広背筋
アーノルド氏が考える広背筋の必須種目
- ベントオーバーローイング
- Tバーローイング
- ケーブルローイング
ベントオーバーローイング、Tバーローイングなどのあらゆるローイング系エクササイズは広背筋に厚みをもたらすのに必須のトレーニングであり、広背筋トレーニングのすべてといっても過言ではないほど重要である。
広背筋上部に比べ、広背筋下部の発達が遅れているトレーニーが多く見受けられる。
広背筋下部を発達させるには、スティフレッグデッドリフト、デッドリフト、ベントオーバーローイングを行う必要がある。
さらに、これらの高重量コンパウンド種目を行う際は、胸をベンチに押し付けて身体を支えて行うのではなく、身体を完全にフリーの状態にした上でウエイトの全負荷がターゲット部位(広背筋下部)にかかるようにすることで、広背筋下部を強化し、背中全体の厚みを増すことができる。
上腕二頭筋
アーノルド氏が考える上腕二頭筋の必須種目
- バーベルカール
- インクラインダンベルカール
- コンセントレーションカール
上腕二頭筋はバーベルカールのような高負荷を扱えるトレーニングから始めることが多い。それも、1レップしか挙上できない高重量(バーベルカール:125 kg)のバーを使用し、1レップで限界に達したらすぐさまウエイト重量をいくらか落として2レップ目を行う。ウエイトをさらに落として3レップ目を行う。
セットの終始、バーを床に置くようなことは決してしない。これによりTUTを長く取ることができ、筋肉の成長を促すことができる。
➡<参考>筋肉の緊張持続時間(TUT)を長くとると筋肥大は加速する
これは数あるテクニックの1つに過ぎないが、重要なのは、上腕二頭筋がトレーニングによる刺激に慣れてしまわないように、絶えず刺激の入れ方を変える工夫を行う癖を付け、脳が全く予測できないような刺激を毎度取り入れることが筋肉の発達には必要不可欠である。
バーベルカール、インクラインダンベルカール、コンセントレーションカールの3種目は上腕二頭筋の厚みを付けるのに絶対的に必須な種目である。
特にアイソレーション種目であるコンセントレーションカールにおいては、低重量ではなく高重量のダンベルを用いてしっかりとアイソレートさせてやることで、立派な外側頭のピークを作り上げることができる。
上腕三頭筋
アーノルド氏が考える上腕三頭筋の必須種目
- クロースグリップベンチプレス
- ケーブルトライセプスエクステンション
- オーバーヘッドトライセプスエクステンション
- ライイングトライセプスエクステンション
三角筋
アーノルド氏が考える三角筋の必須種目
- ダンベルショルダープレス
- バーベルショルダープレス(フロント&ビハインドネック)
- ミリタリープレス
- アーノルドプレス
- ラテラルレイズ
- ベントオーバーラテラルレイズ
ベントオーバーラテラルレイズは、ベンチ角度を45度に設定し、手首を外側に捻る(小指が上側に来る)ようにして動作を行うことで三角筋後部にダイレクトに刺激が加わる素晴らしい種目である。
多くの場合、週に1回ダンベルショルダープレスを行う際、50 kgのダンベルで6レップス(限界回数)に達したら、すぐさま45 kgのダンベルに持ち替えて6レップス行う。これを50 kg→45 kg→40 kg→・・・→20 kgというようにウエイト重量を段階的に下げていき、三角筋が完全に追い込まれるまで動作を続ける。
脚
アーノルド氏が考える脚の必須種目
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- リアスクワット
- フロントスクワット
- レッグエクステンション
- ランジ
- スティフレッグデッドリフト
- レッグガール
スクワットは脚のサイズアップのために絶対に外せない種目である。
刺激が単調にならないよう、いつもスクワットから脚のトレーニングを始めるのなら、ある日はレッグプレスから始めるといったように、トレーニング種目の順序を入れ替えるだけでも刺激を大きく変えることができる。
腹筋
アーノルド氏が日常的に行っていた腹筋種目
- レッグレイズ(ストレートレッグ)
- レッグレイズ(ベントニー)
- シットアップ(ローマンチェア)
- クランチ
➡<参考>【理論で攻める】腹筋の筋肥大トレーニング種目とメニュー
トレーニング・食事管理に対するマインドセット
妥協は一切許さない
毎セットオールアウトするつもりで全力を尽くすことが重要である。
例えば、トータルで5セット行うからといって、次のセットの為に体力を温存するようなことはすべきでない。5セット行うのならその5セット全てのセットで全力を出し切るようにアプローチすることが重要なのである。
最も重要なポイントとして挙げられるのが、適切な食事管理を行うことである。
とりわけ重要なのが、身体が必要とする十分量のタンパク質を確保することである。アーノルドシュワルツェネッガー氏の場合、1ポンド当たり1 gのタンパク質(つまり、体重1 kg当たり2.2 gのタンパク質)を確保していた。
タンパク質を効率よく筋肉に取り込ませる方法
アーノルドシュワルツェネッガー氏によれば、1日の食事を5回に分割して栄養を補給したときが最も効果的な栄養摂取方法であったという。その理由は、一度に大量の食事を摂るのが苦手だったからである。
朝食について言えば、スクランブルエッグ(全卵3つ)とスライスしたトマトと玉ねぎがあればそれで十分なくらいだ。それくらい大食いが苦手なのだ。
無論、朝食後2時間も経てば腹が減る。そんな時は、プロテインシェイクでタンパク質(約30 g)を補給し、その1時間後ジムへ直行し、トレーニングを2時間半ほど行い、その後遅めの昼食を摂っていた。その昼食の2時間後、2回目のプロテインシェイクを摂っていた。
つまり、1日に2回プロテインシェイクを摂っていた。というのも、1日に必要なタンパク質量を確保することが筋肥大を適切に促すために “絶対的に”必要であるからである。
サプリメントを有効に活用すべし
頭に入れておくべきことは、身体が必要とするビタミン・ミネラル類、そしてタンパク質といった栄養素を通常の食事だけで全て補いきるのが困難な場合は、積極的にサプリメントを利用して必要量を補うことが、筋肥大の観点からは最良の選択であるといえる。
➡<参考>筋肥大を増大させる科学的裏付けの取れた厳選サプリメント3種
トレーニングに対するアプローチ方法
トレーニングを継続し、ある一定量の筋肉量を手に入れた後は、各筋肉部位における弱点を補強するトレーニングに焦点を当てると良い。
そのためには徹底した食事管理と並行しながら、よりバラエティーに富んだトレーニング種目を導入し、以前よりも高レップかつ高ボリュームのトレーニングセットメニューを組み、弱点の補強を徹底的に行う。つまり、日々オーバーロードを達成することが筋肥大には何よりも大切である。
特にボディビルの試合前は、毎日身体を鏡に映し出し弱点を露呈させることで、よりハードにトレーニングしなければならないというモチベーションを高めることができる最高にエキサイティングな瞬間である。
総じて、筋肥大を実現するにはトレーニングおよび栄養摂取の全てが重要である。これらを日々継続的に行うことがトレーニングの成果を実感する最短の方法であり、バーを少しでも高く、そしてより高重量のウエイトを持ち上げたいというさらなるモチベーションを与えてくれるのがトレーニングの素晴らしい点である。
アーノルドシュワルツェネッガー 氏のマインドセットのまとめ
今回は、ボディビルの世界一を決める大会ミスターオリンピアで7度の優勝に輝いたアーノルドシュワルツェネッガー氏のトレーニングに対するマインドセットを紹介しました。
実績者が語る一言一言には重みがあり、それらの知るだけでもトレーニングに対するモチベーションが湧いてくるのではないだろうか。
アーノルドシュワルツェネッガー氏のエッセンスを大いに吸収して今日からのトレーニングにすぐに活かしてみよう。
参考文献
[1] 2017 bodybuilding.com