筋肉を大きく発達させたい場合、アナボリック状態を出来るだけ長く維持することが何よりも大切である。
特にボディビルダーの場合、アナボリック状態を常に維持するために2~3時間おきに何らかの栄養補給を行うのもなんら珍しいことではない。
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アナボリック状態を常に維持するにはどうすれば良いのか?
筋肥大のポテンシャルを最大限に高めようと考えた時、真っ先に頭に浮かぶのが、アナボリック状態を維持するために小まめに複数回にわたって食事を摂るという考えだ。
たんぱく質を豊富に含む食事を複数回摂る事によって血中アミノ酸濃度を常に高い状態に維持することで絶えず筋肉に栄養素を送り届けるのが食事を複数回に分けて摂ることの目的である。
しかし最近では、1日に14~16時間程度の断食時間を設けるインターミッテント・ファスティング(間欠的断食)を行いながらにして顕著な筋肉量の増大を(筋肥大)を同時に達成するケースも多く報告されており、1日に何回もの食事を摂取することが、果たして筋肥大のための最良なアプローチと言えるのか疑問視されることも多くなりつつある。
疑問1.筋肥大を最大限に引き出すには 食事回数 は多ければ多いほど良いのか
アナボリック状態を維持するために食事をあまりに高頻度で摂りすぎる行為は、筋肥大の観点からは最良の選択とは到底言えないという。
つまり、筋タンパク質合成を加速させるには、食事と食事の間隔をある程度空け、血中アミノ酸濃度に変化を与えてやることで、食事の度に筋タンパク質合成を加速させられるのである。
実際のところ、複数の研究報告が上記内容をサポートしていることを考えると、食事回数を闇雲に増やすよりかは、食事間隔をある程度確保して、血中アミノ酸濃度に抑揚をつけ、食事毎に筋タンパク質合成を加速させる戦略をとる方が、筋肥大には効果が高いと考えることができる。
疑問2.上記を考慮した上で具体的に食事をどう摂ればよいか
生活リズム、食事内容、その他、体質等により、食事の間隔をどの程度確保すればよいのか具体的な数値を一概に決定するのは難しい。
しかし、通常、(バランスの取れた)適度なボリュームの食事を摂取した場合、食後5~6時間程度はアナボリック状態が維持されるため、食事と食事の間隔を最低3~4時間程度は空けてやることで、問題なくアナボリック状態を維持しつつも、食事を摂るたびに筋タンパク質合成を加速させることができる。
さらに、食事を高頻度で摂りすぎることにはデメリットがある。
食事を高頻度で摂る過ぎることのデメリット
食事を摂り過ぎは、肝臓内でのタンパク質の酸化を高め、肝機能を低下させるだけでなく、筋肥大にも悪影響を及ぼすため避けた方が賢明である。
食事の間隔が大きく空いてしまう場合
仕事やその他の理由により所定の食事回数を確保できない場合は上記理由により、タンパク質、炭水化物、脂質をバランスよく含んだ食事を摂取しておくことにより、アナボリック状態を5~6時間程度は維持できるためカタボリックに陥る心配を過度にする必要は無い。
上記の事柄をまとめると次のようになる。
筋肥大 を最適化する食事の摂り方
- 食事間隔は3~4時間空ける
- 1日の食事回数は6回で十分
- 高頻度の食事は肝臓に負担をかける
- バランスの良い食事で血中アミノ酸濃度を長時間高く維持
参考までに筋肥大のポテンシャルを最大限に高める食事パターンの一例を紹介しよう。
筋肥大 を最適化する食事例
朝食 8:00 牛乳+オートミール+プロテインパウダー+果物
昼食 12:00 とり胸肉+野菜+白米
間食1 16:30 バナナ+プロテインパウダー
(トレ前) 17:30 カーボパウダー+少量のプロテインパウダー
筋トレ後 20:00 カーボパウダー+プロテインパウダー
夕食 22:00 牛肉+野菜+白米
就寝前 12:30 牛乳+プロテインパウダー
食事回数は増やせば増やすほど良いというのもではなく、食事と食事の間隔を十分に確保することで、筋タンパク質合成を加速させ、かつ肝機能を保護しながら筋肥大を促進させることができる。
明日からの食事戦略を練り直すきっかけになれば幸いである。
参考文献
[1] Lyle Mcdonald (2009) Meal Frequency and Mass Gains