筋肥大にベストな結果をもたらす レップ速度 とは

[記事公開日]2018/03/15
[最終更新日]2018/07/08

筋肥大の成果に大きな影響を与える要素には、ウエイト重量レップ数セット数TUT(緊張持続時間)などが挙げられるが、もうひとつ忘れていけないのがレップ速度である。



 

 

そもそもレップ速度とは

 

レップ速度とは、ウエイトを持ち上げるときの速さ、そしてウエイトを下げるときの速さのことである。

実はこのレップ速度の取り方が筋肥大の成果の大きな影響を与えることが複数の研究により明らかとなっているのだ。

そこで今回は筋肥大に最も効果のあるレップ速度の真相に迫ってみることにしよう。

 

 

筋肥大には爆発的挙上が基本

レップ速度

 

一般に、ウエイトを挙上させる際、可能な限り早く挙上させること(つまり爆発的挙上)でより多くのモータユニット(筋線維)を動員できるようになり、結果として筋肉への刺激が強くなることが多くの研究報告により示されている。

 

事実、1999年に発表された研究報告[1]では、ベンチプレスをゆっくりと行った場合(挙上5秒、下げ5秒)、ベンチプレスを速く行った場合に比べて大胸筋の活性化レベルが最大で36%も減少したと報告されている。

このように、あまりにゆっくりとした速度でウエイトの挙上を行うと、動員される筋線維数が減少し、筋肥大が鈍化すると考えられるのである。

これらの事柄をまとめると以下のようになる。

速い速度で爆発的にウエイトを挙上することにより、より多くの速筋線維を動員することができ、効率的に筋肉(筋線維)を肥大させることができる。

➡よって筋肉を大きく発達させたい場合は爆発的挙上(挙上に1~2秒)でウエイトを挙上させると良い。

 

ではウエイトを下げるときはどのくらいの速度で下げれば良いのか。

 

ウエイトの下げ動作はゆっくりと行う

 

ウエイトを下げる動作はネガティブ動作とも呼ばれている。

例えば、バーベルカール(あるいはダンベルカール)でトップポジションからボトムポジションにバーベルを戻す際、筋肉が引き伸ばされながらブレーキをかけるように力を発揮する状態のことをネガティブ動作と呼ぶ。

このネガティブ動作時は、ウエイト挙上時と比較して、動員される筋線維の数が減少するため筋線維1本あたりに加わる刺激が強くなる。

筋肉への刺激が強くなるということは、筋肉が損傷しやすい状態にあることを意味するため、このネガティブ動作をゆっくりと時間をかけて行うことでマスキュラーダメージ(muscular damage)を誘発させ、効率的に筋肥大を行うことができるのだ。

 

マスキュラーダメージについては以下の記事を参考にして頂きたい。

<参考>筋肥大を引き起こす3つのメカニズムとは


1レップあたり何秒かけるのが筋肥大には効果的か

ウエイトは爆発的に挙上させ、ネガティブ動作はゆっくりと行うことが筋肥大に効果的なウエイトの上げ下げペースであることが分かった。

それでは、1レップあたり一体何秒かけるのが筋肥大に最も効果的なのか。

その答えを導き出すため、これまでに発表された“レップ速度に関する複数の研究報告”をまとめた調査報告[2]を参考にしよう。

この調査報告によると、筋肥大に最も効果のあるレップ速度は次のように述べられている。

 

 

筋肥大に最も効果のある レップ速度

レップ速度

1レップあたり

2秒(挙げ1秒、下げ1秒)~6秒(挙げ2秒、下げ4秒)かけて動作を行う。

 

つまり、1レップあたり2秒~6秒の範囲で行えば、筋肥大を効率的に誘発できると述べられている。

 

ポイント

ここでのポイントは挙上速度はできるだけ速く、そしてネガティブ動作は重力に逆らいながらゆっくりと行うことである。

例えば1レップあたり4秒かけるとすれば、挙上に1秒、下げに3秒かけるという風に時間配分を行うと良い。

 

また、ネガティブ動作時をゆっくりとコントロールしながら行うことで、ターゲットとなる筋肉部位に意識が集中し、結果としてそのターゲット部位をより強く収縮させ、より強い筋出力が可能になることが研究により明らかとなっている。

マインドマッスルコネクション

<参考>マインドマッスルコネクションで筋肉と意識を連結させる

 

 

筋肥大に最適な レップ速度 のまとめ

 

これまでに紹介したレップ数に関する重要ポイントを分かりやすくまとめると以下のようになる。

  • 体の反動を使わずにウエイトの挙上を爆発的に行う(1~2秒)
  • 重力に逆らうようにネガティブ動作をゆっくりと行う(2~3秒)
  • マインドマッスルコネクションを意識する
  • 1セットあたり最低でも30秒程度かけて行うようにする(TUT)

 

ウエイトを挙上させる際は出来るだけ反動を使わないように心がける。

また、ウエイトを下げる際はマインドマッスルコネクションをしっかりと意識し、筋肉に強いテンションがかかっていることを確認しながらゆっくりと動作を行うようにする。

 

例えば、ウエイト挙上に1秒、ネガティブ動作に3秒かけ、10レップス行うとしよう。

すると、1セットあたり(1+3)×10=40秒かかることになる。

この40秒という1セットにかかる時間もまた筋肥大を誘発する要素となる。

 

上記例のように、1セットあたり40秒間という比較的長い時間をかけてトレーニングを行うことで、筋肉の緊張状態を長時間持続することができる。

この筋肉の緊張持続時間はTUT(Time under Tension)と呼ばれ、この時間を長く取ることでトレーニング強度が爆発的に高まり筋肥大を誘発することができるのである。

詳しくは筋肉の緊張持続時間(TUT)を長く取ると筋肥大はさらに加速するをご覧いただきたい。

このように上記のポイントを意識してレップ速度に気を付ければ、筋肉はさらに敏感に応答し、短期間で筋肉のサイズアップが実現できるはずである。



参考文献

[1] KEOGH JUSTIN W.L,et al (1999) A Cross-Sectional Comparison of Different Resistance Training Techniques in the Bench Press

[2] Schoenfeld BJ, et al (2015) Effect of repetition duration during resistance training on muscle hypertrophy: a systematic review and meta-analysis.