本記事では厚みと幅の両方を兼ねそろえた凹凸のある逆三角形の背中を手に入れるために取り入れるべきトレーニング種目を科学的根拠に基づいて背中の部位別に紹介します。
その前にまずは背中の構造を大まかに確認しておこう。背中の構造を大まかに理解しておくだけでトレーニングの効率は爆発的に向上するので、要チェックです。
コンテンツ
背中を構成する筋肉群について
背中は主として広背筋、僧帽筋、そして脊柱起立筋の3つの大きな筋肉群から構成されている。
凹凸とした立体感のある逆三角形の広い背中を手に入れるには広背筋、僧帽筋、脊柱起立筋の3つの主要筋肉群のそれぞれにターゲットを絞ったトレーニング種目を選択してメニューを組むことが必須となる。
今回は広背筋と僧帽筋に的を絞って徹底的に解説します。
1.広背筋
広背筋は背中に幅を持たせる上半身最大の筋肉群であり、通常は広背筋上部・広背筋下部に分けてトレーニングを行うことが多い。
広背筋への効かせ方
※赤い部分が広背筋
広背筋は主として、目の前にあるものを手前に引き寄せるような動作に関与し、ラットプルダウンのように上からものを引き寄せるような動作を行う際に特に強く収縮される。
上図を見ると一目瞭然だが、広背筋は上腕の付け根あたりから腰にかけて広がっているので、この2点(上図の緑色)を最大限に伸ばして最大限に収縮させるイメージをしながら動作を行うことが広背筋に正しく効かせるポイントとなる。
広背筋のベスト種目ランキング
2000年に発表された有名な研究報告[1]では、平均年齢22歳、平均体脂肪13%の男性(10名)を被験者とし、広背筋をターゲットとした複数のエクササイズを行わせ、どの種目が広背筋を最も強く活性化できるのかを調査した。
その結果をまとめると以下のようになる。
広背筋に効果的な種目ランキング
- 胸骨へのラットプルダウン:逆手のナローグリップで背中を傾ける
- ラットプルダウン・ビハインドネック:順手の肩幅グリップで背中はまっすぐ
- ベントオーバーダンベルローイング:逆手グリップ
- 胸骨へのラットプルダウン:順手の肩幅グリップで背中を傾ける
- ベントオーバーダンベルローイング:ニュートラルグリップで行う
- 胸骨へのラットプルダウン:順手の肩幅グリップで背中はまっすぐ
- シーテッド・ケーブルローイング:V字バーで、腕を体幹に近づけて行う
このデータから読み取れるのは、広背筋を効率的にアプローチするのに必要な種目はラットプルダウンとベントオーバーローイングであるということである。
ベントオーバーローイングを広背筋に効かせるように行うには腰の角度を30~45°程度に固定し、バーベルを腰の方に引き寄せるようにして行うとよい。
また腰を深く倒した状態(45°以上)でバーベルをみぞおち付近に引き寄せるようにして動作を行うと中部僧帽筋(後述)に刺激が加わるようになる。
➡したがって広背筋トレーニングのバリエーションに迷った場合は上記7種目を一定期間ごとにローテーションしながらメニューを組むとよい。
2.僧帽筋
※赤い部分が僧帽筋
僧帽筋は主に肩甲骨の動作貢献する筋肉である。
また、首から肩にかけての背中の輪郭および厚みを決定づける筋肉群であり、僧帽筋が発達すると背中全体に厚み(凹凸)が出るようになる。
上図からもわかるように僧帽筋は非常に大きい筋肉群なので、僧帽筋全体を効率的に発達させるには僧帽筋を大きく3つに分割(上部僧帽筋、中部僧帽筋、下部僧帽筋)してそれぞれの部位に対して適切なアプローチをとることが重要となる。
それでは僧帽筋の上部、中部、下部のそれぞれを最も強く刺激することのできる種目を紹介しよう。
上部僧帽筋
上部僧帽筋は主として肩甲骨を引き上げる動作に関与する。首をすくめる動作と言った方がイメージしやすい。
上部僧帽筋に効果的な種目ランキング
- ダンベルシュラッグ
- ナローグリップ・バーベルフロントレイズ
- デッドリフト
コメント:
僧帽筋上部を最も効率的に鍛える種目として挙げられているのがダンベルシュラッグである。
しかし、バーベルシュラッグが調査項目に含まれてなかった。私の経験からすると、バーベルシュラッグはダンベルシュラッグよりも高重量のウエイトを扱うことができるので僧帽筋上部に大きな刺激を送り込みたい場合は、バーベルシュラッグ(バーベルもしくはスミスマシン)を行うと良い。
なおバーベルシュラッグを行う場合はリストストラップを使用することで握力を補助することができ高重量のウエイトを難なく挙上できるようになる。
中部・下部僧帽筋
中部僧帽筋は主として肩甲骨の内転作用の役割を持つ。肩甲骨の内転とは胸を大きく張り、肩甲骨を互いに近づける動作をイメージすると分かりやすい。オードリーの春日のスーパーカスカスダンス(YouTubeへリンク)が肩甲骨の内転作用そのものであり、中部・下部僧帽筋に刺激が入る。
上図の緑色2点を最大限に伸ばして最大限に収縮させるイメージを持って動作を行うと上部僧帽筋と下部僧帽筋を効かせることができる。
中部僧帽筋に効果的な種目ランキング
- (マシン)リバースフライ
- ダンベルリバースフライ
- ベントオーバーローイング(腰を90に曲げて行う)
コメント:
僧帽筋中部を最も効率的に鍛えるにはマシン種目のリバースフライを行うと良い。
リバースフライは通常、リアデルトの種目として取り入れられることが多いが、リアデルトのトレーニング時に比べてシートの高さを上げ、大胸筋を大きくストレッチさせながら両方の肩甲骨を互いに引き寄せるように(つまり肩甲骨の内転)行えば中部僧帽筋に強い刺激が加わるようになる。
下部僧帽筋を狙う場合はリバースフライを行う際に、上腕と胴体がなす角度が120°となるように肘を下げて動作を行うと下部僧帽筋に強い刺激が入る。
広背筋を最も合理的に鍛えるトレーニング種目まとめ
以上を総括すると、背中を最も合理的に鍛えるメニューは以下のように組むことができる。
広背筋を鍛えるオススメ種目
- ラットプルダウン
- ベントオーバーローイング
- プルアップ(ラットプルのバリエーションとして)
ラットプルダウンは、研究により広背筋への刺激が最も強いと判明した胸骨へのラットプルダウン:逆手のナローグリップで背中を傾ける、あるいは胸骨へのラットプルダウン:順手の肩幅グリップで背中を傾けるを優先的に取り入れるとよい(※写真よりもグリップ幅は狭く持つ)。
ラットプルのバリエーション種目としてはプルアップ(懸垂)をお勧めする。プルアップは胴体を持ち上げるときの軌道が決まっておらず身体を安定させるために大円筋や小円筋といった小さな筋群が積極的に動員されるため、より凹凸のある立体的な広背筋を作ることができる。
よって広背筋メニューにラットプルダウンを取り入れない場合はプルアップを加えるようにしよう。
僧帽筋を鍛えるオススメ種目
- バーベルシュラッグ(上部僧帽筋)
- リバースフライ(中部・下部僧帽筋)
バーベルシュラッグは高重量のウエイトを使用し、最大限に上部僧帽筋を収縮させるようにする。
まだまだ書きたいことが多くあるのでその都度このページを更新していきます。
参考文献