筋トレで強くなりたい、筋肉を極限まで大きく成長させたい、トレーニーであれば誰もがそう思うはず。
そして、そんなトレーニーの究極の目標を叶える上で押さえておきたいのがMRV(マキシマム・リカラバブル・ボリューム)の存在である。
このMRVを把握して筋トレのセット数を決めれば、筋トレで確実に筋肉を増やしていくことができるようになる。
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筋トレのセット数 における良くある誤解
筋トレで筋肉量をとにかく増やすには、高重量のウエイトを使用して、とにかくセット数を重ねて、もう立ち上がれなくなるまで自分を究極に追い込まなければならない、とにかくプッシュ、プッシュ、プッシュが大事大切!などと考えてはいないだろうか。
MRV(マキシマム・リカラバブル・ボリューム)とは
テンプル大学の教授でありながらボディビルダーでもあるマイク教授によれば、筋肥大の成果を最大化するにはMRVをしっかりと把握した上で筋トレのセット数を正しく決めることが極めて重要であると述べている[1]。
もし、MRVを超えるトレーニングボリュームでトレーニングを行った場合、トレーニングにより損傷した筋肉が完全に回復できず、慢性的な疲労を抱えることになり、筋肥大はおろかトレーニングパフォーマンスの低下を招き、結果的に筋力・筋量の減少が生じるオーバートレーニングの状態に陥ってしまう。
まずは以下のグラフを見ていただきたい。
このグラフは、週あたりのセット数と筋肉増加量の関係を示したグラフである。
このグラフからは、週あたりのセット数が増えるにつれて筋肉増加量(曲線)も次第に増加するが、セット数が10~15セットを超えたあたりから筋肉増加量は伸び悩み始め、週あたりのセット数が20+セット(多少の個人差あり)を超えたあたりでそれ以上の筋肉量の増加は見込めなくなることが読み取れる。
これらの理由から、筋肥大を効果的に狙うにはMRV(具体的な数値は後述)を超えないトレーニングボリューム(セット数)でトレーニングを行うことが重要となるのである。
このMRVを超えるトレーニングボリュームで筋トレを行い続けると、慢性的な疲労感や眠気とった症状が現れる確率が非常に高くなる。
そして一般的な筋肥大トレーニングを行う場合のMRVの目安値は以下のようになる。
一般的な筋肥大トレーニング(8~12 RM)を行う場合のMRVの目安値
各部位につき20~25セット/週
例1)大胸筋を週に2回鍛える場合
4種目×3セット×2セッション=24セット/週
例2)大胸筋を週に1回鍛える場合
5種目×4セット×1セッション=20セット/週
※これらのセット数には各種目の最初に行うウォーミングアップのセット数は含まれていないので、必要に応じてウォーミングアップセットを追加すること。
筋肥大に最適なトレーニングプラン
筋肥大に最適なトレーニングプランとは、極限まで自分を追い込むようなトレーニングプランのことではなく、筋肥大に必要となるトレーニングボリュームを確保するように決めたトレーニングプランのことである。
では筋肥大を誘発するのに必要最小限となるトレーニングボリューム(セット数)はどのくらい必要なのだろうか。
MEV(ミニマム・イフェクティブ・ボリューム)とは
筋トレで筋肥大を誘発するのに最低限必要となるトレーニングボリュームのことをMEVと呼んでいる。
つまり、筋肉を増やすにはMEVを超えるトレーニングボリュームを確保する必要があるのである。
このMEVを下回るトレーニングボリュームでは、筋肉を増やすことは事実上できない。
そして一般的な筋肥大トレーニングを行う場合のMEVの目安値は以下のようになる。
一般的な筋肥大トレーニング(8~12 RM)を行う場合のMEVの目安値
各部位につき8~12 セット/週
オーバーロードの原則
筋肉量を着実に増やしていく上で決して無視することのできないもうひとつの要素がオーバーロードの原則である。
つまり、筋トレの度に自分を限界まで追い込むようなセット数の組み方をしてしまうと、トレーニングの度に似たり寄ったりのセット数をこなすことになり、トレーニングボリューム(セット数)を効果的に増大させていくことが出来ない。
よって、オーバーロードの原則に基づいてトレーニングを行うことが非常に難しくなるのである。
それだけでなく、自分自身の限界(MRV)に近いトレーニングボリュームで筋トレを行い続けると、疲労が蓄積しやすくなり、オーバートレーニングの状態に陥りやすくなるという欠点もある。
これらのポイントを全て加味すると、筋トレに最適なセット数を次のように導き出すことができる。
筋肥大に最適なセット数
筋肥大を着実に引き出していく上で考慮すべきポイントは以下の3点となる。
- 筋肥大に最低限必要となるトレーニングボリューム(MEV)を確保する
- MRVを超えないようにセット数を決定する
- オーバーロードの原則を確実に達成する
これら3つのポイントはトレーニングパフォーマンスを低下させることなく効率的に筋肥大を達成していく上で考慮すべき非常に大切なポイントとなる。
そして、これら3点の全ポイントを考慮した上でトレーニングプランおよびセット数を決定すると次のようになる。
- 7週間をトレーニングの1サイクルとする
- 第1週目はトレーニングボリュームがMEVとなるようにセット数(10セット/週)を設定する
- 週を追うごとにセット数を増やしていきオーバーロードを達成する
- 第6週目にトレーニングボリュームがMRVとなるようにセット数(25セット/週)を設定する
- 最終週(第7週目は)ディロードを取り入れて筋肉を完全に回復させる
- 第8週目からは新たな負荷設定で同様のサイクルを開始する
具体的な筋トレの1サイクル例
オーバーロード (1~7週) | セット数 | 負荷設定(1 RMの%) |
---|---|---|
1週目 | 15 | 65% |
2週目 | 17 | 65% |
3週目 | 19 | 70% |
4週目 | 21 | 70% |
5週目 | 23 | 75% |
6週目 | 25 | 75% |
7週目(ディロード) | 8 | 65% |
上記の具体的例からも分かるように、第1週目のセット数をMEVに設定し、週を重ねるごとにセット数を増大させていき、6週目にMRVに達するようにセット数を組むことで、確実にオーバーロードを達成することができ、効果的に筋肥大を引き出していくことができるようになる。
ディロードは必須
そして忘れてはいけないのが、サイクルの最終週にディロードを取り入れて筋肉の蓄積疲労を完全に取り除き、次のサイクルに向けた準備を行うことである。
そしてディロードを取り入れた後は、前回のサイクルよりも重い負荷設定で次のサイクルを開始する。
このようにサイクルを繰り返していくことで、着実にウエイトの使用重量を増大させていくことができるのである。
ディロードの具体的な方法については<ディロード (積極的休養)の効果とその具体的方法>のページで詳しく解説しているので是非参考にしてみてください。
私の失敗談
私は以前、トレーニングの度に自分自身を極限まで追い込むために多くのセット数を重ね、毎回同じようなセット数でトレーニングを行っていた。
案の定、一日を通して強い眠気や疲労感に襲われたり、夜眠れなくなるといったオーバートレーニングの状態に陥ってしまい、限界まで追い込んでるのにもかかわらずトレーニングパフォーマンスが低下したり、体重が減量したりしてしまった経験がある。
現在は、上記のトレーニングサイクルでトレーニングを行っているが、非常に質の高いトレーニングができるようになっている。
筋トレのセット数 決め方のまとめ
今回は、筋トレの成果を最大化する上で是非押さえておきたいMRV(マキシマム・リカラバブル・ボリューム)、MEV(ミニマム・イフェクティブ・ボリューム)、そしてオーバーロードの原則の3点に着目し、筋肥大に最適なセット数を紹介しました。
上記のトレーニングプラン&セット数で筋肥大のポテンシャルを最大化させよう。
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参考文献
[1] http://www.jtsstrength.com/articles/author/mikeisraetel/