筋肥大を効果的に引き出し続けるには、トレーニング頻度や食事回数を増やし、十分な睡眠時間を確保する等、生活習慣を大きく変える必要があり、日々の継続的な努力が何よりも重要となる。
さらに、自分では筋肥大に最適な生活を送っていると思っていても、それは単なる思い込みにより習慣化した不適切な生活スタイルであったりする場合もある。
そこで現役ボディビルダーの出番である。
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現役ボディビルダーのデータに学ぶ
そこで今回は、定期的に大会に出場している複数(14名)の現役ボディビルダーたち(22~55歳男性、平均体重77.1 kg)の基礎代謝量、食事回数、トレーニング頻度、および一回当たりのトレーニング時間、さらには摂取カロリー数といったデータ[1]を自分自身のデータと比較することで、自分の立ち位置を客観的に把握し、筋肥大をさらに最適化できるように今後の生活習慣の改善に役立てていこうというのが今回の狙いである。
ボディビルダー のデータ一覧
- 基礎代謝量
- 1日の総消費カロリー数
- 1日の総摂取カロリー数
- 食事のPFCバランス
- トレーニング頻度
- トレーニング1回当たりの所要時間
その1 基礎代謝量
20~30代男性の平均的な基礎代謝量がおよそ1500 kcal/日であることを考えると、筋肉量の多いボディビルダーの基礎代謝量は一般人に比べて高くなっている。したがって、自分の基礎代謝量が平均値(1500 kcal)よりも高ければ高いほど、筋肉量が多いということが言える。
その2 1日の総消費カロリー数
20~30代男性の平均的な総消費カロリー数がおよそ2300~2500 kcal/日であることを考えると、筋肉量の多いボディビルダーの総消費カロリーは、平均男性の値に比べ、およそ500~1500 kcalも多いことが分かった。
筋肉量が多いことによる基礎代謝量の増加に加えて、高強度なトレーニングにより消費されるカロリー数の増加が、ボディビルダーの摂取カロリー数が平均値よりも高い値となる主たる要因である。
その3 1日の総摂取カロリー数
平均的な20~30代男性の1日当たりの摂取カロリー数の目安がおよそ2300~2500 kcal/日であることを考えると、ボディビルダーの総摂取カロリーは、平均的な男性に比べ、およそ300~1500 kcalも多いことが分かった。
ボディビルダーの総消費カロリー数は上記の通り、3268±663 kcal/日であることから、筋肉量を維持または増大させていくには、このカロリー数に匹敵する量の食事を日々取らなければならないことは明白である。
したがって、食事回数を増やすことで十分な摂取カロリー数を確保しつつも、食事を複数回に分けて摂ることで絶えず栄養補給を行うことが筋肥大を促進させる上で重要になる。
筋肥大の成果が思うように得られない主たる原因は摂取カロリー数の不足にある場合が非常に多い。
筋肥大を目指す場合は、総摂取カロリー数が総消費カロリー数を上回るように食事管理を行わなければならない。
筋肥大に必要な摂取カロリーの最も精密な計算方法は<リーンバルク>脂肪を付けずに筋肉を増やす増量方法およびカロリー計算方法のページを参考にして頂きたい。
その4 食事のPFCバランス
食事のPFCのバランスにおいて、平均的な男性が通常摂取する食事と最も顕著に異なる点は、タンパク質の割合が高い点にある。
今回のボディビルダーの平均体重が77.1 kgであることを考えると、ボディビルダーが1日に摂取するタンパク質量はおよそ“体重×2~3 g”であることが分かる。
“体重×2~3 g”のタンパク質を日々確保するのはそう容易ではないが、筋肥大を促進させるには、毎回の食事に30~40 gのタンパク質を摂取する努力をするべきである(食事回数は1日6回程度が望ましい)。
プロテインパウダーを利用すると簡単に必要量を補うことができる。
その5 トレーニング頻度
トレーニング頻度は、おおむね週5回といったところだろうか。分割方法にも依るが、これまでになされた多くの研究報告を総括すると、筋肥大を最大化させるには同一部位のトレーニングは週に2回程度行うのが最も合理的であるとされる。
➡<参考>筋トレの5つの分割方法|筋肥大を最大限に引き出すスプリット方法
その6 トレーニング1回当たりの所要時間
トレーニングは短時間で済ませる方が良いとよく言われるが、筋肥大を最大化させるにはある一定レベルのトレーニングのボリュームが必要になる。
トレーニングボリュームとは、レップ数×セット数×扱うウエイト重量で定義される。
よって、1回のトレーニングで1~2部位をしっかりと追い込むには、ある程度の時間(99±21分)は必要になると考えられる。
まとめ:まずは自分自身を客観視してみることが大切
実際に大会に出場している複数のボディビルダーたちのデータを知ることで、自分自身を客観視することができ、今後の筋肥大計画の方針に何かしらの改善を加えることができるはずである。
筋肥大の成果が思うように得られない時は、上記6つのチェック項目を再確認してみよう!
参考文献
[1] Yamamoto S, et al (2008) Basal Metabolic Rate and Physical Activity Level in Bodybuilders