【 筋トレの順番 】筋肥大を最大化する筋トレ種目の正しい順序の決め方

[記事公開日]2018/06/24
[最終更新日]2020/03/30

筋トレの順番

筋肥大の成果を最大化するには、 筋トレ順番 をどのように設定するのが最も効率的なのか。

大きな筋肉群から小さな筋肉群を鍛える順序が本当に正しいのか?


今回は、筋肥大トレーニングにおける種目の正しい順序の決め方についてこれまでに発表された文献データ[1~3]に基づいて徹底的に解説します。

 

 

従来の 筋トレの順番 の決め方

筋トレのセット数

 

従来のトレーニング種目の順序の決め方といえば、まず大きな筋肉群(大筋群)から鍛え始め、そして小さな筋肉群(小筋群)に移行するというのが一般的である。

さらに、もう少し厳密にいえば、高重量を扱うことのできるコンパウンド種目でまず大筋群をアプローチした後、アイソレーション種目で小筋群をアプローチするのが従来の一般的な順序の決め方である。

このような順序が広く採用されているのは、疲労しやすい小筋群を先に鍛えてしまうと、その後に行うコンパウンド種目のパフォーマンスが大きく低下すると考えられているからである。

 

例えば、アームカールで上腕二頭筋を鍛えた後にプルアップで広背筋を鍛えるとしよう。

プルアップ

 

プルアップでは広背筋と上腕二頭筋が動作に関与するため、小筋群である上腕二頭筋を先に鍛えると、上腕二頭筋の疲労により、広背筋に十分な刺激を与えられないままプルアップの動作限界を迎えてしまい、広背筋をオールアウトさせることが出来なくなってしまう

こうした理由から、「筋トレを行う際は、大筋群→小筋群の順番で鍛えましょう」と広く一般に言われているのである。

 

確かに一見すると「大筋群→小筋群の順序で鍛える方法」は非常に理にかなっているが、実は、このトレーニングの順序が「小筋群→大筋群の順序で鍛える方法」よりも明らかに優れているということを明確に示す研究報告は現在のところ発表されていない(私が調べた限り)。

 

 

筋肥大には大筋群→小筋群?それとも小筋群→大筋群?

筋肉の大きさ

 

これまでにも、筋トレの種目の順序の違いが筋肥大の成果にどのような影響をもたらすのかについて調査する試みは多くなされてきた。

例えば、2010年に発表された研究[1]では、被験者らを2つのグループ(グループAグループB)に分け、一方のグループ(A)には大筋群→小筋群の順序でトレーニングを行わせもう片方のグループには小筋群→大筋群(B)の順序でトレーニングを行わせ、12週間後、両グループにおける筋肉増加量を測定する調査が行われた。

 

グループA

トレーニング順序(大筋群→小筋群)

  • ベンチプレス(大胸筋)→トライセプスエクステンション(上腕三頭筋
  • ラットプルダウン(広背筋)→アームカール(上腕二頭筋

 

グループB

トレーニング順序(小筋群→大筋群)

  • トライセプスエクステンション(上腕三頭筋)→ベンチプレス(大胸筋
  • アームカール(上腕二頭筋)→ラットプルダウン(広背筋

 

そして調査の結果、グループA(大筋群→小筋群)と比較して、グループB(小筋群→大筋群)における上腕三頭筋の筋肉量が顕著に増加したことが分かった(上腕二頭筋については、グループA,Bにおいて同程度の筋肉増加量(微量)となった)。

ドロップセット

 

つまり、上腕三頭筋をトレーニングの前半に鍛えることによって上腕三頭筋の成長が加速したのである。

 

同研究機関は同一内容の調査[2]を2010年にもう一度行ったが、同様の結果が得られたという。

 

これらの調査結果から導き出される結論、それは「トレーニング後半に比べ、トレーニング前半において筋肥大効果は高くなる」ということである。

 

さらに別途研究[3]においても、特定部位を強化したい場合はその部位をトレーニング前半で鍛えることで、その部位の筋肥大効率を最大限に高められると結論付けている。

また、強化したい部位が特にない場合は、大筋群(コンパウンド種目)から鍛え始め、小筋群(アイソレーション種目)へと移行する従来の筋トレの順序が、トレーニングボリュームを大きく取れるという観点から、筋肥大には最適な筋トレの順序であるだろうとしている。

つまり、鍛える部位が大筋群であれ小筋群であれ、トレーニング後半よりも、トレーニング前半でアプローチを行うことで高い筋肥大効果が得られるのである。

 

 

弱点部位はトレーニングの前半に鍛えるべし

カーフの筋トレ

 

これまでの研究報告を基にすると、大きく発達させたい筋肉部位はトレーニングの前半で鍛えることで筋肥大効率を向上させられるといえる。

 

 

実践的アプローチ方法

筋トレの順番

 

筋トレの種目順序を決める際は、弱点部位、あるいは特に発達させたい筋肉部位をトレーニングの前半でアプローチするようにトレーニングメニューを組むようにする。

あるいは、強化したい部位だけを鍛える日を定期的に設けるのも効果的なアプローチ方法となる(上腕が弱点部位なら腕の日を定期的に設ける等)。



このように、強化したい部位が大筋群であるか小筋群であるかに関わらず、その部位のトレーニングをメニューの前半で行うことで、集中力が最も高まった状態で最大限のエネルギーを行使して強化部位を高強度に鍛えることができるようになるのである。

 

筋トレの順番 の正しい決め方

筋トレの順番

 

筋肥大を最大化する正しい筋トレ種目の順序の決め方は、強化したい部位をトレーニング前半に鍛えるようにする。

そして、強化したい部位が特に無い場合は、大筋群(コンパウンド種目)から鍛え始め、小筋群(アイソレーション種目)へと移行する従来の筋トレの順番でトレーニングを行えば良い。

 

 

備考:大筋群・小筋群の定義について

筋トレの順番

 

実は、我々が視覚的に判断している筋肉の見かけの大きさと、実際の筋肉の大きさ(筋体積)には非常に大きなギャップがあるのをご存じだろうか。

 

例えば、大胸筋と上腕三頭筋では上腕三頭筋の方が筋体積は大きい。

さらにもう一例。

大胸筋と三角筋では三角筋の方が筋体積は大きい。

 

このように、我々が知覚する筋肉の大きさと実際の筋肉の大きさは必ずしも一致しないのである。

各筋肉の大きさ(筋体積)を正しく把握しておくことで、筋肥大はさらに加速させることができます。

詳しくは以下の関連記事を参照して下さい。



参考文献

[1] Simao R,et al (2010) Influence of exercise order on maximum strength and muscle thickness in untrained men
[2] Spineti. J,et al (2010) Influence of exercise order on maximum strength and muscle volume in nonlinear periodized resistance training
[3] Simao. R, et al (2012) Exercise order in resistance training