トレーニング中に摂取するサプリメント選びで悩んだ経験はないだろうか?
人間の深層心理により、ついつい多くのサプリメントに手を出してしまいたくなる。
しかし実のところ、トレーニングパフォーマンスを良好に保つのに必要となるサプリメントは驚くほどシンプルなのである(お財布事情もほっこり)。
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トレーニング中に摂取すべきサプリメント2種
記事のタイトルにもあるように、トレーニング中にぜひ摂取したいサプリメントはズバリ、炭水化物(カーボドリンク)とBCAAの2種類である。
「炭水化物とBCAAのたった2種類のサプリメントで十分なの?」と思われる方もおられるかもしれないが、結論としては大丈夫なのです←最後に理由が分かります。
そもそも、トレーニング中にサプリメントを摂取する真の目的としては以下の2点が挙げられる。
- トレーニングで枯渇し得るエネルギーを迅速に補給する
- トレーニング中の筋肉の分解を抑制する
これら上記の役割を効果的に果たしてくれるのがカーボドリンク(炭水化物)とBCAAなのである。
ゆえに、トレーニング中に摂取すべきサプリメントは、まずカーボドリンク(炭水化物)とBCAAの2種類を押さえておけば問題ない。
それでは早速、カーボドリンク(炭水化物)とBCAAのそれぞれの役割について見ていくことにしよう。
BCAAの効果
トレーニング中に摂取するサプリメントに求められる条件。
それは、トレーニング中に摂取することで体に素早く吸収され、代替エネルギー源として使用されることである。
BCAAについて言えば、トレーニング中に摂取することで血中グルコース(トレーニング時の主たるエネルギー源)が過剰に枯渇するのを防いだり、筋肉を分解してアミノ酸が取り出されるのを効果的に防止する効果が期待できる。
BCAAをトレーニング中に摂取するもうひとつのメリットとして、中枢性疲労の軽減が挙げられる。
中枢性疲労とは脳が主体となって疲労を感じる状態のことで、分かりやすく言い換えれば、精神的に感じる疲労のことである(一方、肉体的に感じる疲労のことを末梢性疲労という)。
よって、BCAAをトレーニング中に摂取することで、中枢性疲労の原因となるセロトニンが産生を防ぐ効果が期待できるため、結果としてトレーニング中に感じる疲労感を低減し、集中力の向上効果が期待できるのである(研究報告[1]より)。
なお、1日に推奨されるタンパク質を確保し、かつプレワークアウトミールを適切に摂取している限り、BCAAサプリメントを摂取する必要はないという意見もあるが、この見解は今のところ決定的なものではない。
とりわけ、トレーニング中にBCAAを摂取することでトレーニングパフォーマンスに悪影響を与えるとの報告はなされていないばかりか、トレーニング中に摂取することにより筋肉の分解を抑制できるとの報告[2]がなされていることからも、お財布事情が許せばトレーニング中にBCAAを摂取しておくことが望ましいと考えられる(特にトレーニングが高強度かつ高ボリュームの場合)。
BCAAの摂取方法
トレーニング中に摂取するBCAA内の理想的なロイシン・イソロイシン・バリンの割合は、ロイシン:イソロイシン:バリン=2:1:1とされている。
また、トレーニング1回あたりの摂取目安量は6~8 gである。
上記条件を満たすオススメBCAA
上記の条件を満たすBCAAとして挙げられるのが、サイベーション社のエクステンド(BCAA+シトルリン)である。
1スクープ当たり7 gのBCAAが上記の理想的な割合で配合されているので、これまでに紹介したBCAAが持つ効果を期待することができる。
1回あたりのコストは62.8円であり決して高い投資額ではない。
カーボドリンク (炭水化物)の効果
トレーニング中に摂取したいもうひとつのサプリメントがそう、カーボドリンク(炭水化物)である。
例えば、2017年に発表された研究報告[3]により、トレーニング中にカーボドリンクを摂取することでトレーニングにおける筋出力がアップし、さらに疲労感を遅延させる効果が認められている(上の論文)。
その他にも、トレーニング中にカーボドリンクを摂取することで、トレーニング中の主たるエネルギー源となる血中グルコース濃度が高く維持され、結果としてトレーニング中のエネルギー切れを防ぎ、トレーニングパフォーマンスを高く維持できる効果が複数の研究報告により示されている[4,5]。
トレーニング時間が1~2時間に及ぶ場合は、トレーニング中のカーボドリンクの摂取が推奨されるが、トライアスロンやサッカーといったの持久力を要するスポーツに必要となる程の大量の炭水化物を摂取する必要はない。
具体的には、プレワークアウトミールを適切に摂取している限り、マルトデキストリンなどの炭水化物を20~30 g摂取しておけばトレーニング中の血中グルコース濃度を十分に高く維持することができる。
カーボドリンクの摂取方法
20~30 gの炭水化物とBCAAをシェイカーに混ぜてトレーニング中に適宜摂取する。
また、トレーニング中に摂取すべき水分摂取の目安量は450~700 mlの範囲とし、トレーニング中、必要に応じてその都度こまめに摂取する。
お勧めの カーボドリンク
お勧めのカーボドリンクは、グリコのCCD(エキストラハイポトニックドリンク)または、マルトデキストリン(粉飴)である。
グリコのCCD(エキストラハイポトニックドリンク)は、名前は格好良いが要はクラスターデキストリン(=CCD)である[6]。
グリコが開発したCCDは、低浸透圧(ハイポトニック)であるため、胃に負担をかけずに素早く体に吸収されるのが最大の特徴であり、体が必要とするエネルギーを素早く届けることができる。
1回当たりのコストは約60円となり(1回30 g摂取時)、お財布にも優しい。
さらに、価格を重視する場合はマルトデキストリン(=粉飴)を利用する良い。ちなみに私はこちらを利用しています(←安いので)。
1回あたりのコストは約22円(1回30 g摂取時)とグリコのCCD(1回約60円)よりもさらに安く、その費用対効果は目を見張るものがある。
マルトデキストリンを摂取すると、まれに胃もたれを起こす人がいるが、カーボドリンクの糖質濃度を4~8%に保つことで胃もたれを効果的に防ぐことができる[7]。
逆に、カーボドリンクの糖質濃度が高くなり過ぎると、胃もたれ(お腹がゴロゴロしたり、タプタプする感じ)や下痢などの腹部症状が生じる場合があるので注意する(つまり、パウダーの入れすぎには注意)。
したがって、適正量を守っている限り胃もたれを起こす可能性は低いと考えられる。
しかし、マルトデキストリンを以前に使用したことがあり、なおかつこれまでに胃もたれを起こしたことがある人の場合は、より低浸透圧で吸収速度のさらに速いグリコのCCDをお勧めします。
ちなみに予備知識として、米国サプリメントブランドであるギャスパリニュートリション社と契約中のプロボディビルダー山岸秀匡選手は、以前自身のYouTube動画においてワークアウトドリンクには、同社のグライコフューズを摂取していると語っていたが、このグライコフューズは、グリコが開発したCCD(クラスターデキストリン)を主成分としている。
また、山岸秀匡選手がトレーニング中に摂取しているサプリメントは主として以下の4種である。
-
- グライコフューズ(カーボドリンク)
- BCAA
- サイズオン(プレワークアウトサプリ)
- アナバイト(マルチビタミン)
山岸秀匡選手の増量期の食事内容と摂取サプリメントについては以下の記事を参考にして下さい。
カーボドリンク +BCAAのワークアウトドリンクのまとめ
今回はトレーニング中に摂取したい2種類のサプリメント(カーボドリンク+BCAA)を複数の文献データ[1~7]に基づき紹介しました。
トレーニング中に摂取すべきサプリメントがどうしてこれほどまでシンプルで良いのかというと、前回記事<ボディビルダー向け、筋肥大を最大化する 筋トレ前後の食事 完全ガイド>で紹介したように、トレーニングパフォーマンスを最大化する上で重要となる食事のタイミングは、実はトレーニングの前に摂取する食事(=プレワークアウトミール)なのである。
トレーニングの1~2時間前に適切なプレワークアウトミールを摂取しておけばトレーニング前・中・後の全てのタイミングにおいて最適なアナボリック環境を作り出すことができるのである。
したがって、トレーニング中に摂取するサプリメントについては、まずカーボドリンク+BCAAから試し、次のレベルを目指したい場合にプレワークアウトサプリを導入するのが良いだろう。
参考文献
[1] Blomstrand, E (2011) Branched-Chain Amino Acids and Central Fatigue
[2] MacLean DA,et al (1994) Branched-chain amino acids augment ammonia metabolism while attenuating protein breakdown during exercise
[3] Ali, A,et al (2017) Effect of mouth rinsing and ingestion of carbohydrate solutions on mood and perceptual responses during exercise
[4] Carter J,et al (2003) Carbohydrate supplementation improves moderate and high-intensity exercise in the heat
[5] el-Sayed MS,et al (1997) Carbohydrate ingestion improves endurance performance during a 1 h simulated cycling time trial
[6] 高度分岐環状デキストリンについて(グリコ公式サイトより)
[7] Coyle EF,et al (1992) Benefits of fluid replacement with carbohydrate during exercise