体脂肪を増やさずにバルクアップする リーンバルク のメリット(対ダーティーバルク)

[記事公開日]2017/12/25
[最終更新日]2019/02/22

増量(バルクアップ)方法は大きく分けて2種類ある。

1つ目はダーティーバルク。そして、2つ目はリーンバルクである。

「増量期は脂肪をどんどんつけて筋肉も増やしていこう!」などという増量期は体脂肪が増えるのが当たり前であるかのうような、増量に対する誤った考え方をしていないだろうか?

 

正しく増量を行えば、増量期であっても体脂肪をさほど増やさず筋肉だけを増やすことが可能なのである。

今回は、リーンバルクとダーティーバルクの違いをはっきりさせ、体脂肪を極力増やさないリーンバルクがなぜ優れた増量方法であるのかを順番に見ていくことにしよう。






リーンバルク とは

リーンバルク

 

リーンバルクとは、体脂肪を極力付けずに筋肥大を目指す増量方法のことを指す。

1日あたりの摂取カロリーが消費カロリーを僅かに(~200 kcal程度)上回るようにカロリー設定を行い、増量する方法を一般にリーンバルクと呼んでいる。

 

リーンバルクのメリット

増量期であってもシックスパックを維持したまま(低体脂肪を維持したまま)筋肉量の増大を実現することができる。

リーンバルクのその他のメリットについてはこちらの記事を参照してもらいたい。

 

 

ダーティーバルクとは

 

ダーティーバルクとは、筋肉量の増大を最優先に考え、体脂肪の増加を気にせず食べまくる増量方法の事である。

通常、1日当たりの摂取カロリー数が消費カロリー数を大きく上回る(500 kcal超)ようにカロリー設定を行う増量方法のことをダーティーバルクと呼んでいる。

 

増量期は筋肉をとにかく増やしたいという理由で、ダーティーバルクを取り入れて体脂肪が増えてもいいからとにかく筋肉を増やしたいという気持ちは分からなくもない。

 

注意
いずれ減量期を取り入れて体脂肪だけを効率的に落とすのだから、増量期には体脂肪が増えても気にしないという考えのトレーニーは、ダーティーバルクの欠点をしっかりと理解した上で、ダーティーバルクが自分にとって最良の選択なのかを今一度吟味した方が良い。



ダーティーバルクを行う3つの大きなデメリット

ダーティーバルク

 

  1. ダーティーバルク筋肥大の加速を止める
  2. ダーティーバルクは体脂肪をさらに蓄積しやすくする
  3. 体脂肪率が上昇するとテストステロン値が低下する

 

ダーティーバルクは筋肥大の加速を止める

 

一般に、体脂肪量が増え始めると、体脂肪のさらなる蓄積が加速し、そして、筋肥大が起こりにくくなると言われている。

これは、体脂肪率が増加するにつれ、インスリンに対する感受性が低下することが原因であると考えられている。

インスリンは、筋タンパク質合成のスイッチをオンにしたり、アミノ酸などをはじめとする各栄養素を筋肉へ取り込ませたりという働きを担う、筋肥大には非常に重要なアナボリックホルモンであるが、体脂肪率が増加するにつれインスリンに対する感受性が鈍化し、筋タンパク質合成(筋肥大)の効率が著しく低下するのである。

 

 

ダーティーバルクは体脂肪をさらに蓄積しやすくする

 

インスリンに対する感受性が低下すると、体脂肪の燃焼効率が低下し、体脂肪がますます蓄積しやすくなる。

つまり、ダーティーバルクにより体脂肪が過剰に蓄積すると、ますます太りやすい体質へと変化するだけでなく、筋肥大の効率が低下するというトレーニーにとっては絶対に避けたい状況へと陥る可能性が高くなるのである。

すなわち、インスリンに対する感受性を常に高めておくことで、筋肥大効率を高く保ちながら、体脂肪が蓄積しづらい体質を維持することができるのである。

 

 

体脂肪率が上昇するとテストステロンレベルが低下する

 

体脂肪が増大するにつれて、蛋白同化作用を持つアナボリックホルモンであるテストステロン値が低下する。

テストステロン値が低下するということは、筋肥大効率の低下を意味する。

 

2011年に行われた“テストステロンレベルと体脂肪率の関係”を調査した研究報告[1]によると、被験者の体脂肪率が上昇するにつれ、テストステロン値は次第に低下し、女性ホルモンの一種であるエストロゲン値が上昇したことが分かったという。

 

つまり、ダーティーバルクにより体脂肪が過剰に増加すると、テストステロン値の低下により筋タンパク質合成(筋肥大)効率が鈍化するだけでなく、エストロゲン値の上昇により体脂肪がさらに蓄積されやすい体質へと変化してしまうのである。

つまり、

 

体脂肪率の上昇=筋肥大効率低下+体脂肪の蓄積

 

という結果を導くのである。

 

 

リーンバルク Vsダーティーバルク~筋肉増大量を比較~

 

2013年に発表されたリーンバルクとダーティーバルクの筋肥大効率を比較した研究[2]を紹介しよう。

研究では、リーンバルクとダーティーバルクにおける筋肥大効率と体脂肪率の変化を比較・調査するため、トレーニング経験を豊富に積んだ若年(20歳前後)のアスリート選手39名を摂取カロリー数の違いにより、“リーンバルク(2900 kcal/日)グループ”と“ダーティーバルク(3600 kcal/日)グループ”の2グループに分けた。

そして、両グループ同一内容のウエイトトレーニングを10週間にわたって行わせた後、筋肉と体脂肪の増加量を測定した。

 

実験結果
両グループを比較した際、筋肉増加量において顕著な差は見られなかったという。

 

しかし、ダーティーバルク(3600 kcal/日)グループに属する被験者らの体脂肪増加量は、リーンバルクグループに属する被験者らの約5倍に達したという。

 

ポイント
つまり、筋肥大に必要な余剰カロリー数は、我々が思っているよりも少なくてよく、メンテナンスカロリー数+200 kcal程度で十分であると考えることができる。

 

それにも関わらずダーティーバルクに走るトレーニーが後を絶たない。


ダーティーバルクに走るトレーニーが多い理由

 

数値にこだわりすぎている

 

筋肉量の増加はスロープロセス(slow process)であり、増量を急いでも筋肉の増加速度は増加しない。

一般に、筋肉量の増加速度はトレーニング経験が長くなるほど、次第に遅くなる。

<1ヵ月間に一体どれくらいの筋肉量の増やせるの?>

 

したがって、筋肉量の増加速度に見合ったカロリー余剰環境を作り出すことが、無駄な体脂肪を増やさずに筋肉量を増大させるコツとなる。

 

つまり、2か月で5 kg増量するなどという数値設定を誤った増量計画は単に余分な体脂肪を蓄積させる行為になりかねないので注意するべきである。

 

 

食べれば食べた分だけ筋肉がつくという誤解

 

新たに筋肉を合成するには、摂取カロリー数>消費カロリー数となる食事管理を行うことが必要不可欠である。

しかし、先述の研究結果が示す通り、例え1日の摂取カロリー数を大幅に増加させても筋肉量の増加速度は大きく変化しないのである。

 

ポイント
食べたら食べた分だけ筋肉量が増加するということは無く、過剰なカロリーは単に体脂肪として蓄積されることに注意しよう。

 

 

ダーティーバルクは時間と金の無駄

ダーティーバルク

 

ダーティーバルクを行う場合、リーンバルクを上回る食事量を確保する必要があるため、結果として食費が高くついてしまう傾向にある。

さらに、ダーティーバルクにより過剰に増えた体脂肪は、いずれ減量期を設けて落とさなければならない。

ダーティーバルクを行った場合、多くの体脂肪を落とさなければならないため必然的に減量期間を長くとる必要が出てくる。

減量期間中は、一部のケースを除いて筋肉量の増大は見込めないどころか、減量期にはある程度の筋肉量の減少も避けられない。

 

さらなるデメリット
ダーティーバルクを行うと、筋肉量の減少を引き起こしかねない減量期が長引き、結果、筋肥大トレーニングの期間を削ることになる。

 

 

その一方でリーンバルクは経済的かつ合理的

 

一方、リーンバルクを行う場合、体脂肪量の増加を極力抑えながら筋肉量の増大を目指すため、増量期(リーンバルク期間)を長く取ることができるだけでなく、減量期を短く抑えることができるため、減量による筋肉量減少のリスクを最小限に抑え、かつ、素早く筋肥大トレーニング(食事管理も含めて)に復帰することができるのである。

 

リーンバルクのメリットのまとめ

インボディ

 

今回は、賢く増量を行う“リーンバルクのすゝめ”を紹介しました。

リーンバルクを行う際の具体的なカロリー設定やその他のポイントについては、リーンバルクに関する記事を参照して頂きたい。

さあ、いつ見てもキレッキレの理想的な身体を維持する増量期(リーンバルク)を採用して、シックスパックとさよならすることなく“年中増量期”を目指してみよう!



参考文献
[1] Rohrmann S, et al (2011) Body fatness and sex steroid hormone concentrations in US men: results from NHANES III.
[2] Garthe I, et al (2013) Effect of nutritional intervention on body composition and performance in elite athletes