チンアップ が上腕二頭筋を大きく発達させる上で非常に優れたトレーニング種目であるということはあまり広く知られていない。
実のところ、 チンアップはバーベルカールに勝るとも劣らない上腕二頭筋の代表種目なのだ。
そこで今回は、なぜチンアップが上腕二頭筋の発達に大きく貢献するトレーニング種目であるのかを詳しく紹介しよう。
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チンアップ とは
チンアップとは懸垂のバリエーション種目のひとつで、別名、“逆手懸垂”または“リバース・グリップ・プルアップ”とも呼ばれている。
順手でバーを握って行う懸垂を「プルアップ」と呼ぶのに対して、逆手でバーを握って行う懸垂を「 チンアップ 」と呼んでいる。
プルアップは上腕の関与が少ないため広背筋の種目として扱われることが多いが、チンアップの場合は上腕の関与が大きくなるため、広背筋の種目としてだけでなく、上腕二頭筋の種目としても扱われることが多い。
上腕二頭筋を太くするにはLIFT HEAVYが原則
筋力と筋肉量の間には一定の相関関係がある。
ということは、筋力がアップすれば筋肉量もそれに合わせて増加する。その逆も然りである。
このことは、バーベルカールを60 kgで行うことができる者の腕の太さとバーベルカールを20 kgで行うのがやっとの者の腕の太さを比べれば明らかである。
つまり、上腕二頭筋を効率的に発達させるにはオーバーロードの原則に従い、貪欲なまでに高重量を追及していかなければならない(もちろん重量をしっかりとコントロール出来る範囲で)。
バーベルカールを60 kgで行える者はそう多くない。例え60 kgのバーベルを扱っていたとしてもそれは、反動を使って行うチートカールである場合が多いだろう。
チートカールは注意して行わないと腰や背中を痛める危険が伴う。逆にバーベルを丁寧にストリクトフォームで行えばチートは使えなくなり扱える重量は下がる。
アイソレーション種目であるバーベルカールは、一般に高重量を扱いにくいという性質を持っている(バーベルカールはチートを使えばコンパウンド種目として分類されることがある)。
そこでチンアップの出番である。
チンアップは極太の上腕二頭筋を作り上げるのを手助けしてくれる救世主になり得るのだ。
チンアップ が上腕二頭筋種目として優れている3つの理由
1.チートを容易に防止できる
チンアップにおいてチートを防止するのは非常に簡単である。
バーにぶら下がって腕を完全に伸ばしきったところからチンアップの動作を開始すれば、ほぼ上腕二頭筋と広背筋がチンアップの動作を担うことになるので、余計な反動を使うことが難しくなる(チートの防止)。
これにより腰や背中を痛める心配がなくなり、安全に動作を行うことができる。
2.バーベルカール以上の高重量を扱える
多くのトレーニーにとって50 kgのバーベルカールは非常に重く、カールできたとしてもついチートを使ってしまい、適切に上腕二頭筋に刺激を与えられないことも十分に考えられる。
しかし、チンアップなら体重に匹敵する高重量を上腕二頭筋を使って持ち上げることができる。
特に、ネガティブ動作時において広背筋の動員を最小限に抑えればバーベルカールの場合にはチート無しでは扱えないような高負荷を上腕二頭筋に集中的に与えることができるようになる。
3.加重ベルトでオーバーロードが容易
自重でチンアップを10レップ以上こなせるようになったら加重ベルトを使用して高重量を追い求めていこう。
チンアップはコンパウンド種目なので扱える重量の伸びが、バーベルカールなどのアイソレーション種目よりも格段に速い。
それだけ、オーバーロードを確実かつ速いペースで達成することができるので上腕二頭筋の発達に大きく効果を上げる。
チンアップは上腕二頭筋の代表種目
上腕二頭筋TOP3種目
2014年に発表された研究報告[1]によると、チンアップは上腕二頭筋トレーニング種目の中でもコンセントレーションカールやバーベルカールに次いで3番目に効果的な上腕二頭筋の種目として挙げられている。
これは、ケーブルカール、プリーチャーカール、インクラインダンベルカールといった上腕二頭筋の代表的な種目よりもより強烈な刺激を与えられる種目であるということである。
チンアップの具体的方法
上腕二頭筋をターゲットとしてチンアップを行う方法を紹介ししょう。
写真のように、肩幅~肩幅よりやや狭めにグリップ幅を設定し、アンダーグリップでバーを握る(握力に自信がない場合はストラップを使用すると良い)。
ポイント
広背筋をターゲットとしてチンアップを行う場合は胸を張って肩甲骨を寄せるように動作を行うが、上腕二頭筋をターゲットとする場合は、広背筋を極力動員しないようするために背中をわずかに丸めて動作を行うようにすると良い。
ボトムポジションで上腕二頭筋を完全に伸ばし切ったところから挙上を開始し、マインドマッスルコネクションを駆使して上腕二頭筋に意識を集中させながらトップポジションまで身体を持ち上げる。
トップポジションで上腕二頭筋を強く収縮させた状態を1~2秒程度維持させた後(ピークコントラクション)、ネガティブ動作をゆっくりと行いボトムポジションに戻る。
加重ベルトを使用して強度UP
先ほど紹介したように、ストリクトフォームで10レップ以上こなせるようになったら加重ベルト(ディッピングベルト)でウエイトを追加してトレーニングの強度を増加させていこう。
加重ベルトに2.5 kgのプレートをつないで5~10レップの範囲で限界が来るようにプレートの重量を設定する。
そして3~4セット行い、上腕二頭筋のトレーニングの度に2.5 kg(もしくは1.25 kg)のプレートを追加していきオーバーロードを着実に達成していくようにすれば、上腕二頭筋は必ず徐々に太く成長していく。
まとめ:逆手懸垂(チンアップ)で上腕二頭筋を鍛える
今回は、上腕二頭筋の代表的種目としてあまり広く知られていないにも関わらず、上腕二頭筋の発達に大きく貢献してくれる種目”チンアップ”を紹介しました。
まずはチンアップを3週間程、上腕二頭筋の第一種目として取り入れて上腕二頭筋の反応を見てみよう!
上腕二頭筋のサイズアップが実感できるはずである。
参考文献
[1] Scott Young, et al (2014) ACE Study Reveals Best Biceps Exercises