今回は、筋トレの成果を大きく左右するテストステロン値を常に高く維持する6つの具体的方法を紹介しよう。
テストステロン とは
➡テストステロンの値は、20代にピークを迎えた後は次第に減少傾向にあるが、健康的な生活を送ることによりその値を出来る限り高く維持することが可能である。
テストステロン の効果
テストステロン(=男性ホルモン)には、先にも述べたように、筋肉の増大作用と筋肉の分解抑制作用があるとされている。
➡したがって、筋トレにより筋肉量の増大を目指すには、このテストステロン値を高く維持することが重要であると考えられているのだ。
さらに、テストステロンは我々の精神面にも大きな影響を与えることが分かっており、テストステロン値が高いと物事に対して意欲的になったり、男らしさを形成したり、自分自身に対して自信が湧きやすくなるという効果もある。
その他にも、
- うつ病の予防
- 肥満予防
- 前向きな性格を形成
- 病気やガンの予防
など、日々の生活をより健康的なものにしてくれる効果が期待できる。
テストステロンと筋トレの関係
巷ではテストステロン値を高める筋トレ方法が数多く紹介されている。
スクワットやデッドリフトなどといった高重量を扱うことのできるコンパウンド種目を積極的に取り入れたトレーニングを行うことでテストステロンの値を高め、筋肥大を促進させようというのが根端にある狙いのようだ。
疑問1.筋トレで テストステロン 値を増加させると筋肥大は加速するのか
どういうことか分かりやすく理解できるように、筋トレとテストステロン値の関係を調査した実験を紹介しよう。
実験内容
- 被験者を2つのグループに分ける
- 一方のグループに属する被験者らには、テストステロン値を上昇させるトレーニングを行わせる
- もう片方のグループに属する被験者らにはテストステロン値を上昇させないトレーニングを行わる
- 15週間にわたるトレーニングの後、両グループの筋タンパク質合成レベルを測定した。
研究結果
両グループの筋タンパク質合成には差は認められなかった。
➡つまり、筋力トレーニングにより、テストステロン値を増加させたとしても筋肥大には効果が無いという結果が得られたのである。
さらに、筋トレにより急上昇したテストステロン値は筋トレ終了1時間後には筋トレ前のレベルにまで低下することも分かった。
トレーニングにより上昇したテストステロン値は筋肥大に影響を及ぼさない
上記結果をまとめると、筋トレを行うことによるテストステロン値の上昇は、筋肥大を誘発するほどの効果をもたらすものではないということが言える。
さらに、トレーニングにより急上昇したテストステロン値は筋トレ終了後すぐに下降することからも、筋肥大を加速するのに十分量のホルモンが分泌される訳ではなく、筋肥大には大きな影響を及ぼすものではないと結論付けられている。
しかし、ここで新たな疑問が生まれる。
疑問2.そもそもテストステロン値と筋肥大は関係あるのか
ここに興味深い研究報告[2]がある。
実験内容
- 被験者らに筋トレを行わせずにテストステロン値を20週間にわたり、306ng(ナノグラム)/dl(デシリットル)から570 ng/dlまで段階的に投与し、彼らの筋肉増加量を最終日に測定した。
実験結果
➡約3 kgの筋肉量の増加がみられた(筋トレをしていないにも関わらず)。
この他にも筋トレを行わない条件でテストステロン値だけ大きくを引き上げた場合にも筋肉量の増加が見られたとする研究報告がいくつもあることから、テストステロン値を高く保つことが筋肉量の増加に大きく影響していると言える。
➡つまり、これらのすべての結果を加味し、ひとつの結論を導き出すと以下のようになる。
テストステロン値と筋肥大の正しい関係
筋トレによりテストステロン値を一時的に上昇させる行為は、筋肥大に大きな効果をもたらすものではなく、普段の生活習慣により継続的にテストステロン値を高く維持するように努めることの方が筋肥大を誘発するには効果的である。
そこで、さらなる疑問が浮上する。
疑問3.筋肥大を誘発させるのに十分なレベルにまでテストステロン値を引き上げるにはどうすればいいのか
そこで今回は、日常生活においてテストステロン値を高く維持するためにできる6つの実践的方法を紹介しよう。
テストステロン 値を高く引き上げる実践的方法6つ
食事編
良質なタンパク質を摂取する
プロテインパウダーに頼り過ぎることなく、卵、魚類、鶏肉、牛肉、豚肉といった良質なタンパク質源を食事から摂取するように心がける。
さらに、一日の総摂取カロリーの約20~40%をタンパク質から摂取することでテストステロン値を高く維持できることが研究により報告されている。
一日当たり、卵(全卵)を2~3個摂取する
卵に含まれるコレステロールはテストステロンの生成に必要になるとともに、良質なタンパク質源であることから、トレーニーであれば1日2~3個は摂取したいところ。
筋トレ編
オーバートレーニングを避ける
トレーニングのボリュームを増やし、トレーニング時間が長くなるとテストステロン値が低下し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加することが分かっている。
したがって、トレーニングは(理想的には)1時間半前後で終えるようにする。少なくとも可能な限り早く終える努力を行う。
有酸素運動をしすぎない
ランニングのような高強度の有酸素運動を行うことでもテストステロン値が低下することが分かっている。
したがって、有酸素運動を行う場合は長くても1時間以内に抑え、週に4回以内にとどめておくのがテストステロン値を高く保つには望ましい。
生活編
十分な睡眠をとる
2011年に行われた研究報告[3]によると、5日間に渡り睡眠時間が8時間から5時間に減少すると、テストステロン値は10.4%減少することが判明した。
➡したがって、最低6時間(欲を言えば7時間)は睡眠に費やすようにする。
もし十分な睡眠時間が取れない場合は、ほんの少しの細切れ時間(15分でも効果的)を見つけて昼寝をする努力をする。
筋肥大にとって睡眠がいかに重要であるかを解説したこちらの記事もご覧いただきたい。
ストレスを貯め込まないようにする
仕事や人間関係、その他の課題等により、ストレスを強く感じるとストレスホルモンであるコルチゾールが分泌される。このコルチゾールは、筋タンパク質合成を抑制する働きがあるため、ストレスにより筋肥大が抑制されてしまう。
筋トレやその他の趣味を持ち、ストレスを貯めないように工夫することでテストステロン値を高く保つことができる。
ストレスと筋トレの深い関係を解説したこちらの記事も是非ご覧頂きたい。
テストステロン 値を高める方法のまとめ
今回は、筋肥大には切っても切れないほど重要なテストステロンをテーマにしてみた。
テストステロン値を高く維持する生活=健康的な生活というような結論が導き出された。
要は我々にとって健康的な生活は筋肉たちにとっても健康的なのだ。
テストステロン値を高く保つことを目標にして、筋肥大をさらに加速させよう!
参考文献
[1] West DW et al. (2009) Resistance exercise-induced increases in putative anabolic hormones do not enhance muscle protein synthesis or intracellular signalling in young men. [2] Bhasin S et al. (2001). Testosterone dose-response relationships in healthy young men. [3] Rachel Leproult et al. (2011) Effect of 1 Week of Sleep Restriction on Testosterone Levels in Young Healthy MenFREE