これまでに、筋肥大に最適なクレアチン摂取のタイミングに関する議論が多く重ねられてきたが、今回ついにその議論に決着がつきそうだ。
結論:クレアチンはトレーニング直後に摂取するべし
2013年に行われた研究[1]によると、ボディビルディングを趣味とする男性被験者19名を対象として、クレアチン摂取のタイミングの違いによる筋肉増加量の差異を調査した結果、トレーニング直後にクレアチンを摂取した被験者らは、トレーニング直前にクレアチンを同量摂取した被験者らよりも筋肉増加量が多かったと報告されていた。
しかしながら、遂に2015年に筋肥大に最適なクレアチン摂取のタイミングはトレーニング直後が望ましいという仮説を強くサポートする研究成果[2]が報告された。
この研究内容を簡単に紹介しよう。
研究内容
- クレアチン摂取のタイミングの違いにより被験者を3つのグループに分類
グループA:トレーニング直後にクレアチンを摂取
グループB: トレーニング直前にクレアチンを摂取
グループC:トレーニング前後に偽薬を摂取(クレアチン非摂取)
- グループA、B、Cに属する被験者らは32週間にわたるトレーニングプログラムに参加し、32週目(実験最終日)に筋力(1 RM)、体脂肪増減量、筋肉増加量の計測を行った。
実験結果は以下のようになった。結果のみを簡潔に記載するので一見してもらいたい。
筋肉増加量について
- グループA:3.0 ± 1.9 kg
- グループB:1.8 ±1.3 kg(具体的数値が無いためグラフから判断)
- グループC:0.5 ± 2.1 kg
筋力アップについて
筋力アップについては、チェストプレスおよびレッグプレスの1RMを測定することで評価を行った。
クレアチンを摂取したグループA、Bにおける1RMの増加量(成長率)は、(偽薬)グループCに比べて顕著であったが、クレアチン摂取のタイミングの違いによりもたらされる筋力増加量には顕著な差が認められなかった(グループBよりもグループAが僅かに優勢であった)。
クレアチン摂取のタイミング のまとめ
総じて、筋肥大に最適なクレアチン摂取のタイミングとして推奨されるのは、トレーニングの直前よりもトレーニング直後に摂取する方が、筋肉増大・筋力アップに(僅かではあるが)より効果的であるといえる。
これまでに発表された複数の研究報告を総括すると、クレアチン摂取のタイミングの違いによりもたらされる筋肥大への効果の差は、「トレーニング前にクレアチンを摂取するのは間違い」と断言できるほど顕著ではない。
➡しかし、その差が僅かだからと言って、わざわざクレアチンをトレーニング直前に摂取する必要もないだろう。
したがって、クレアチン摂取のタイミングに迷ったら、トレーニングの直後に摂取することをお勧めする。
最後にひとこと
これらの事実からも分かるように、クレアチン摂取のタイミングにこだわりすぎる行為はあまり意味が無いということである。これは、他のサプリメントにも言えることである。
筋肥大には、摂取カロリーの管理や必要なタンパク質量の確保といった日々の適切な栄養管理が最も重要な役割を果たすのであり、これらの重要なファクターを無視して、サプリメントの摂取タイミング等にこだわるのは良くない。
適切にトレーニング計画を立て、適切な食事管理を行って初めてサプリメントの摂取タイミングの差による効果が現れるということを心に留めておこう。
その他にも、クレアチンの効果を最大限に高める摂取方法についてはクレアチン の効果を最大限に発揮させる摂取方法とその効果のページを参考にしていただきたい。
参考文献
[1] Antonio J,et al (2013) The effects of pre versus post workout supplementation of creatine monohydrate on body composition and strength [2] Candow, Darren, et al (2015) Strategic ingestion of creatine supplementation and resistance training in healthy older adults