日々多忙な生活を送る我々にとって精神的・肉体的なストレスはつきものである。
適度なストレスであれば身体の防御反応により対処することができるが、日々のストレスが蓄積し、それに身体が対処しきれなくなると日常生活においてだけでなく、トレーニング・筋肥大といった筋トレ生活にも様々な悪影響が出始める。
ストレスとトレーニングはきっても切れない深い関係にあるのだ。
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適度な筋トレは精神的ストレスを軽減
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ご存知のように、適度な筋トレを習慣にすることは、日々の精神的なストレスを軽減する手助けをしてくれる。
事実、筋トレをはじめとする運動習慣により、幸せのホルモンとも呼ばれるセレトニン(脳内物質)が脳内に分泌されることが研究報告により明らかとなっている。
このセレトニンの分泌により、我々は幸福感を感じることができ、精神状態を安定し、物事に意欲的に取り組むことができる。
筋トレは度を超すと逆効果
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しかし、トレーニングに意気込み過ぎてトレーニングと休養のバランスが崩れ、オーバートレーニングの状態に陥ってしまうと、肉体的なストレスだけでなく、精神的なストレスを抱えてしまうことになる。
このオーバートレーニング状態は、アスリート選手だけでなく、トレーニングに真剣に取り組む一般トレーニーおいてよく見られ、トレーニングのパフォーマンスが低下するだけでなく、以下に示すような精神的なストレスに起因する問題が生じるようになる。
オーバートレーニングによる諸症状
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- 夜眠れない
- 慢性的な倦怠感
- 食欲不振
- 極端な体重減少
- 意欲減退
さらに、これらと真逆の事態も起こり得る。
精神的ストレス が筋トレに負の効果
![筋肥大に最適なレップ数](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/05/powerlifter-min.jpg?resize=536%2C357&ssl=1)
2008年に発表された研究報告[1]によると、高いストレス指数を示す被験者らと低いストレス指数を示す被験者らの両者に12週間にわたって同一内容のトレーニングを行わせ、ベンチプレスおよびスクワットの1 RM重量および筋肉量の増加率を測定する実験が行われた。
➡その結果によると、低いストレス指数を示す被験者らの1RM重量および筋肉増加量は、高いストレス指数を示す被験者らよりも、大幅に高い数値を示したという。
結論として、精神的ストレスはトレーニングパフォーマンスを低下させる可能性が大いにあり、自己のストレス状態をチェックすることが大切であると述べられている。
高 ストレス 状態下では回復能力が低下
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さらに、別途研究[2]においても精神的ストレスとトレーニングパフォーマンスに関する実験が行われた。
調査報告によると、20代前後の被験者らにレッグプレス(10レップス×6セット)を行わせた後、疲労した筋肉の回復にかかる時間を測定したところ、低いストレス状態にある被験者らは24時間であったのに対して、高いストレス状態にある被験者らは96時間以上かかったという。
さらに、高ストレスの被験者において長期にわたる筋肉痛および疲労感が認められたという。
ストレスの原因は人により様々であるが、筋トレ以外の場面(社会的立場、仕事、対人関係、家庭事情等)で発生する不安要素やストレスが、トレーニングパフォーマンスに直接的に悪い影響を及ぼすということを知っておくことが大切である。その上で、それらのストレスを極力排除できるように積極的に取り組むことがキーポイントである。
ストレス を貯めないことが重要
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筋トレで筋肥大を効率的に行うには、精神的なストレスを過剰に溜め込まないようにすることが重要になってくるのである。
精神的なストレスを蓄積しない方法としては、独りきりになって物思いに耽る時間(瞑想)を確保したり、何か新しいことに挑戦してみたりと、普段行わないようなことを行ってみることが効果的である。
それだけでなく、他人の心無い言動に翻弄されないように強いメンタルを持つことも重要である。
さらに、常日頃から自分自身のストレス状態をチェックする習慣をつけておくことも精神的ストレスの過剰蓄積を防止することができる。
以下に示す5つの簡単な質問に率直かつ素直に回答してみよう。
ストレス チェック項目
![ストレス チェックリスト](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2017/12/checklist-2077019_1920-1-min.jpg?resize=602%2C311&ssl=1)
- 夜ぐっすりと眠れるか
- 体重が極端に減少していないか
- 普段以上に疲労を感じていないか
- 物事に対する意欲が減退していないか
- 慢性的な疲労(筋肉痛および関節痛)を感じていないか
もしも、これら上記の5つの項目に対する回答が、
- 眠れない(翌朝目覚めが非常に悪い)
- 増量したいのに体重が減少する
- 強い疲労を感じる
- 最近やる気が出ない
- 関節に痛みを感じる
のような回答に近ければ、精神的または肉体的なストレスが蓄積している可能性があるため、トレーニングの頻度や強度を一定期間減らしてみるか、ディロードを行うか、瞑想を行ったりしてストレスを減らす取り組みを行った方が良いだろう。
筋トレは本来楽しい活動であり、トレーニング・休養・精神状態のバランスを上手に保ちながら筋トレを行うことができれば、幸福感を感じることができる素晴らしい活動である。
しかし、疲労が蓄積したり、何らかの原因で強い精神的ストレス下に置かれるようになると、筋トレ自体がその状況を悪化させる要因になりかねない(オートレーニング等)。
普段から、自分自身をしっかりと観察し、トレーニングを長きにわたって楽しめるように工夫しながら筋肥大を最大限に引き出していこう!
参考文献
[1] Bartholomew JB, et al (2008) Strength gains after resistance training: the effect of stressful, negative life events. [2] Stults-Kolehmainen MA, et al (2014) Chronic psychological stress impairs recovery of muscular function and somatic sensations over a 96-hour period