一般に、筋肥大トレーニングのレップ数といえば8~12レップスである。
筋肥大に適切なレップ数が8~12レップスと決まれば、次にこんな疑問が生まれる。
それ以外のレップ数で行うトレーニングは筋肥大に効果が無いのか?
今日は速筋と遅筋の両方を肥大させて筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出すレップ数の真実に迫ってみよう。
コンテンツ
疑問.1~5 RMや13~20 RMのウエイトで行うトレーニングは筋肥大には効果が無いのか
トレーニング初心者の場合
トレーニング初心者であれば、あらゆるレップス数のトレーニングに対して筋肉は敏感に反応するため、一定のペースでジムに通い続けてトレーニングを行えば筋肥大はある程度容易に達成することができる。
実際、複数の研究により以下に示す報告がなされている。
トレーニング中上級者の場合
しかし、トレーニング経験を積み重ねた、筋トレによる刺激に耐性ができてしまった中上級者が筋肉をさらに肥大させるためには初心者のような単純な戦略では上手くいかず、筋肥大に向けて更なる戦略を練る必要が出てくるのである。
そこで重要なカギを握るのがレップ数である。
筋肥大のカギを握る レップ数
我々の筋肉を構成する筋繊維は、その役割に応じて速筋線維と遅筋繊維の2つに分類することができる。
速筋線維
速筋線維は、糖質を主たるエネルギー源とし、筋トレのような瞬発的なスピードやパワーを必要とする運動時に動員される筋繊維であり、これにより爆発的な運動が可能になる(疲労しやすい)。
遅筋繊維
遅筋線維は、脂質を主たるエネルギー源とし、有酸素運動のような持続的な筋収縮が伴う運動時に主として動員される筋繊維であり、これにより長時間の運動が可能になる(疲労しにくい)。
では、低負荷高レップトレーニングを行えば遅筋繊維は筋肥大するのか?
速筋線維が遅筋線維に比べて肥大しやすいのは事実であるが、実は遅筋線維も適切なレップ数でトレーニングを行えば筋肥大することが諸研究により明らかとなっている。
高レップのトレーニングで遅筋繊維を肥大させる
2012年に発表された研究成果[1]によると、1 RMの80 %のウエイトを使用した被験者ら(高負荷グループ)と1 RMの30 %のウエイトを使用した被験者ら(低負荷グループ)それぞれの筋肥大率を測定したところ、遅筋線維の筋肥大率は、高負荷グループが16%の成長率であったのに対し、低負荷グループでは23%であったという。
また、速筋線維の筋肥大率においては、高負荷グループが15%、低負荷グループが12%という結果になった。
筋肥大をさらに促進するために
筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出すには、筋繊維1本1本を太く成長させる筋肥大トレーニング(8~12 RM)に合わせて、筋力アップに最適なレップ数(1~5 RM)で行うトレーニングを取り入れることが望ましい。
トレーニングを行う順序
まずは筋力アップトレーニング(1~5 RM)で筋繊維の本数を増加させる。そして次に、筋肥大トレーニング(6~12 RM)を行うことにより、筋力アップトレーニングで増加させた筋繊維の1本1本を肥大化させることにより、筋繊維数の増加と筋繊維の肥大化という2つのターゲットにアプローチを図ることができる。
そしてトレーニングの仕上げ種目として、高レップトレーニング(13+ RM)をトレーニングメニューに取り入れることで遅筋線維を筋肥させることができ、筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出すことができる。
筋肥大の レップ数 についてのまとめ
筋肉を可能な限り太く大きく成長させるには、巷で言われる8レップス×3セットの単調なトレーニングでは、そのポテンシャルを最大限に引き出すことは難しい。
まとめ
これまでに紹介したように、目的に応じてレップ数を柔軟に変更し、高負荷トレーニング(1~5 RM)、中負荷トレーニング(6~12 RM)、低負荷トレーニング(13+RM)をうまく組み合わせてトレーニングメニューを作成することが、筋肉全体を大きく発達させる方法となる。
また、レップ数を変えるだけでも筋肉への刺激は大きく変化するので、どのレップ数が自分に最も合っているのかを毎度のトレーニングで試行錯誤しながらトレーニングを楽しみながら行えば、いつのまにか筋肉は太く大きく成長してくれていることだろう。
お役に立てれば幸いである。
参考文献
[1] Cameron J. Mitchell, et al (2012) Resistance exercise load does not determine training-mediated hypertrophic gains in young men