筋トレを始めたらニキビが出来はじめた。そんな経験はないだろうか。
筋肉を大きく発達させてカッコよくなるため、あるいは体脂肪を落としてより魅力的になるはずが筋トレ生活がニキビの直接的な原因になるとしたらそれはなんとも辛い話である。
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ニキビ で悩みたくない
![](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/01/boy-1666611_1920-min.jpg?resize=641%2C427&ssl=1)
人によってはニキビが出来ただけでも人と顔を合わせたくなくなったり、その日のモチベーションがガクンと下がってしまうことだってある。
かくいう私も高校時代に重度のニキビに悩まされた経験があり、ニキビを治すためにありとあらゆる方法を試した。
![](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/02/builder-e1518610081203-300x259.jpg?resize=513%2C443&ssl=1)
特に筋トレで肉体改造を目指すトレーニーは他人から自分がどのように見られているかを気にする傾向が高いのでニキビが自分の見た目を悪くすると悩む人の割合も多い。
ニキビのせいで筋トレに対するモチベーションを下げてしまうのは何とも勿体ない話である。
ニキビ が出来る原因
![ニキビ](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/03/teenager-boy-acne-pimples-face-595x240-min.jpg?resize=610%2C246&ssl=1)
画像出典:healing.natural.oils
ニキビができる第一の原因は毛穴が詰まることである。
思春期ニキビの場合
思春期にできるニキビの主原因は、男性ホルモンの活発な分泌により皮脂の分泌が活発化され、過剰に分泌された皮脂が毛穴を詰まらせて炎症を起こしニキビが発生する。
大人ニキビの場合
大人になってもできる大人ニキビの場合は、暴飲暴食やストレスといった生活習慣の乱れにより皮脂の分泌が活発化することに加えて肌の乾燥による毛穴の詰まりが主な原因といわれている。
それでは筋トレを行うことがニキビにどんな(悪)影響を及ぼし得るのかを早速見ていくことにしよう。
筋トレは ニキビ の原因になるのか
![広背筋](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/02/back.jpg?resize=548%2C521&ssl=1)
プロテインの摂取がニキビを悪化させるという説
![プロテイン](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/01/815QZSNw9tL._SL1500_-min.jpg?resize=338%2C338&ssl=1)
トレーニーの中にはプロテイン(特にホエイプロテイン)の摂取がニキビの原因となると考える人もいるようである。
ホエイプロテインの主成分はご存知の通りタンパク質である。このタンパク質は肌のターンオーバー(=新陳代謝により肌が新しく生まれ変わる作用)に必要不可欠な栄養素であることからプロテインの摂取自体がニキビの直接的な原因となるとは考えにくい。
しかし、プロテインの摂取が間接的にニキビの原因となり得ることはあるのだ。
それがタンパク質の過剰摂取である。
![](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/01/803421.jpg?resize=475%2C324&ssl=1)
タンパク質を過剰に摂取すると、内臓は過剰なタンパク質を代謝し続ける必要があるため肝臓や腎臓にかかる負担が増大し、結果として内臓が疲弊してしまい内臓の機能低下を招く。これがニキビの原因になることがある。
![悪玉菌](https://i0.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/03/悪玉菌-min.png?resize=321%2C264&ssl=1)
さらにタンパク質の過剰摂取は腸内悪玉菌を増やす原因となり、これが腸内バランスを崩してしまう。
腸内バランスが崩れると善玉菌が減少するため、肌を健やかに保つために必要となるビタミンB2やビタミンB6が効率的に体内で生成できなくなるため、結果として皮脂の分泌量が増加する。
先ほど述べたように、皮脂の過剰分泌はニキビを誘発する原因となるのでタンパク質の過剰な摂取はニキビの原因となり得るといえる。
男性ホルモンの増加が ニキビ を悪化させるという説
![](https://i0.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/01/Testosteron.svg-min.png?resize=517%2C355&ssl=1)
筋トレにより、テストステロンをはじめとする男性ホルモンが増加するとそれがニキビの原因となると主張する見解はたくさんある。
確かにニキビは過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まることで毛穴が炎症を起こして発生する場合が多い。
事実、この皮脂の分泌とテストステロンにはある一定の関係がある。
テストステロンは、その値が上昇すると5α-リダクターゼとよばれる酵素と反応し、そしてDHTとよばれるホルモンに姿を変える。このDHTホルモンは皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を促す作用があるため、DHTホルモンが増えるとそれに合わせて皮脂の分泌量も増えるのである。
➡つまり、筋トレによりテストステロン値が上昇すると皮脂の分泌が増大し、結果ニキビを誘発させるという仮説が導き出される。
しかし、この仮説には留意すべき点がある。それは筋トレを行うことでテストステロン値は一時的に上昇するが、その値は筋トレ後1時間程度で速やかに筋トレ前の値まで低下するという点である。
したがって、テストステロン値が常に高い人の場合はニキビが出来やすい体質であると言えるかもしれないが、少なくとも筋トレ自体がニキビの直接的原因であると断言するのは不適切である(なぜなら筋トレによるテストステロン値の上昇は一時的な過渡現象であるから)。
汗が毛穴に詰まりニキビを悪化させるという説
![ニキビ](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/02/-min-e1519820723944-300x246.jpg?resize=435%2C357&ssl=1)
確かにトレーニングをすると(上の写真のように)汗を大量にかくことがある。
ある説によれば、この大量にかいた汗が毛穴を詰まらせてニキビを悪化させるという。
しかし実際のところ汗自体がニキビを悪化させるという科学的根拠は今のところなされておらず汗をかくこと自体がニキビを悪化させる原因にはなり得ないと言うことができる。
とは言っても汗とニキビにはある一定の関係があることが分かっている。
それがアクネメカニカと呼ばれるタイプのニキビである。
アクネメカニカとは
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アクネメカニカとは誰にでも出来うるニキビではあるが特にアスリートや学生、または炎天下で労働や運動を長時間行う人にできやすいタイプのニキビで、顔を含めた全身のどの部位でも発生する[1]。
この種のニキビ(アクネメカニカ)と通常のニキビが最も異なる点は、ずばりニキビができる原因にある。
アクネメカニカは衣服などにより熱が身体にこもり発散されない状態が長時間続き、なおかつ衣服による摩擦や圧力が肌にかかる場合に発生することが多い。
この種のニキビの種原因として挙げられるのが以下の点である。
- ユニホームやグローブなどの装備を長時間着用する
- リュックサックやストラップにより肌に熱がこもり圧力がかかる
- 帽子やヘルメットを着用する
- コンプレッションなどのピッチリしたウェアを着る
このように運動等により身体に熱がこもった状態が長時間続き、なおかつ衣服などにより肌が摩擦や圧力を受けると毛穴が炎症を起こしやすくなりニキビが出来る原因となるのである。
![](https://i0.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/03/nikibi-min.jpg?resize=488%2C439&ssl=1)
また、背中や胸などの胴体部分にまとまって発生するニキビ(厳密にはニキビとは区別されるが)は、マラセチア菌と呼ばれる真菌が原因である場合が多い。
このマラセチア菌はアクネ菌等と同じく、皮膚にもともと存在する常在菌(カビ)の1種であるが、このマラセチア菌とアクネ菌は皮脂や湿気の多い場所を好むため、汗をかいたまま放置すると、これらの菌類の活動が活発になりニキビが出来やすい環境を作り上げてしまうことになるで注意が必要である。
では、これらのニキビを効果的に予防するにはどうすれば良いのか。
ニキビの効果的な予防方法
では、筋トレがニキビの直接的な原因とならないようにするためにはどうすれば良いのかを順番に見ていこう。
1.通気性の良いジムウェアを選ぶ
上記で述べたように、汗を書いた状態を放置するとニキビの原因菌であるマラセチア菌とアクネ菌の繁殖を手助けすることになってしまう。よって、ニキビに悩んでいる人の場合は、コンプレッションウェアなどの熱や湿気がこもりやすいウェアを極力避け、通気性の良いタンクトップなどのジムウェアを着用することで菌の繁殖を抑えることができる。
![ワキ毛](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/01/20180628armpit-min.jpg?resize=456%2C394&ssl=1)
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2.トレーニング後はすぐにシャワーを浴びる
![ニキビ 予防のシャワー](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/02/shower-1027904_1920-min.jpg?resize=496%2C332&ssl=1)
大抵のジムは風呂やシャワーが併設されている場合が多い。したがって筋トレ後すぐにシャワーを浴びることにより皮脂や汗をきれい素早く洗い流して皮膚を清潔に保つことができる。
アクネ菌やマラセチア菌は汗などの湿気を好むのできれいなシャワー後は身体を清潔なタオルでしっかりとふき取ることが重要となる。
3.タンパク質を過剰に摂取しない
![高タンパク質食材で筋肥大](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2017/12/AdobeStock_13921339312-min.jpg?resize=500%2C333&ssl=1)
筋肥大を目指す場合、筋肉が大きく成長するために必要なタンパク質の1日当たりの摂取目安量は体重(kg)×2~3 gとなっている。これ以上のタンパク質の摂取は内臓に大きな負担がかかるといった負の要素が増大するのでお勧めできない。
1日に必要なタンパク質量についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事を参考にして頂きたい。
➡<参考>タンパク質(プロテイン)は結局のところ1日に何 g摂取すべきか
4.基本的なニキビケアを徹底して行う
ニキビ予防の一番の方法は肌を清潔に保つために洗顔を正しく行い、洗顔後は保湿を行うことである。ニキビを早く治そうとするあまり洗顔を何度も行ったり、強く摩るよう洗顔を行うと皮脂を落とし過ぎてしまい、肌が乾燥してしまう。そして乾燥した肌はそれを補うために過剰な皮脂を分泌するためニキビ予防には逆効果となる。
したがって、優しく洗顔を行った後はローションや乳液などで肌の保湿を心掛けて皮脂が過剰に分泌されないように努めよう。
私がいろいろ試してニキビ予防に最も効果のあったのがNOVのアクネシリーズである。NOVのアクネシリーズは低刺激でありながらも洗顔後はすっきりし、肌がカピカピにならない点が大変気に入っている。
また、ニキビ跡で真剣に悩んでいる人は同じくNOVから発売されているコンシーラーを使うと良い。このコンシーラーを使えば大抵のニキビ・ニキビ跡をきれいに隠すことができるので是非試してもらいたい。
筋トレとニキビの関係のまとめ
![ニキビ](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/03/Pimple-min-1.png?resize=602%2C347&ssl=1)
今回の記事では、筋トレとニキビの関係について科学的視点でメスを入れてみました。
筋トレがニキビの直接的な原因とならないようにするには以下の点に気を付けておけば問題ないだろう。
ニキビ予防のために注意したいポイント
- ニキビが出来ても気にし過ぎない
- タンパク質を過剰に摂取しない
- 汗はこまめにふき取る
- 筋トレ後はシャワーを浴びる
- 通気性の良いウェアを着用する
- 洗顔は優しく行う
- 洗顔後は保湿を行う
今日も筋肥大を目指してトレーニングを頑張ろう!
《参考文献》
[1] A Basic Guide to Acne Mechanica | very well health