ある人は、筋肥大には10レップス×3セットが最適であると言うだろう。
はたまた、ある人は筋肥大には8レップス×4セットが最も効率的だとと主張するだろう。
いやいや、筋肥大にはガツンと高重量でアプローチしないとダメだという人は、5レップス×4セットを強く推してくるだろう。
コンテンツ
筋肥大に関する重要ポイント
つまり、筋肥大(筋量アップ)を目指すには、7~12レップの範囲でトレーニングを行えば良いことになる。
実は、この疑問をスッキリと解決してくれるキーパーソンが、トレーニングボリュームという概念なのである。
筋肥大のカギを握るのは レップ数 よりもトレーニングボリューム
実は、これまでに発表された多くの研究により、筋肥大の成果を大きく左右する張本人は、レップ数などではなく、トレーニングボリュームであることが明らかとなっているのである。
トレーニングボリュームとは、レップ数、使用ウエイト重量、そしてセット数を掛け合わせた値で定義される指標であり、分かりやすく表記すると、
トータルボリューム=“レップ数×扱う重量×セット数”
で定義される。
そして、これまでに報告された複数の研究成果[1~3]により、セット数とレップ数の組み合わせが異なるトレーニングを行ったとしても、トレーニングボリュームが等しくなる限り、筋肥大の成果(筋肉増加量)はほぼ同じとなることが明らかとなったのだ。
超重要ポイント
扱うウエイト重量やレップ数にかかわらず、最終的なトレーニングボリュームが同じである限り、筋肉の増加量は同じになる。
分かりやすい具体例
ここで、ウエイト重量・レップ数・セット数の組み合わせは異なるが、トータルボリュームは互いに等しい2種のトレーニングメニュー(トレーニングA、トレーニングB)を考えてみる。
まずはトレーニングA。
そしてトレーニングB。
上記のトレーニングAとトレーニングBでは、扱うウエイト重量、レップ数、そしてセット数の組み合わせが異なり、全く違うトレーニング内容のように感じるかもしれないが、両トレーニングのトータルボリュームはいずれも3000となりトータルボリュームの値は等しいことが分かる。
また、この実験結果を強くサポートするその他の研究報告[1~3]をいくつか紹介しよう。
つまり、これらの事実により、次の重要ポイントを導き出すことができる。
トレーニングボリュームの観点から筋肥大に最適なレップ数を導く
ここで簡単な例を挙げてみよう。
前者の場合のトータルボリュームは100×3=300、そして後者の場合のトータルボリュームは、80×8=640となる。
最大筋力の向上を目指すには高負荷トレーニングを行うべし
これまでの先人たちの経験と複数の研究報告[2]を基にすると、筋肥大と筋力アップを同時に達成したい場合は、高負荷・低レップトレーニングをトレーニングメニューに取り入れるべきである。
というのも、先ほど紹介した研究報告[1,2]によれば、使用するウエイト重量に関わらず、トレーニングボリュームが等しい限り筋肉増加量は等しくなったが、最大筋力については、高負荷のウエイトを扱ったグループにおいて顕著に高い伸び率となることが明らかとなったのだ。
高負荷低レップトレーニングばかりを行う問題点
これまでに紹介したように、筋肉増加量はトレーニングボリュームに比例する。
つまり、高負荷低レップトレーニングばかりを行うと必然的にレップ数が低下するため、それに合わせてトータルボリュームも低下する。
90 kg×10 reps×4 sets=トータルボリューム“3600”
120 kg×5 reps×6 sets=トータルボリューム“3600”
一般に、高負荷トレーニングだけで「筋肥大に十分となるトレーニングボリューム」を確保しようとすると、セット数をむやみに増やすことになり、トレーニング時間が長くなるというデメリットが生じるだけでなく、高負荷トレーニングは関節や筋肉に大きな負担をかけることになるので怪我のリスクが増大するというデメリットも生じてしまう。
したがって、最大筋力アップと筋肥大の両方を効率よく達成するには、高負荷トレーニング(~5 RM)と中負荷トレーニング(8~12 RM)をうまく組み合わせて、トレーニングボリュームを十分に確保するように努めなければならない。
強くなりたい、筋肉を大きくしたいという思いでひたすら高重量トレーニングを行ってしまうと筋肥大は思うように起こらなくなるので注意したい。
筋肥大に最適な レップ数 のまとめ
筋肥大を目的とする場合、セット数とレップ数の組み合わせに深くこだわる意味はあまりなく、筋肥大に十分なトレーニングボリュームを確保し、幅広いレップ範囲(5~20 RM)で筋肉を刺激することが重要となる。
なぜ幅広いレップ範囲でトレーニングを行うことが筋肥大にはより効果的なの?
そして、筋肥大トレーニングにおいては以下のようにレップ数を設定すると良い。
筋肥大とレップ数の関係についてさらに詳しく知りたい人は以下のページをご覧ください(筋肥大に最適なレップ数の取り方の具体例を紹介しています)。
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参考文献
[1] Schoenfeld BJ, et al (2014) Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained men.
[2] Schoenfeld BJ, et al (2015) Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men.
[3] Weiss A, et al (2000) High intensity strength training improves strength and functional performance after stroke