【筋肥大と レップ数 】筋肥大に最も効果的な レップ数 とは

[記事公開日]2017/12/26
[最終更新日]2018/06/21

 

これまでに発表された文献データを基にして、筋肉量を最も効率的に増加させる「筋肥大トレーニングに最適なレップ数」を今一度確認し、日々のトレーニング効率をさらに高めて筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出そう。

 

レップ数

 

ある人は、筋肥大には10レップス×3セットが最適であると言うだろう。

はたまた、ある人は筋肥大には8レップス×4セットが最も効率的だとと主張するだろう。

いやいや、筋肥大にはガツンと高重量でアプローチしないとダメだという人は、5レップス×4セットを強く推してくるだろう。

 

果たして、筋肥大に最適なレップ数は結局のところ何レップがベストなのか?

 

これまでに発表された文献データ[1~3]に基づいてその答えを今日明らかにしよう。



筋肥大に関する重要ポイント

筋肥大に最適なレップ数

 

一般的に、1セットにつき1~6 RM(RM:最大反復回数 )のウエイトでトレーニングを行うと、最大筋力の向上に効果があり、7~12レップが筋肥大に、そして12レップ以上になると筋持久力の向上に効果的であることが知られている。

 

つまり、筋肥大(筋量アップ)を目指すには、7~12レップの範囲でトレーニングを行えば良いことになる。

 

では、それ以外のレップ範囲(1~7レップ、あるいは13レップ以上)で行うトレーニングは筋肥大には効果が無いのか?

 

実は、この疑問をスッキリと解決してくれるキーパーソンが、トレーニングボリュームという概念なのである。


筋肥大のカギを握るのは レップ数 よりもトレーニングボリューム

筋肥大に最適なレップ数

 

実は、これまでに発表された多くの研究により、筋肥大の成果を大きく左右する張本人は、レップ数などではなく、トレーニングボリュームであることが明らかとなっているのである。

 

トレーニングボリュームとは、レップ数使用ウエイト重量、そしてセット数を掛け合わせた値で定義される指標であり、分かりやすく表記すると、

トータルボリューム“レップ数×扱う重量×セット数”

で定義される。

​​

そして、これまでに報告された複数の研究成果[1~3]により、セット数とレップ数の組み合わせが異なるトレーニングを行ったとしても、トレーニングボリュームが等しくなる限り、筋肥大の成果(筋肉増加量)はほぼ同じとなることが明らかとなったのだ。

超重要ポイント

扱うウエイト重量やレップ数にかかわらず、最終的なトレーニングボリュームが同じである限り、筋肉の増加量は同じになる。

 

 

分かりやすい具体例

パーシャルレップ

 

ここで、ウエイト重量・レップ数・セット数の組み合わせは異なるが、トータルボリュームは互いに等しい2種のトレーニングメニュー(トレーニングA、トレーニングB)を考えてみる。

まずはトレーニングA。

 トレーニングA 

ベンチプレスを100kg×3レップ×10セット行った場合のトレーニング

(この時のトータルボリュームは100kg×3レップス×10=3000)

 

そしてトレーニングB。

 トレーニングB 

ベンチプレスを75kg×10レップ×4セット行った場合のトレーニング

(この時のトータルボリュームも75kg×10レップス×4=3000)

 

上記のトレーニングAとトレーニングBでは、扱うウエイト重量、レップ数、そしてセット数の組み合わせが異なり、全く違うトレーニング内容のように感じるかもしれないが、両トレーニングのトータルボリュームはいずれも3000となりトータルボリュームの値は等しいことが分かる。

 

そして、トレーニングAを行ったグループとトレーニングBを行ったグループのそれぞれの筋肉増加量を比較したところ、両グループ間において筋肉増加量はほぼ同じになることが研究により分かった[1]。

 

また、この実験結果を強くサポートするその他の研究報告[1~3]をいくつか紹介しよう。

 

研究報告1
3 RM(3レップスで反復限界)のウエイトを用いた場合と10 RMのウエイトを用いた場合を比較した場合において筋肥大の効果(筋肉増加量)はほぼ同じ値を示した(トータルボリュームは同じ)。

 

研究報告2
8~12 RMのウエイトを用いた場合と20~25 RMのウエイトを用いた場合を比較した場合において筋肉増加量はほぼ同じ値を示した(トータルボリュームは同じ)。

 

研究報告3
3~5 RMのウエイトを用いた場合と9~11 RMのウエイトを用いた場合を比較した場合において筋肉増加量はほぼ同じ値を示した(トータルボリュームは同じ)

 

つまり、これらの事実により、次の重要ポイントを導き出すことができる。

 

!重要ポイント!
トレーニングボリュームが等しくなる限り、筋肥大効果(筋肉増加量)もほぼ等しくなる。



トレーニングボリュームの観点から筋肥大に最適なレップ数を導く

 

ここで簡単な例を挙げてみよう。

 

ベンチプレスを100 kg×3 レップ行う場合と80 kg×8レップ行う場合を比較して、どちらがより筋肥大に効果的なトレーニングであるのかを考えてみよう。

 

前者の場合のトータルボリュームは100×3=300、そして後者の場合のトータルボリュームは、80×8=640となる。

したがって、80×8レップで行うトレーニングの方がトータルボリュームを大きくとることができるため、筋肥大の観点からはより効果的なトレーニングであると言える。

 

ポイント
筋肥大を主たる目的としてトレーニングを行う場合は、レップ数にこだわり過ぎずにトレーニングボリュームを多く取れるようにウエイト重量とレップ数を設定するのが望ましい。

 

 

最大筋力の向上を目指すには高負荷トレーニングを行うべし

筋肥大に最適なレップ数

 

これまでの先人たちの経験と複数の研究報告[2]を基にすると、筋肥大と筋力アップを同時に達成したい場合は、高負荷・低レップトレーニングをトレーニングメニューに取り入れるべきである。

 

というのも、先ほど紹介した研究報告[1,2]によれば、使用するウエイト重量に関わらず、トレーニングボリュームが等しい限り筋肉増加量は等しくなったが、最大筋力については、高負荷のウエイトを扱ったグループにおいて顕著に高い伸び率となることが明らかとなったのだ。

 

つまり筋肥大と最大筋力アップの両方を目指すためには、最大筋力アップに効果的である高負荷・低レップトレーニング筋量アップに効果的である中負荷・中レップトレーニング(=一般的な8~12 RMの筋肥大トレーニング)の両方をトレーニングメニューに取り入れることが合理的な選択となる。

 

 

高負荷低レップトレーニングばかりを行う問題点

 

これまでに紹介したように、筋肉増加量はトレーニングボリュームに比例する。

つまり、高負荷低レップトレーニングばかりを行うと必然的にレップ数が低下するため、それに合わせてトータルボリュームも低下する。

 

よって、高負荷低レップトレーニングだけでは、筋肥大のポテンシャルを最大限に引き出すことはできない。

 

中負荷トレーニング
90 kg×10 reps×4 sets=トータルボリューム“3600”

 

高負荷トレーニング
120 kg×5 reps×6 sets=トータルボリューム“3600”

 

一般に、高負荷トレーニングだけで「筋肥大に十分となるトレーニングボリューム」を確保しようとすると、セット数をむやみに増やすことになり、トレーニング時間が長くなるというデメリットが生じるだけでなく、高負荷トレーニングは関節や筋肉に大きな負担をかけることになるので怪我のリスクが増大するというデメリットも生じてしまう。

 

したがって、最大筋力アップと筋肥大の両方を効率よく達成するには、高負荷トレーニング(~5 RM)と中負荷トレーニング(8~12 RM)をうまく組み合わせて、トレーニングボリュームを十分に確保するように努めなければならない。

強くなりたい、筋肉を大きくしたいという思いでひたすら高重量トレーニングを行ってしまうと筋肥大は思うように起こらなくなるので注意したい。

 

 

筋肥大に最適な レップ数 のまとめ

筋肥大に最適なレップ数

 

筋肥大を目的とする場合、セット数とレップ数の組み合わせに深くこだわる意味はあまりなく、筋肥大に十分なトレーニングボリュームを確保し、幅広いレップ範囲(5~20 RM)で筋肉を刺激することが重要となる。

 

なぜ幅広いレップ範囲でトレーニングを行うことが筋肥大にはより効果的なの?

 

そして、筋肥大トレーニングにおいては以下のようにレップ数を設定すると良い。

具体的方法
トレーニングの始めの30%を高負荷トレーニング(~6 RM)に充て、残りの70%を中負荷トレーニング(7~12RM)に充てると、最大筋力の向上を狙いつつトレーニングボリュームを確保し、効率的に筋肥大を達成することができる。

 

筋肥大とレップ数の関係についてさらに詳しく知りたい人は以下のページをご覧ください(筋肥大に最適なレップ数の取り方の具体例を紹介しています)。


 

参考文献
[1] Schoenfeld BJ, et al (2014) Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained men.
[2] Schoenfeld BJ, et al (2015) Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained Men.
[3] Weiss A, et al (2000) High intensity strength training improves strength and functional performance after stroke