果たして大豆食品はテストステロン値の低下を招き、筋肥大に悪影響を与えるのか?
コンテンツ
大豆 がテストステロン値の低下を招く?
![](https://i0.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/soyproduct-min.jpg?resize=631%2C420&ssl=1)
トレーニーの中には、納豆や豆腐、あるいは豆乳といった大豆食品をタンパク質源として日常的に摂取している人もいるだろう。
代表的な大豆食品には次のようなものが挙げられる。
納豆
豆腐
豆乳
枝豆
味噌
醤油
多くのネットメディアでは「豆腐や納豆をはじめとする大豆食品にはイソフラボンが多く含まれており、このイソフラボンが女性ホルモンに似た働きをし、体脂肪の蓄積を促進するだけでなく、タンパク同化作用を持つテストステロン値を下げる作用がある」という記述をちらほら見かけることがある。
それでは早速、これらの内容に対する現在の科学的見解を見てみることにしよう。
![大豆](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/soy-1420508_1920-min-e1529233321255-300x159.jpg?resize=677%2C359&ssl=1)
大豆食品には、フィトエストロゲン(植物エストロゲン、またはイソフラボン)と呼ばれる女性ホルモンに似た働きをする物質が含まれている。
そしてこのフィトエストロゲンが我々の体内で分泌されるエストロゲン(女性ホルモン)とテストステロン(男性ホルモン)に作用すると、女性ホルモンの作用が増大し、テストステロン値に影響を及ぼすことがこれまでの調査で明らかとなっている。
しかし、実のところ、大豆由来のフィトエストロゲンの影響力は、我々の体内で分泌されるエストロゲンやテストステロンが持つ影響力に比べて小さいことがこれまでの調査により明らかとなっているのだ。
大豆 食品はテストステロン値を低下させない
![大豆](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/soy-milk-2263942_1920-min.jpg?resize=614%2C428&ssl=1)
2010年に発表されたメタ分析[1]では、大豆食品または大豆由来のサプリメント摂取することでテストステロン値が低下するという事実は認められないと結論付けている。
また、2001年に岐阜大学から発表された研究報告[2]によると、男性被験者らに1日あたり400 mlの豆乳を飲ませ、その8週間後にテストステロン値を測定したところ、テストステロン値には変化がみられなかったと結論付けられている。
ソイプロテインもテストステロン値を低下させない
![大豆](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/soyprotein-min-1.jpg?resize=614%2C479&ssl=1)
これまでにも、ソイプロテインがテストステロン値を低下させるかどうかについての研究報告が多くなされてきた。
![大豆](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/soyproteins-min.jpg?resize=603%2C452&ssl=1)
例えば、2016年に発表された、トレーニングを行う男性被験者らにソイプロテイン(22 g/日)を12週間にわたり摂取させた研究報告[3]によると、ソイプロテインの継続摂取によるテストステロン値の低下は認められなかったと結論付けられている。
さらに、ソイプロテインの摂取量を50 g/日に増やして行われた上記同様の研究[4]においても、テストステロン値の低下は認められなかったと結論付けられている。
![ボディビル](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/05/biceps-min.jpg?resize=525%2C359&ssl=1)
それだけでなく、ソイプロテインを摂取したグループとホエイプロテインを摂取したグループにおける筋肉増加量を比較したところ、両者でほぼ同じ値になったという。
これらの報告をまとめると、豆乳をはじめとする大豆食品やソイプロテインを継続的に摂取してもテストステロン値は低下しないと言えそうである。
大豆の摂取によりテストステロン値が低下したという研究報告
![大豆](https://i0.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/vegan-min.jpg?resize=658%2C438&ssl=1)
この流れでいくと、大豆食品を摂取してもテストステロン値は低下しないと早々に結論付けられそうなのだが、実際はそう簡単にはいかない。
というのも2011年に発表された研究報告[5]によれば、若年男性の被験者らに大豆食品を中心とする食事を継続的に摂取させたところ、テストステロン値が有意義に低下したことが明らかとなったという。
しかし、同研究では被験者らに動物性のタンパク質を一切摂取させずに大豆、野菜、穀物から成る食事管理を続けさせたという制約がついており、これは大豆食品を中心とした食事管理を長期間に渡って行うとテストステロン値が低下する恐れがあることを示唆している。
適量摂取ならテストステロン値は低下しない
![大豆](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/soyok-min.jpg?resize=569%2C296&ssl=1)
これまでに紹介した各研究報告を総括すると、大豆食品を中心とした食事生活を送るような極端な状況にならない限り、大豆食品を継続的に摂取してもテストステロン値を低下させることはないと結論付けることができるだろう。
心配性の人は
![3分割の筋トレ](https://i0.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/thinking-min.jpg?resize=606%2C404&ssl=1)
一般に、大豆食品は肉類に比べて安価であることが多く、また良質なタンパク質を豊富に含んでいるため、普段のタンパク質源として日常的に摂取したいという人も多いはずである。
それでもやはりテストステロン値の低下が少し気になるという方。
その場合は、豆腐か納豆を摂取すると良いだろう。
![大豆](https://i1.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/tofu-min.jpg?resize=703%2C347&ssl=1)
というのも豆腐や納豆は他の大豆食品に比べ、フィトエストロゲンの含有量が少なく、テストステロン値を低下させる影響はさらに小さいと考えられているからである。
ご存知のように、筋肥大の成果を最大限に引き出すにはテストステロン値を普段から高く維持するように努めることが非常に重要になる。
テストステロン値を手っ取り早く高める方法
![就寝前](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/01/sleep-min.jpg?resize=623%2C432&ssl=1)
テストステロン値を手っ取り早く高める具体的な方法はずばり十分な睡眠時間を確保することである。
2011年に発表された研究報告[6]によると、5日間に渡り睡眠時間が8時間から5時間に減少するだけでテストステロン値が10.4%減少することが判明したという。
この事実からも分かるように、十分な睡眠時間を確保する行為は何よりも強力なテストステロンブースターとなるのである。
十分な睡眠時間を確保する以外のテストステロン値を手っ取り早く高める具体的な方法については以下の関連記事にて詳しく解説しているので是非ご覧ください。
大豆とテストステロン値の関係のまとめ
![大豆](https://i2.wp.com/workout-science.com/wp-content/uploads/2018/06/soy-muscle22-min.png?resize=644%2C376&ssl=1)
今回は大豆食品がテストステロン値を低下させるかどうかについて5つの文献に基づいて徹底解明してみました。
結論としては、大豆食品を継続的に大量摂取しない限り、テストステロン値を低下させる心配はまずないと言えそうです。
大豆食品の摂取によるテストステロン値への影響を気にするよりも、睡眠時間を十分に確保したり、テストステロン値を有意義に高める食品やサプリメントを摂取するよう努めることの方が、筋肥大により大きな影響を与えそうである。
参考文献
[1] Hamis in men: results of a meta-analysis [2] Nagata C,et al (2001) Effect of soymilk consumption on serum estrogen and androgen concentrations in Japanese men [3] Reidy PT,et al (2016) Protein Supplementation Has Minimal Effects on Muscle Adaptations during Resistance Exercise Training in Young Men: A Double-Blind Randomized Clinical Trial [4] Douglas Kalman,et al (2007)Effect of protein source and resistance training on body composition and sex hormones [5] Siepmann T,et al (2011) Hypogonadism and erectile dysfunction associated with soy product consumption [6] Rachel Leproult et al (2011) Effect of 1 Week of Sleep Restriction on Testosterone Levels in Young Healthy Men