筋トレを行うトレーニーのほとんどが摂取しているサプリメントといえば、プロテインパウダー。
この記事を読んでわかる事
- 筋肥大に最適なプロテインパウダーの種類
- プロテインパウダー摂取のタイミング
- 推奨されるプロテインパウダーの摂取量
- プロテインパウダーは何と一緒に摂取すべきか
コンテンツ
プロテインパウダー の種類について
プロテインパウダーには、牛乳を原料とするホエイプロテイン(およびカゼインプロテイン)、大豆を原料とするソイプロテイン、あるいは卵を原料とするエッグプロテインパウダーというように、実に多種にわたるプロテインパウダーが各メーカーから発売されている。
しかし、これら全てのプロテインパウダーがどれも同じ筋肥大効果を持っている訳ではないのである。
例えば、2015年に発表された研究報告[1]によれば、ソイプロテインをはじめとする植物性プロテインは、ホエイプロテインなどの動物性プロテインに比べ、筋タンパク質合成応答を効果的に高める働きのあるロイシンの含有量が少なく、筋タンパク質合成を最適化できない可能性が示唆されているのである。
その一方で、ホエイプロテインは、必須アミノ酸の含有率の高さや、タンパク質効率(=吸収効率)の高さの観点から筋肥大において非常に優れたタンパク質源であり、最も良質なタンパク質の一種なのである[2]。
また、同研究報告によれば、ソイプロテインなどの植物性プロテインの摂取により筋タンパク質合成を最適化したい場合には、ホエイプロテインおよびカゼインプロテインを摂取する場合に比べ、より多くのパウダーを摂取した方が良いと述べられている。
さらに、摂取するタンパク質源が良質なタンパク質に分類される限り、どのタンパク質をしても筋タンパク質合成効率において大きな差は生まないと考えられている。
例えば、牛乳を原料とするホエイプロテインおよびカゼインプロテインは良質なタンパク質源に分類されるが、ホエイプロテインは吸収速度が速く、カゼインプロテインは吸収速度が遅いという特性の違いがあるため、素早いタンパク質の補給が望まれる起床直後などのタイミングではホエイプロテインの摂取が望ましい。
逆に、就寝中の筋タンパク質合成レベルを長時間維持したい場合には、吸収速度のより緩やかなカゼインプロテインを就寝前に摂取するのが望ましい[3]。
プロテインパウダー 摂取のタイミング
最もポピュラーなプロテインパウダー摂取のタイミングとして挙げられるのが筋トレ後45分間のゴールデンタイムと呼ばれるタイミングだろう。
しかし、筋トレ直後のプロテインパウダーの摂取は我々が考えているよりも急いで摂取する必要はない。
というのも、筋トレを行う前に十分かつ適切な栄養摂取(=プレワークアウトミールと呼ばれる)を行っておけば、そのタイミングからおよそ5~6時間は筋タンパク質合成レベルが高く維持された状態が持続することが分かっている。
例えば、筋トレの2時間前にプレワークアウトミールを摂り、その後2時間にわたり筋トレを行ったとしよう。
この時、筋トレを終えた時点でプレワークアウトミールの摂取から4時間が経過したことになるが、この時点では依然として筋タンパク質合成レベルが高い状態が維持されているため、筋トレ直後に急いでプロテインパウダーを摂取する必要はないのである。
事実、2013年に発表された研究報告(上の論文)[4]においても、筋トレ前にプレワークアウトミールを摂取している限り、筋トレ直後のプロテインパウダーの摂取は必ずしも必要ではないと述べられている。
また、別途研究報告[5]においても筋トレ後に行う栄養摂取の最適なタイミングは筋トレ後1~2時間の間に摂取することが推奨されていることや、筋タンパク質合成の感度は筋トレ後1~3時間経過時点から高まり始める[6]ことを考慮すると、筋肥大を最適化するプロテインパウダー摂取のタイミングについて、次のポイントを導き出すことができる。
- 筋トレ前にプレワークアウトミールを必ず摂取しておく
- 筋トレ後のプロテインパウダー摂取の最適なタイミングは筋トレ直後~2時間
また、筋肥大のポテンシャルを最大限に高めるためのプレワークアウトミールの具体的内容やタイミング等の詳しいポイントについては、以下の関連記事で分かりやすくまとめているので是非ご覧ください。
推奨されるプロテインパウダーの摂取量
筋肥大効率を最適化するには、1日あたりに推奨されるタンパク質量を確保することが何より重要となる。
増量期に推奨される1日あたりのタンパク質摂取量は体重1 kgあたり1.2~2.2 gであるとされるが[7]、トレーニング強度や活動レベルといった諸条件により筋肥大の最適化に必要となるタンパク質量は人により異なるため、1日あたり最低でも体重×2.2 gのタンパク質を摂取しておくのが望ましい(なお、カロリー不足により筋肉が非常に落ちやすくなる減量期には、増量期よりも多くのタンパク質摂取が必要となる)。
ゆえに、普段の食事だけでは補え切れない分のタンパク質をプロテインパウダーから摂取すれば良い。
例えば、私(体重:86 kg)の場合を例に挙げると、1日あたりに推奨されるタンパク質の摂取量は86×2.2 g≒190 gとなる。
そして、普段の食事から140 gのタンパク質を摂取しているとすると、プロテインパウダーで補うべきタンパク質量は(190-140=)50 gとなる。
この50 gのプロテインパウダーを1日におけるいずれかのタイミングで摂取することになるが、オススメは、
- 起床直後
- 昼食と夕食の間
- 筋トレ後
- 就寝前
のいずれかのタイミングで摂取すれば良い。
プロテインパウダーは何と摂取すべきか
プロテインパウダーの摂取に関して頻繁に寄せられるご質問のひとつに「プロテインパウダーは何と混ぜて摂取すべきですか?」というご質問が挙げられる。
プロテインパウダーを牛乳などと混ぜて摂取すると、プロテインパウダーの吸収速度が緩やかになり、素早いタンパク質補給ができなくなるのではないかと疑問に思われる方も少なくない。
事実、2014年に発表された研究報告[8]によれば、ジュースや牛乳などといった炭水化物や脂質を含む他の飲料物と一緒にプロテインパウダーを摂取した場合、タンパク質の吸収速度は緩やかになることが明らかとなっている。
しかし、プロテインパウダーを単体で摂取した場合と、他の飲料物と混ぜて摂取した場合とでは、筋タンパク質の合成率には大きな違いが認められないことも同時に分かったのだ。
しかし現実的には、増量期には牛乳やオレンジジュースなどに混ぜて摂取するのが合理的であると考えられる。
というのも、プロテインパウダーを炭水化物や脂質などを含む他の飲料物と一緒に摂取することで、より最適なアナボリック環境を作り出すことができるという研究報告が別研究機関から発表されているからである[9]。
また、プロテインパウダーを他の飲料物と摂取することで、1日あたりの総摂取カロリーを容易に増大させることができるという利点もある。
一方、減量期においては、1日あたりの総摂取カロリーを低く抑えるという目的で、プロテインパウダーは必ずしも他の飲料物と混ぜて摂取する必要はないと考えられる(飲料物にもカロリーがあるため)。
プロテインパウダー の基本事項のまとめ
今回は、筋肥大の効率を最大限に高めるためのプロテインパウダー摂取時におけるポイントを4つ詳しく解説しました。
本記事で紹介した4つのポイントを改めてまとめておくので、是非参考にして下さい。
本日のポイント
- 筋肥大効率を最大化するにはホエイプロテインかカゼインプロテインを選択しよう
- 筋トレ後のプロテインパウダー摂取の最適なタイミングは筋トレ直後~2時間
- 食事から補え切れない分のタンパク質をプロテインパウダーで適宜補おう
- 増量期には他の飲料物と混ぜて、減量期には単体でプロテインパウダーを摂取しよう
参考文献
[1] van Vliet S,et al (2015) The Skeletal Muscle Anabolic Response to Plant- versus Animal-Based Protein Consumption
[2] Pasin, G.,et al (2000) whey products and nutrition
[3] Kouw, Imre Wk, et al (2017) Protein Ingestion before Sleep Increases Overnight Muscle Protein Synthesis Rates in Healthy Older Men
[4] Alan A,et al (2013) Nutrient timing revisited: is there a post-exercise anabolic window?
[5] Phillips SM,et al (1997) Mixed muscle protein synthesis and breakdown after resistance exercise in humans
[6] BJ Schoenfeld,et al (2017)Pre- versus post-exercise protein intake has similar effects on muscular adaptations
[7] Phillips SM (2004) Protein requirements and supplementation in strength sports
[8] Stefan H. M. Gorissen (2014) Carbohydrate Coingestion Delays Dietary Protein Digestion and Absorption but Does Not Modulate Postprandial Muscle Protein Accretion
[9] Wang, Wanyi, et al (2017) Co-Ingestion of carbohydrate and whey protein increases fasted rates of muscle protein synthesis immediately after resistance exercise in rats