効率的に 脂肪燃焼 を促すには有酸素運動よりも筋トレを優先して行うべし

[記事公開日]2017/12/30
[最終更新日]2018/09/02

脂肪燃焼 を効率的に行うには



減量を決意したとき、“有酸素運動”が最初に頭に浮かぶのではないだろうか。

もちろん、有酸素運動は脂肪燃焼に効果がある。

例えば、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動時には体脂肪がエネルギー源として優先的に使用される。

有酸素運動による脂肪燃焼効果はこれまでに数多くの論文により示されている。

しかし、

このように現実はこれとはちょっと話が異なる

減量を決意し、日々のルーティンに有酸素運動を取り入れてみたが思ったよりも脂肪燃焼効果が得られなかったという経験はないだろうか。

あるいは、かなりの高頻度で有酸素運動を行っているにもかかわらず身体に変化がほとんど見られない人はあなたの周りにいないだろうか。

 

 

有酸素運動で体脂肪を効率的に燃焼させるには、心拍数を一定に保ちながら(目標心拍数とよばれる)運動を継続する必要がある。

“息切れしない程度の運動強度が脂肪燃焼には効果的”なんて言葉をよく耳にする。

“息切れしない程度の運動強度”というのは“低強度の運動”と言い換えることができる。

 

有酸素運動を過度に期待しない

“低強度の運動”は“低エネルギー消費”とも言い換えることができ、例え体脂肪を燃焼できたとしても、そのエネルギー消費量は“低エネルギー消費量”であり、有酸素運動で脂肪燃焼の効果を実際に得るには、継続的に1時間以上費やす必要がある

つまり、効率的な減量は有酸素運動を主体にすべきではない

 

さらに多忙な日々を送る我々には、有酸素運動に毎日1時間以上もの時間を費やすのが難しい場合が多い。​

 

 

そこで、筋トレの出番である。

 

 

減量時においても筋トレは効果を発揮する

 

筋トレは“高強度な運動”であり、カロリー消費も有酸素運動に比べ非常に高い。

というのも、筋トレにより支配的に動員される速筋(タイプ2)のエネルギー消費は、有酸素運動により主として動員される遅筋(タイプ1)のエネルギー消費に比べて高いからである。

さらに、筋トレのような高強度の運動を行うと、運動中だけでなく、運動後においても継続的にカロリーが消費され続けることが分かっている。

この状態をEPOC(運動後過剰酸素消費量)とよぶ(アフターバーン効果)。

 

EPOC効果(またはアフターバーン効果)

筋トレを行った場合、筋トレ終了後16時間にわたってエネルギー消費が高い状態が持続する効果

また、EPOC効果で消費されるエネルギーの約80%が脂肪を燃焼することで調達される(研究報告[1]より)

 

つまり、長時間行わないと効果が出ない有酸素運動に比べて、筋トレにより脂肪燃焼を行うことで、短時間の間に脂肪燃焼効果を得ることができるだけなく、筋トレにより筋肉群に筋肉が必要であるという信号を送ることができるので、たとえ減量期であっても筋肉量を極力落とすことなく効率的に脂肪燃焼を促進させる環境を作り上げることができるのである。

 

注意すべきこと

有酸素運動を優先して行うと身体は維持に多大なエネルギーを要する筋肉を優先的に分解してエネルギーを取り出そうとする

これにより筋肉量が減少し、結果として基礎代謝量も下がり、最終的に痩せにくい体質へと変化してしまう恐れさえある。

 

脂肪燃焼を効率的に促す筋トレ方法は?

 

 

多くの筋肉群を刺激することのできるコンパウンド種目を行うと良い。

コンパウンド種目にはデッドリフトやスクワット、その他、脚、胸、背中といった体積の大きな筋肉群を優先的に鍛えると良い。

これは、より多くの筋肉群を動員することで、より多くのエネルギーを消費することができるためである。

さらに効率的に脂肪燃焼を促すためには、より多くの筋肉(のタイプ)を動員することのできるレップ数でトレーニングを行うのが望ましい。

すべての筋肉のタイプ(遅筋および速筋)を効果的に動員させるには15~20レップスの高レップトレーニングを行うと良い。

なお、ジムでサーキットトレーニング等のクラスが用意されている場合は、積極的に参加すると良い。

 

 

HIIT(High Intensity Interval Training)などの高強度インターバルトレーニングを行うのも脂肪燃焼には効果が高い。

多忙な日々を送る我々でも、工夫次第で有酸素運動を行わずに体脂肪を効果的に燃焼させることは十分に可能である。

気分転換に有酸素運動を適度に行うのは良いが、有酸素運動に過度に頼りすぎるのは今日でおしまいにしよう。



参考文献

[1] Schuenke MD, et al (2002) Effect of an acute period of resistance exercise on excess post-exercise oxygen consumption: implications for body mass management.