トレーニングパートナー の存在はトレーニング強度およびボリュームを増大させる効果がある

[記事公開日]2017/12/27
[最終更新日]2018/07/01

トレーニングは独りで行う派?それとも誰かと一緒にトレーニングする派?

今回は、トレーニングを誰かと一緒に行うことで得られる驚くべき筋肥大の効果を紹介しよう。

 

この記事を読み終わる頃には、誰かと一緒にトレーニングをしたくなっているかもしれない。



トレーニーの中には、パーソナルトレーナーを付けてトレーニングを行う者、互いにサポートし合う補助者(スポッタ)とトレーニングを行う者、あるいは黙々と単独でトレーニングを行う者がいるだろう。

筋肥大により効果があるのは、単独トレーニング?それとも合同トレーニング?

 

これまでに発表された複数の研究報告[1,2,3]によると、トレーニングパートナーやトレーニングコーチ(パーソナルトレーナー等)がいる環境下でトレーニングを行うと、トレーニングパフォーマンスが向上し、結果として筋力および筋肥大プロセスが増大するというのだ。
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2000年に発表された研究報告[1]によると、20名の普段トレーニングを行う若年男性を対象に、パーソナルトレーナーが指導する環境下および単独の環境下で同一のトレーニングを12週間行わせ、スクワットおよびベンチプレスの最大挙上重量(1 RM)の増加量を測定した(トレーニング初日の1RMと比較)。

 

➡その結果、スクワットおよびベンチプレスのいずれの種目においてもパーソナルトレーナーがいる環境下でトレーニングを行った被験者において最大挙上重量に大きな成長が見られたという。

 

それだけでなく、筋肉の増加量も単独でトレーニングを行う被験者らよりも顕著であったという。

 

この研究の他にも同様の研究が複数行われており、いずれの研究報告においてもトレーナーなどの指揮下にある被験者らにおいて、筋力、筋肉量、その他競技パフォーマンスに顕著な向上が見られたと報告されている。

つまり、ここまでの要点をまとめると・・・

トレーナーの指揮下でトレーニングを行うと、トレーニングパフォーマンスが向上するため必然的にトレーニングボリュームが増大し、その結果、筋肥大が加速する。

 

しかし、これは余りにも当たり前な事実であり、報告するまでもない面白みに欠ける事実なのだが、驚くべき事実はここからである。


トレーニングパートナー とトレーニングを行うことも筋肥大には効果台大

 

さらに驚くべき事柄は、上記と同様の効果をもたらすためには、必ずしもトレーナーを付けてトレーニングを行う必要はなく、トレーニングを共に行うトレーニングパートナーと一緒にトレーニングを行うことでも上記と同様の効果が得られるというのである。

 

トレーニングパートナーは、フォーストレップを可能にする補助者でありながら、良きライバルでもある。

 

➡つまり、トレーニングパートナーと共にトレーニングを行うことにより、互いにモチベーションを高めながら精神面およびフィジカル面の両面でのパフォーマンスの向上を図ることが可能になるのである。

 

さらに、2003年に行われた研究[2]によると、トレーニングの行方を単に見守る人がいる環境下でトレーニングを行うだけでも、トレーニングパフォーマンスが劇的に向上するとの報告がなされている。

 

この研究報告をサポートするように、同年の他の研究報告[3]によると、観衆が見守る環境下でベンチプレスの最大挙上重量(1RM)を測定したところ、重量に大きな伸びが見られたという(見守るのは一般の観衆であり、他のアスリート選手がいる中でトレーニングを行うとそのパフォーマンスは低下するという報告がなされている(➡恐らくプレッシャーによるためだと考えられる)。

 

つまり・・・
トレーニングを共に行う者が、トレーナーであれ、トレーニングパートナーであれ、はたまた観客(ジムに居合わせた他のトレーニー)であれ、彼らがすぐ側にいる環境下でトレーニングを行うと、良い結果を残そうという意欲が高まり、結果としてトレーニングパフォーマンスが向上するのである。

 

この効果は社会的促進効果と呼ばれている。

 

 

社会的促進効果とは

社会的促進効果

 

社会的促進効果とは、心理学で用いられる用語であり、簡単に言うと、他者が傍らで見ているだけで、それが良い刺激となり、単独で作業を行うときよりもパフォーマンスが向上し、結果、高い目標達成が可能になる現象のことである。

 

 

社会的促進効果が筋トレにもたらす2つの効果

 

効果1.他者が傍らにいる中でトレーニングを行うと、トレーニングの総レップ数および総挙上重量が向上する

 

➡トレーニングボリュームが増大し、筋力アップ・筋肥大の加速が期待できる。

 

効果2.他者がいることによりフォーストレップが可能になる

 

パートナー(スポッタ)がいることで、互いに刺激し合いながらも、サポートし合えるため安心感が生まれ、単独では挑戦しないような重量のウエイトでのトレーニングが可能となるだけでなく、フォーストレップも可能となり、トレーニングボリュームが増大する。

 

 

まとめ

トレーニングパートナー

 

第三者の存在下でトレーニングを行うことで社会的促進効果が生まれ、トレーニングボリュームが増大するという面白い内容を今回は取り上げてみた。

当然のことながら、パーソナルトレーナーやコーチ等の指導下でトレーニングを行うことで、モチベーションの向上、補助の利用、そして正しい知識およびテクニックの習得といったメリットを享受することができる。

 

➡しかし、ジムに偶然居合わせた他のトレーニーやトレッドミルを懸命に行うおばちゃん軍団がいる中でトレーニングを行うだけでも、良い結果を残したい・見せたいという意欲が高まり、結果、トレーニング強度が増大する可能性があることを示唆する複数の研究は非常に興味深いものである。

 

トレーニングボリュームを高めたいなら、トレーニングパートナーを探すことを検討してみよう!

トレーニングパートナー

 

万が一ジムが混んでいる場合は、ジムに居合わせた全てのトレーニーが自分に声援を送ってくれる観客だと思って、常にトレーニングでベストを尽くすことを目標にしよう!



参考文献
[1] Mazzetti SA, et al (2000) The influence of direct supervision of resistance training on strength performance. Medicine & Science in Sports & Exercise
[2] Coutts AJ, et al (2003) The effect of direct supervision on a strength coach on measures of muscular strength and power in young rugby league players
[3] Rhea MR, et al (2003) The effects of competition and the presence of an audience on weight lifting performance