誰もが一度は試みたことがあるであろう、減量(ダイエット)。
減量が計画通りに進んでいるかどうかを客観的に判断するには、現在、非常に安い価格で手に入れられるようになった体重計を使用するのが最も確実な方法である。
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やっぱり体重計は役に立つツール
まず初めに、我々トレーニーが筋量・筋力を極力維持したまま減量を行うのに推奨される減量のペースは週あたり体重の0.5~1%であるとされている[1,2] 。
つまり、体重70 kgの一般的なトレーニーであれば、筋肉量を減らすことなく減らすことのできる体脂肪量の上限は(70×0.01=)700 g/週ということになる(週あたり体重の1%のペースで減量した場合)。
この700 g/週という体重の減少量は、体重計を使用しない限り客観的な見た目で判断することは難しい。
事実、体重計を併用して減量を行うことで、減量の成功確率が上がるだけでなく、体重減少のペースが増大したという報告は数多くなされている[3,4]。
体重計 には毎日乗るべき?
クライアントから最も良く質問されるのが、減量を成功させるにはどのくらいの頻度で体重計に乗るのが良いのか?という質問である。
この疑問に関しては、複数の研究報告[5,6]により、毎日体重をチェックすることで体重の減少効率を向上させられる(つまり、体重を最も効率的に落とせる)と報告されている。
また、別途研究報告においても、月単位よりも週単位、週単位よりも日単位で体重計を計測する方が減量のペースを効果的に速められることが示されている[7,10]。
さらに、毎日体重計に乗る習慣のある人は、普段体重計に乗る習慣のない人と比較して、1日当たりの摂取カロリーが低くなる傾向にあり、なおかつ日々の活動レベルが高くなる傾向にあることが分かっている[7]。
これら複数の理由が、毎日体重計に乗る習慣を身に着けることが減量の効率を向上させるキーファクターになると言われる所以なのである。
さらに、減量を実際に行った被験者らは、体重を毎日測定する習慣に非常に満足しているというアンケート調査結果も得られたことが分かった[5]。
体重計 に毎日乗ればリバウンド防止にも効果的
減量を成功させた人の多くが経験する減量後の災難。それがリバウンドである。
減量は目標となる数値まで体重を落とせばそれで終わりという訳ではなく、目標体重まで減量を終えた後その体重をいかに維持するかにも気を配る必要がある。
そして、毎日体重計に乗る習慣は減量の効率を向上させる効果だけでなく、リバウンド防止にも効果を発揮することがこれまでの研究報告により明らかとなっている。
最も分かりやすい例を挙げよう。
15 kgを超える減量を成功させ、なおかつ、その後少なくとも1年間リバウンドしなかった被験者ら3000名を対象とした研究報告[8]によれば、減量後に体重計を乗ることを止めてしまった場合、減量後も継続して体重計に乗る習慣を続けた場合と比較して、減量後の体重増加が著しく加速することが明らかとなったという。
また、別途研究報告[9]においても、体重計に毎日、あるいは毎日とはいかなくても可能な限り高頻度で体重計に乗る習慣をつけることで、大食いや、やけ食いを効果的に防止する効果が期待でき、その結果、リバウンドを効果的に防止できることが分かっている。
また、低頻度(月単位)の体重測定ではリバウンド防止の効果は期待できないことが研究により示唆されている[10]。
体重計に毎日乗ることのデメリットはあるのか
ここまでは体重計に毎日乗ることで得られるメリットをたくさん紹介してきたが、毎日体重計に乗ることのデメリットはあるのか。
もちろん、毎日体重を測定する行為自体がストレスの原因となると考える人もいるかもしれない。
私が調べた限り、毎日体重計に乗る行為が我々の心理状態にネガティブな影響を与えると主張する研究報告を見つけることはほぼできなかった。
また、これまでに紹介した複数の研究報告[3,5,6]においても「毎日体重計に乗る行為は、我々の心理状態に悪影響を及ぼすものでは無い」と結論付けられている。
それどころか、毎日体重計に乗る習慣が我々の心理状態にポジティブな影響を与えると主張する研究報告はごまんと見つけることができた。
例えば、毎日体重計に乗ることで減量がうまく進み、またリバウンドも効果的に防止できることからの自分の体型に対する満足度が向上することによる精神面でのプラスの効果が報告されている[11]。
唯一デメリットとして報告されているのが、毎日体重を測定するうちに一種の強迫観念に駆られてしまい、減量のプレッシャー(ストレス)から体重を異常なペースで落とそうとし、過度なダイエットを行ってしまうケースが一定数認められたという研究報告[12]がある。
このケースは特に、過度なダイエット(減量)を行いがちな女性に多く見られる。
しかし、冒頭でも紹介したように、我々トレーニーが減量を行う際は筋肉量保持の観点から週あたりの減量のペースを体重(kg)×0.5~1%で行うことが推奨されているので、減量を開始する前に減量期間を正しく設定して減量に臨めば過度ペースで減量を行う必要も無く、この問題は難なく回避することができるはずである。
減量期における体重計の具体的な活用方法
まず大前提として、体重は1日を通して数kgの範囲で変動するのが普通である。
これにはいくつかの理由が挙げられるが、その主たる理由は体内の水分量、塩分摂取量、その日の体調等によるものである。
また、食後に体重を測るか食前に体重を測るかによっても測定結果は大きく変動する。
また、体重変動の誤差を可能な限り最小限に抑えるために、毎日決まった時間に体重計に乗る習慣を付けておくことをお勧めする(例えば、起床後のトイレ後すぐ等)。
最後のポイントとして、減量の進捗状況は体重計が示す数値に頼りきってしまうのではなく、見た目の変化や、トレーニングパフォーマンス等の他の要素も加味しながら減量計画がうまく進んでいるかを総合的に判断することが重要となる。
毎日体重計に乗るメリットのまとめ
今回は減量を成功させるために是非とも導入したい新習慣「毎日体重計に乗る」のメリットについて文献データ[1~12]に基づき詳しく紹介しました。
本記事の要点を以下に簡潔にまとめておくので減量時に活用してみて下さい。
本日のTAKE AWAY
- 体重計には出来るだけ高頻度で乗る方が良い
- 体重計には毎日乗るが、体重増減のモニターは週単位で
- 体重計に毎日乗ることで減量効率UP+リバウンド防止効果
- 体重計の示す数値で減量の進み具合を客観的に判断
- ポジティブな心理状態へ
参考程度に、現在私が使用している体重計を紹介しておきます。
本記事で使用している体重の追跡グラフはこのスマート体重計で自動的に記録されたデータです。
日々自動的に更新される自分の体重・体脂肪率のデータを見れば筋肥大や減量の進捗状況が一目瞭然で分かるのでこのスマート体重計は非常におすすめのアイテムです。
是非一度チェックしてみて下さい。
また値段を可能な限り抑えたい人は、国産一流ブランドのタニタ、あるいはオムロンのデジタル体重計をお勧めします。
参考文献
[1] Lambert CP,et al (2004) Macronutrient considerations for the sport of bodybuilding
[2] Garthe I,et al (2011) Effect of two different weight-loss rates on body composition and strength and power-related performance in elite athletes
[3] Shieh, C., et al (2016) Self-weighing in weight management interventions: A systematic review of literature
[4] Madigan, C.D. et al (2015) Is self-weighing an effective tool for weight loss: a systematic literature review and meta-analysis
[5] Gokee LaRose, J, et al (2010) Preventing weight gain in young adults: a randomized controlled pilot study
[6] Welsh, E.M, et al (2009) Is frequent self-weighing associated with poorer body satisfaction?
[7] Steinberg, D.M, et al (2013) The efficacy of a daily self-weighing weight loss intervention using smart scales and e-mail
[8] Butryn, M.L, et al (2007) Consistent self-monitoring of weight: a key component of successful weight loss maintenance
[9] Wing, R.R, et al (2007) STOP regain: are there negative effects of daily weighing? J
[10] VanWormer, J.J, et al (2012) Self-weighing frequency is associated with weight gain prevention over 2 years among working adults
[11] Steinberg, D.M, et al (2014) Daily self-weighing and adverse psychological outcomes: a randomized controlled trial
[12] Quick, V., et al, (2012) Self-weighing behaviors in young adults: tipping the scale toward unhealthy eating behaviors?